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幻想省活動記録  作者: 長野原
ファントムプライド

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8/18

ep4

事務所をから出て行った日野は一人夜の公園でベンチに座りながら項垂れていた。



(勢いに任せて辞めるって言っちゃったけど)



日野の頭の中で先ほどの菊名の表情が思い浮かぶ、今まで見たことない表情で感情を剥き出し自分に怒鳴った姿が。

自分の善意を偽善と言われて傷ついたしイラついた。しかし、自分自身菊名のことをよく知らないのも事実だった



(私が悪かったのかな)



冷静になり菊名を傷つけてしまったのではないかと、偽善と言われて日野は何も言い返す言葉が見つからなかった。

そんな日野に人影が近づいて来ていた



「いい夜ですね、幽霊でも出て来そうな静かな」



日野が顔を上げると男が立っていた。

そんな男に日野はナンパと思いその場から立ち去ろうとする



「すみません、行くところがあるので」


「日野栗歌(りつか)さんですよね?」



自身の名前を呼ばれで驚き男の顔をよく見るが日野はその男に見覚えはなかった



「どこかでお会いしましたか?」


「いえ、一方的に知っているだけですよ。星5ハンターの日野栗歌さん」



星5ハンターと呼ばれて日野は警戒する、幻想省の人間だったら特に問題はないがそうでなかったら敵対組織の人間ということになる



「あなたは?」



男は日野の隣に座り、日野の顔を見ながら答える



「安心してください、管理課の者です。少々お願いがありまして」



管理課と言ったが男は自身の名前を明かさないことに日野は警戒を強める



「お願い?」


「ええ、あなたは星5ハンターの中でもかなりの人格者です。正しい行いで周りの人間も正しく導ける。そんなあなたに正して欲しい人間がいるんですよ」


「正して欲しい人間」



男の言葉を聞いていると意識が朦朧となり、日野は男の言葉を反芻する



「そうです、人の善意を偽善と罵り、人を信用しない。そんな人間は間違っているでしょう?」


「間違っている…」



菊名とのやりとりを見ていたかの様に言葉を並べる男



「そうです、あなたは正しい」


「私は正しい…」



日野の目が虚になり自分は正しいと唱え続ける、その様子を見た男はニヤリと笑い日野に命令する



「菊名沙羅を殺してください」


「……はい」



日野は立ち上がり公園から離れて行った。

公園に残った男も立ち上がる、すると電話の着信音が鳴り響き男が電話を取った



「もしもし、金森です。ええ、東北では我々の拠点は安倍晴樹により全て破壊されましたが、我々が消すべき存在はわかりました。今度は上手くやります」



金森はニヤリと笑い空を見上げて答えた



「邪魔者のハンターは全て消しますよ。人工神誕生のために」





我部と菊名は旧進苓トンネルの近くに辿り着き、我部は田中に電話していた



「着いたよ、田中くんそっちはお願いね」


『ええ、情報統制はこっちでやるので幻想生物はそこまで強くならないと思います』



幻想省に報告し、応援のハンターも呼んだので準備は完璧だった。しかしいつ幻想生物が外に出てくるかわからず、幽霊による被害も増やさないために二人は応援のハンターが来る前に旧進苓トンネルへ向かうため山道へ入る



「あたし達だけで余裕だと思いますけどね」


「念には念をね」



余裕そうに振る舞う菊名に頼もしさを感じながら二人はトンネルの前に辿り着いた



「行きましょうか」


「ああ、っ!」



菊名が進もうとした瞬間、我部が宙に浮きトンネルに引き摺り込まれた



「我部さん!」



菊名が我部を助けようと手を伸ばすが間に合わずに、我部がトンネルに入った瞬間、入り口が音を立てて崩れる



「っ!」



土煙が晴れるとトンネルの入り口は瓦礫で塞がれてしまった。菊名が我部を助けようと進むと後ろから蹴りが飛んできて菊名に当たる寸前で足は宙に止まる。

菊名が振り返ると、そこには日野が立っていた



「今あなたに構ってる時間ないんすよね」


「沙羅ちゃん、死んでくれないかな?」



目が虚な日野がそう言い、菊名に殴りかかる、しかしその攻撃は全て菊名に当たる前に止まる



「あたし、敵には容赦しないっすよ?その残念な頭すりつぶしてあげますよ」



菊名が手をかざすと日野は勢いよく吹き飛び木にぶつかり、血を吐いた



「がっは!」



菊名はトンネルに意識を移し、我部を助けようとするが背後で日野が立ち上がる気配を感じて振り返るとナイフが頭を目掛けて飛んできた。菊名はそれを頭に当たる直前で慌てて避ける。ナイフは菊名の頬を掠めて飛んでいった



