↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の影  作者: AkiraNox


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/31

影魔法の試練

ナイ:「影魔法を持つ、世界で唯一の人物……それはカイレンだ」


長い沈黙が流れた……。


ナイ:「……なぜお前たちは驚かないんだ?」


アイノ:「いや、先生……」


スズキ:「カイレンが来る前、影魔法を持つ者は誰もいませんでした。そして、カイレンが来たとき、先生はその特性を持つ人物がいると教えてくれました」


イタチ:「だから、別に驚くことではありません」


ナイ:「……なるほど、そういうことか……」


そのとき、イノスケが勢いよく立ち上がり、笑顔で言った。


イノスケ:「へっ、これはすごい! おい、カイレン! 今日からお前は俺のライバルだ!」


カイレン:「はあ? どうしてこうなったんだ? 面倒くさい……」


ナイ:「だが、あまり喜ぶべきではないぞ」


その言葉に、全員が驚いた。


アイノ:「どういう意味ですか、先生?」


ナイ:「影魔法は、極限まで極めれば、光魔法よりも強いと言われている」


「つまり、カイレンが影魔法を極限まで極めれば、最強の魔法使いであるモブさえも超えることができる。だが、一つだけ大きな障害がある」


「それは……時間だ」


「知ってのとおり、魔法は使えば使うほどマナが増えていく。だから、魔法が極限に達するまでに必要な時間を、人間の寿命を基準にして考えるのだ」


「光魔法が極限に達するには、少なくとも二百年かかると言われている。だが、影魔法の場合は……千年だ!」


カイレンは驚き、勢いよく立ち上がった。


カイレン:「せ、千年!?」


全員が黙り込んだ。


彼らは、この事実をすでに知っていたからだ。


ナイ:「そうだ。極限を目指すのなら、運に頼ったところでどうにもならない」


カイレン:「で、でも、それはさすがに大げさすぎませんか?」


ナイ:「当然だ。何しろ、史上最強の魔法について話しているのだからな」


「それでも、努力を怠るな。光魔法で第一段階に到達したモブを手本にするのもいいだろう」


「あるいは、魔法そのものを研究することだ。もし膨大なマナを持ち、数多くの副次魔法を習得できれば、お前が最強になる可能性もある」


「我々は副次魔法を軽視しているわけではない。基本魔法と比べても、力そのものに違いはないのだからな」


「だが、今の時代、魔法を研究しようとする者は非常に少なくなってしまった。世界には、まだ何千もの魔法が存在しているというのにな……」


再び長い沈黙が流れた……。


ナイ:「さて、ずいぶん長く話してしまったな。今日の授業はこれで終わりだ」


「では、またな……」


そう言い残し、ナイは立ち去った。


その直後、高らかな鐘の音が鳴り響いた。


カーン! カーン! カーン!


アリス:「鐘が鳴ったわ! 昼休みよ!」


アリスは立ち上がり、カイレンの様子を見た。


彼はすっかり落ち込んでいた。


アリス:「ねえ、カイレン……」


カイレンは彼女のほうを振り向いた。


アリス:「心配しないで、カイレン。あなたなら、きっとこの問題を乗り越えられるわ」


「だって、あなたは……」


カイレンの目が大きく見開かれた。


アリス:「私の騎士なんだから」


……


カイレンは微笑んだ。


カイレン:「……そうだな。ここで諦めるわけにはいかない。もっと努力しなきゃな」


アリス:「ふふっ、そうこなくっちゃ。私の騎士なんだから!」


「さて、そろそろ行かなくちゃ。また後でね!」


カイレン:「ああ!」


……


数分後……


カイレンは学校の廊下を歩いていた。


廊下には、たくさんの生徒たちがいた。


カイレン:「この障害を乗り越えるために、もっと努力しなきゃ……」


彼の目には、強い決意が宿っていた。


「アリスを守るために……」


そのとき、時計が午前十時を告げた。


カイレンは顔を上げた。


すると、そこにいた大勢の生徒たちが、忽然と姿を消していた。


カイレン:「……え? みんな、どこへ行ったんだ?」


突然、背後からドアが激しく閉まる音が響いた。


バタンッ!


