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幻想省活動記録  作者: 長野原
正義のプロセス

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9/14

ep1

幻想省 大臣 安倍(あきら)

現幻想省のトップであり、元星6ハンター

現在は前線から退いているがその威圧感からまだまだ現役の強さがある。

そんな大臣の執務室に来訪者があった。

ドアのノックが聞こえ、安倍明は答える



「入れ」


「失礼します。討伐課所属、安倍晴樹到着しました。本日はお時間をいただきありがとうございます」



扉を開きそう言い終わった後に頭を下げた晴樹は普段と違う真面目な顔でしっかりとしたスーツを着ていた。

晴樹が振り向き執務室の扉を閉じた瞬間に顔が綻ぶ



「いやー、自分堅苦しいのやっぱり苦手やわ。本部の外壁新しくしたん?」



晴樹は真面目な顔をやめ、ネクタイを緩めながら執務室のソファにどっかりと座る。

明は晴樹のその様子を咎めずに自身も椅子を引き足を組み、楽な姿勢になった



「ああ、ちょっと事情があってな。それで晴樹、人工神の教会の件はどうだ?」



二人は実の親子で人目がない時は立場も関係なくただの親子のように気を使わない。

明の言葉に晴樹は答える



「そうやね、おとんの頼みでとりあえず東北の人工神の教会は全部潰した。ただ一人逃してもうてな、そいつが厄介で、ほら、幻想省は幽霊にあんま関わらないって方針のせいで足元掬われたやん?」


「ああ、そのことを忠告してくれた人材もいたんだかな、皮肉なことに事が起きてから慌てて承認したよ。全く我ながら情けない」



頭を抱えながら言う明に晴樹は手を叩いて笑う



「はは!我部さんやろ?菊名ちゃんいるとこの、あの人らいなかったら危なかったもんな」


「ああ、二ヶ月前の旧進苓トンネルの件から我々も霊能力者の育成と、待遇の改善に励んでる。菊名沙羅からお祈りの手紙も届いたからな」



明の元に菊名から枯れ枝や頭が硬いなどの悪口と嫌味がたっぷりの手紙が届いていた。明は普通に傷ついており、それを察した晴樹は大きな声で笑った



「あっははは!相変わらず問題児やなぁ、なんて書いてあったん?」


「思い出させないでくれ、一応研究課の方にも霊視についての見解を求めた」



菊名の手紙で完全に心を折られた明は思い出すことすら嫌なようですぐに話を変えた。

晴樹も思ったよりダメージを受けている明に気を使い追求をやめる



「育成に関しては自分もなんとかやってみるわ、ただ研究は進まんやろなぁ」



晴樹の言葉に明も同意するように頭を掻く



「まあ、研究はあまり期待していない。あの幻想生物狂いは幽霊なんて研究するはずがないからな」


「ほんまに、最近も保護課と揉めたみたいやね」


「またか、もう研究課は放っておこう。話を戻そうか、調査結果は?」



晴樹は内ポケットから封筒を出すと明に向けて投げる。明はそれを取り中身を確認する



「ぼちぼちやね、東北の件以降、自分も地方に行って人工神の教会の支部を潰して回ってるんやけど、ほとんどもぬけの殻やわ」


「そうか、関東に集まってきているということか」


「ただ、旧進苓トンネルの件以降目立った動きがあらへんね、全然見つからん」



人工神の教会はここ数年で現れ、人工の神を作る目的で、手段を選ばない。そのせいで一般人にも被害が広がり最悪幻想生物の秘匿も破られるかもしれないと、この組織を幻想省は危険視しており積極的に排除に動いている



「問題はこちらが認知していない異能力者のテロ行為だな。金森茂邦(しげくに)も洗脳という異能力を持っていたらしいじゃないか」


「そうやね、ただそこでちょっとおもろい人材見つけたんや。これが今日の本題や」



晴樹はニヤリと笑いながら立ち上がり明に一枚の紙を見せつけ、明はそれを受け取り読む



笠原紅羽(かさはらくれは)、詐欺罪で懲役8年、刑が確定している犯罪者か、こいつがどうした?」


「この子にな異能力者って言い当てられたんや、幻想省に関わりがないことも調査済みや」


「…なるほど、我々にとっては喉から手が出るほど欲しい人材だな」



明は少し考え込んでから晴樹が言いたいことを理解して頷く



「この笠原ちゃんの異能力は異能力者を判別できるっていう異能力や、さらにやこの子が手で触れた異能力者は異能力が一時的に使えんくなる。自分で検証済みや」



晴樹の言葉に明は驚く、昨今の情報社会で様々な認識が増え幻想生物が大量に溢れるようになったが、それと同じ数今までにない異能力も増えていた。

しかし異能力を無効にする異能力は今まで存在しなかった。



「どうするか」



人工神の教会、幻想生物ではなく人間と戦うのなら、笠原の異能力は有用だろうがただの一般人ではなく犯罪者だ。その扱いに明は迷う。

そこで晴樹は一つの提案を出す



「そこでや、おとん。笠原ちゃん自分に預けて欲しいんやけど」


「いい案があるみたいだな」


「普通に考えたら研究課で研究するのが1番やん?ただ犯罪者といえど人権がある。反対意見も出るやろ?」



幻想省はあくまで日本の行政機関だ、笠原を研究課で人体実験をするということは人権侵害にあたる。そのことを考慮して晴樹は作戦を立てていた



「期間を設けて笠原ちゃんが幻想省に利益をもたらす功績。まあ、人工神の教会で自分らが認知してない異能力者を1人でも粛清出来れば十分有用性を証明できるやろ?そしたら正式雇用」


「失敗してもこちらからの譲歩があるのとないのとでは見え方も違うな、だが信用がない」



笠原が期間中に逃走し幻想省のことを風潮して回る心配もある。そのことを明は危惧した。

しかし晴樹はそこも考えていた



「管理課から監視員出すわ、自分も期間中は東京におるし、なんとかなるやろ」


「全く、博打好きは俺に似たな」



明はニヤリと笑う。

晴樹は明の笑みを肯定と捉え、ネクタイを締め直す



「ほな、善は急げや。自分そのまま笠原ちゃん迎えに行くわ」


「おう、期待して待ってるぞ」



晴樹が部屋を出ようとする前に明はそういえばと晴樹に聞く



「晴樹、正月家に顔出さなかったが、どこで過ごしたんだ?」


「ああ、ちょっと呼び出されてな、東北に行ってたわ」


「仕事関係か?」



明の問いに晴樹は少し悩んでからスマホを開きロック画面を見ながら答える



「友達とな、宅飲みや。地獄やったで」



地獄と称す割に晴樹の顔は笑顔だった。

晴樹は家柄の関係で幻想省ではトップの息子、表向きでも名家の息子として対等な友人がいないことを危惧していた明は顔を緩める。



「そうか、よかったな」


「まあ、初めて記憶飛ぶまで飲んだわ」



晴樹はそれだけ言って執務室を後にした。

晴樹のスマホのロック画面には晴樹を含めた男3人が散らかった部屋で笑い合ってる写真だった







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