「呪具っすか」


「はぁ、はぁ、これなら沙羅ちゃん止められないでしょ?」



日野はしたり顔で笑い、構える

菊名の異能力は霊視とポルターガイストで触れていなくても物を操れる。しかし幽霊や幽霊の力がこもった道具「呪具」は操ることができない。その為飛んでくる呪具をポルターガイストで止めることができなかった。

日野は菊名に近づき殴りかかると体から半透明になり、菊名はその攻撃を木片をポルターガイストで浮かせて受け止めた



「私の攻撃も受け止められないよね?」



日野はそう言いながら攻撃を続ける。菊名は変わらずポルターガイストで受け止めるが日野の目を見てため息を吐く



「日野さんもう正気に戻ってますよね?」


「起きたらすごい背中痛いから、沙羅ちゃんに八つ当たりしてるの!」



日野は吹き飛ばされた衝撃で正気に戻ってた、しかし前後の記憶はあやふやで憤りを思いの儘、菊名にぶつけている。つまりただの喧嘩だった



「ガキですか!今それどころじゃないんすよ!」


「私はそんなの知らない!沙羅ちゃんと全然意見が違うんだもん!もう我慢しない!むかついたからあなたをぶっ飛ばす!」



菊名の腹に日野の蹴りが入り、菊名は腹を抑え後ろに後ずさる。菊名が顔を上げると笑っていた



「ふっ、なんすかそれ、あははは!日野さんそっちの方が面白いっすね!」



善意の押し付けではない、ただ菊名にむかついたからぶっ飛ばす。そんなことを言われたのは初めてで正面からぶつかってくる日野に菊名は笑ってしまった。それに釣られて日野も笑う



「そう!私もう沙羅ちゃんに我慢しない!優しくしない!思ったこと言うし、むかついたら殴るから!正しいからじゃなくて私がそうしたいと思うから!あははは!」



お互い我慢しない関係性、それが菊名が望んでいた物なのかもしれない。日野と菊名はお互い吹っ切れてひとしきり笑い、菊名は怪しげに笑う



「殴れるものなら殴ってくださいよ。まあ星5程度の雑魚ハンターには無理でしょうけどね」



菊名がゆっくりと手を挙げると地面が揺れ始め、周りの木々が根こそぎ宙に浮かび、それを見た日野は冷や汗を流す



「さ、沙羅ちゃん?やりすぎじゃない?」


「星6ハンター様って呼んでくださいよ!土下座するなら許してやらないこともないですよ!」



菊名沙羅、幻想省討伐課所属

日本で5人しかいないハンターの最上位

星6ハンター

異能力 ポルターガイスト

幽体以外のものを触れずに操る、ポルターガイストで操ったものは幽体に触れることができる。

彼女は日本で1番有名な幽霊、皿屋敷のお菊の生まれ変わりだ。幽霊は認識の力で一個体が強化されることはないが、幽霊が消滅した後に認識の力が高まると幻想生物として顕現する。しかしお菊は幻想生物としてではなく、新しい生まれ変わった人間菊名沙羅として認識の力を宿した。菊名はそのことを知ってはいるが前世の記憶があるわけではない。

そんな菊名の煽りに日野は笑みで返す



「死んでもごめんよ!ぜんぶ避けてあげる!」


「1発でもあったたら死ぬほど煽ってあげますよ!」



菊名が腕を振り下ろすと宙に浮いた木が全て地面に叩きつけられた




少し前、トンネルに引き摺り込まれた我部は真っ暗なトンネルの中で幽霊と幻想生物から逃げ回っていた。

幽霊は特に特徴のない成人男性で、幻想生物は人のような見た目をしているが体毛がなく爪が異様に発達しており、四足歩行だった



“がァァァァ!”


