犬は魚の匂いにかなり反応する
熊おじは叫んだ。
「やはり!!!」
「狙い通り!!!」
熊おじはプライドが高い。
頭脳戦でも負けたと思われたくないから。
確実にのると思っていた―――
そしてコロマルは気づいていた。
自分の身体を考慮すると、
中型に届かないくらいの大きさ。
おそらく、いくらはいけて大さじ二杯。
タロとジロも中型からギリ大型くらいだ。
大さじ三杯というところか。
三匹で分けるには十分!
だが熊おじ。
やつは必ず一瓶いく!
自分たちは塩分を考慮すると先程の量だが、
熊はそんなの関係ない。
そこも含めて、
コロマルは計算していた!
まさに圧倒的高みからの予見!
この犬、
まさに天才か!
「……ということだな?」
熊おじが聞いた。
「うん」
コロマルは頷いた。
「つまり、お前たちは犬だから、いくらを大量に食べると塩分が危険」
「そうそう」
「だが、わしは熊」
「そう!」
「だからわしが食えばいい」
「そう!」
熊おじは腕を組んだ。
「なるほど」
「なるほどじゃない!」
タロが叫んだ。
「なんで熊おじだけ全部食うんだよ!」
「だって塩分が危ないから」
「いや、お前が言い出したんだろ!」
「そうだよ」
コロマルは真顔だった。
「だから熊おじが食べる」
「理屈がおかしい!」
ジロも叫ぶ。
しかし熊おじはすでに瓶を手にしていた。
「ふっ……」
「熊おじ?」
「小僧ども」
熊おじはニヤリと笑った。
「わしは熊だ」
「うん」
「犬よりはるかに身体が大きい」
「うん」
「つまり――」
熊おじは瓶の蓋を開けた。
「この程度のいくら、どうということはない!」
「待て!」
タロが止める。
「本当に大丈夫なのか!?」
「大丈夫だ!」
「でも塩分が!」
「だからこそ、わしが食う!」
「いや、その理屈は――」
「いただきます」
パクッ。
「うまい」
パクッ。
「これはうまい」
パクパク。
「うますぎる!!!」
熊おじは夢中になって食べ始めた。
「ちょっと待って!」
コロマルが叫ぶ。
「食べすぎじゃない!?」
熊おじの動きが止まった。
「……」
「どうしたの?」
「いや」
熊おじは瓶を見た。
空だった。
「お前が食わせたんだろうが!!!」
「え?」
「え?じゃない!!!」
「だって塩分が危ないから……」
「わしに食わせる作戦だったんだろ!?」
「うん」
「認めるな!」
熊おじは頭を抱えた。
「お前……」
そしてコロマルを指差す。
「恐ろしい犬だ……」
「そうかな?」
「わしの食欲まで利用するとは……」
「?」
「しかも自分たちはほとんど食っていない!」
「だって塩分が危ないし」
「そこだけは本当に賢いな!!!」
熊おじはその場に座り込んだ。
「……しかし」
コロマルを見る。
「一つだけ聞きたい」
「なに?」
「なぜ、いくらを食わせるためにわざわざ決闘までした?」
コロマルは少し考えた。
そして答えた。
「刺身が食べたかったから」
「…………」
「いくらも食べたかった」
「…………」
熊おじは遠い目をした。
「やっぱりこいつ、ただの食いしん坊だ」
コロマルは首を傾げた。
「でも、勝ったよ?」
「何にだ!?」
「頭脳戦」
「意味不明なんやけど!!!」
いくらは高い