カイレンは振り返ったが、誰もいなかった。


彼はごくりと唾を飲み込んだ。


前方には、どこまでも続いているかのような、異様に長く静まり返った廊下が広がっていた。


そのとき、遠くから男の声が聞こえてきた。


非常に低く、荒々しく、ひどくノイズの混じった声だった。


???:「掃除の時間だァァァ!」


その声が、少しずつ近づいてくる。


カイレンは目を細めた。


そして、突然……。


彼の目が大きく見開かれた。


廊下の向こう側に、何かが見えた。


いや、何かではない……何者かがいた。


カイレン:「あ、あれは……!?」


それは……ほうきだった。


壁から壁まで廊下を完全に塞いでしまうほど、巨大なほうきだった。


しかも、横から見ると、まるで紙のように薄っぺらな形をしていた。


???:「さあ! 掃け! 掃け! 掃け!」


次の瞬間、巨大なほうきが凄まじい速度でカイレンに向かって突進してきた。


???:「さあ! 掃け! 掃け! 掃け!」


ほうきが、すぐ目の前まで迫ってくる。


カイレンはパニックに陥った。


カイレン:「な、なんなんだよ、こいつはあああ!?」


彼は勢いよく振り返り、全力で走り出した。


しかし、足がもつれて転びそうになる。


カイレンは慌てて両腕を振り回し、なんとか体勢を立て直した。


よろめきながら走り続け、壁にぶつかりそうになりながらも、再びバランスを取り戻す。


ほうきは、すぐ後ろまで迫っていた。


カイレンは一歩、また一歩と必死に走った。


???:「さあ! 掃け! 掃け! 掃け!」


ついに、カイレンは廊下の突き当たりにたどり着いた。


彼は右足を滑らせ、左方向へと体を向けた。


そして、右足で目の前の壁を蹴る。


勢い余って体勢を崩し、今にも転びそうになった。


両腕をばたつかせながらも、なんとか左側の廊下へと飛び込む。


そして、床に倒れ込んだ。


カイレンは前方を見た。


巨大なほうきは、壁の前で止まっていた。


カイレン:「はぁ……助かった……」


彼は安堵の息を吐いた。


その瞬間、前方から声が聞こえた。


巨大なほうきが、ゆっくりとカイレンのほうへ向きを変えたのだ。


???:「掃除の時間だァァァ!」


カイレン:「うわあああっ!?」


彼は慌てて立ち上がり、逃げようとした。


しかし、間に合わなかった。


巨大なほうきが、凄まじい速度で前進し、カイレンを巻き込んだまま引きずっていった。


カイレン:「いやあああああああっ!!」


???:「さあ! 掃け! 掃け! 掃け!」


???:「掃除の時間だァァァ!」


カイレンの視点から見ると、廊下が凄まじい速度で後方へ流れていく。


彼はある場所で立ち止まるかと思えば、今度は前後に激しく揺さぶられた。


???:「さあ! 掃け! 掃け! 掃け!」


ほうきはそのまま進み続け、教室に入っては出て、また別の場所へと移動していく。


カイレンも一緒に引きずられていった。


彼は叫び続けた。


ほうきは食堂へ向かい、さらに教室へと進んでいった。


もちろん、カイレンも一緒だった……。


……


三十分後……


巨大なほうきは、小さな部屋へと入っていった。


そして、ようやくカイレンを解放した。


カイレンは疲れ果てた様子で、教室へと続く廊下を歩いていた。


すでに、ほかの生徒たちは戻ってきていた。


カイレン:「……なんだったんだ、あれは?」


「こんなものが学校にあるなんて、誰も教えてくれなかったぞ……」


「くそっ……もうヘトヘトだ……」


カイレンはゆっくりと、一歩ずつ歩いていった。


そのとき、目の前のドアが開いた。


中から出てきたのは……ナイだった。


ナイはカイレンを見つめた。


ナイ:「おや、こんなところにいたのか。今までどこに行っていた?」


カイレン:「ナイ先生? 何か用ですか?」


ナイ:「ああ。ちょっとこっちへ来い」


ナイは部屋の中へ入っていった。


カイレンも、その後に続いた。


カイレン:「あの……僕に何か用でしょうか?」


ナイ:「カイレン、ドアを閉めてくれ」


カイレン:「わかりました」


バタンッ!


カイレンはドアを閉めた。


部屋の中を見回すと、予想していたよりもずっと広かった。


いくつもの机が並んでおり、ナイはそのうちの一つに腰掛けていた。


カイレン:「ここは……?」


ナイ:「ああ、ここは教師室だ」


カイレン:「すごい……。でも、どうして僕を教師室に呼んだんですか?」


ナイ:「いいか、カイレン。お前も知っているとおり、お前のクラスはエリートクラスと呼ばれている」


「この学院にいる生徒の中でも、特に優秀な者たちが集まっているクラスだ。まあ、性格に問題のある奴らばかりだがな」


カイレン:「ええ、それは知っています」


ナイ:「それはよかった」


「彼らも、エリートクラスに入るために必死に努力してきた。だが、そこへお前がやって来た」


「お前は今日が初日で、まだ普通の生徒にすぎない。それなのに、お前がエリートクラスに入ったことを知った一部の生徒たちが、不満を訴えているんだ」


カイレン:「そ、そんな……!?」


「で、でも……僕はどうすればいいんですか?」


ナイ:「解決策は簡単だ」


カイレン:「簡単? どうすればいいんですか?」


ナイ:「近いうちに、お前たちのクラスで試験が行われる予定だ。その後には、多くの生徒たちが競い合う大会もある」


「試験では合格するだけでなく、お前自身が何らかの成果を残す必要がある」


「そして、大会では一位を獲得し、そこでも成果を示すんだ」


カイレン:「それなら、僕もエリートになれるんですか?」


ナイ:「いや、そんなに簡単な話ではない」


カイレン:「……えっ!?」


彼は一瞬で落胆した。


カイレン:「ど、どういうことですか!?」


ナイ:「いいか、カイレン。試験も大会も難しい。それに、たとえ両方で最高得点を取ったとしても、お前が到達できるのは、せいぜい中級レベルだ」


カイレン:「……先生、僕を落ち込ませるのが上手すぎませんか?」


ナイ:「だが……」


カイレン:「で、でも……?」


ナイ:「私がお前を直接試験することもできる。実は、かなり難しい試験を用意しているんだ」


「過去五年間で、その試験に合格できた生徒は、たった三人しかいない」


カイレン:「な、なんですって!?」


「そ、それを僕に受けろって言うんですか!?」


ナイ:「心配するな。最大十回まで挑戦できる」


カイレンはすぐに答えた。


カイレン:「わかりました。たぶん、挑戦できると思います!」


ナイ:「そうか。それはいいことだ」


(……実に扱いやすい奴だな)

こうして、カイレンの新たな試練が始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。