「ちっ!」



飛びかかってくる幻想生物を避けると幽霊がナタを投げつける。我部は周りが暗いせいで視認が追いつかずに被弾が目立つ



“さっさとくたばれよぉ!お前の頭をかち割ってあのクソ女に見せつけてやるんだからよぉ!”


「下品な幽霊だな!」



幽霊は一本のナタを自在に操り幻想生物と共に我部を確実に追い詰めていく。



“しかし、お前も星6ハンターだからってあの性格の悪いクソ女によく我慢してるよなぁ!よく聞くぜ?菊名沙羅の性格はクソだってな!”



幽霊のナタを避けた瞬間に幻想生物の爪が我部の腕を掠める。我部は体勢を立て直そうとするがその隙に幻想生物が我部を蹴り飛ばしトンネルの壁に叩きつけられる



「ぐっ!」


“さっさと殺してやりてーところだけどよ、俺は優しいからな、俺たちの仲間になるなら見逃してやるよ”



幽霊は幻想生物を手で制すと言うことを聞くように幻想生物は大人しくなった。

我部は口を開く



「菊名さんのことを知っていると言うことは幻想省の関係者か…いや、人工神の教会か」


“ピンポーン、頭が回るじゃねーか、さっさと菊名沙羅の子守りなんて卒業して俺らと自由にやろうぜ?”



我部は俯き、笑い始める



「ふっ、ははは、あんた珍しいね、私は目が良くてね、あんたの表情でなんの感情が強いか分かるんだよ」


“ちっ!何を”


「恐怖、死ぬ直前に強い恐怖を感じて幽霊になったのか、はは、そんなにあんたを殺した相手は怖かったか?」



我部の言葉を聞き幽霊の頭の中にある一人の男が思い浮かぶ、なんでもないように、確実に自分を見ているがただ殺す存在としてしか見ていない冷たい目で、何の躊躇いもなく自分の頭にナタを振り下ろした、その男に死ぬ直前も、今もずっと恐怖していた。

すると幽霊は震え始め、トンネルが揺れ始める



“ああああああ!うるせえぇ!てめえはさっさと俺たちについていくと!いえばいいだけだぁ”


「死んでもごめんだね」



我部は手に数珠を握り幽霊に殴りかかるが特にダメージはなかった。それを見た幽霊は笑う



“しょーもない呪具使いやがって!弱すぎんだろ”



幽霊が合図をすると幻想生物は我部に近づき足に爪を突き立てた



「ぐっ!」


“うちのボスはあんたを買ってるんだぜ?さっさとクソ女を裏切って俺たちの仲間になれよ?あんたも善意であの女に接してるわけじゃないだろ?星6ハンターがいれば多少の無茶は許されるもんな?偽善ならやめてやるのが優しさだ”



そう語りかける幽霊を我部は睨みつける



「ああ、そうだ、私があの子に優しくしてるのは偽善だよ。ただな、酷く傷つけられた子供がなぜ大人を信じられる?優しくなれる?なんでそんなことを望む?確かに事務所の運営は菊名さんがいることで助かっている。だがな私は彼女がどんな存在であろうと、絶対に見捨てない!そんな偽善すら突き通せなくて何が大人だ!私は傲慢に彼女のことを信じ続けるって決めたんだ!」



我部は懐から札を取り出して幻想生物に貼り付け、飛び退く、すると札は爆発を起こして幻想生物が吹き飛んだ。幽霊は爆風で我部を見失う



“ちっ!どこに!”



幽霊が後ろを向くと爆発に巻き込まれ怪我を負った我部が数珠を握った腕で殴りかかっていた



“そんな雑魚呪具じゃ!俺には効かねーよ!”



幽霊は油断して我部の攻撃を避けずにいた。

しかし攻撃が顔に当たると幽霊の視界がぼやけた



“なっ!”



ふらついた幽霊に我部は追い打ちをかける為何度も殴りかかる



“さっきより!威力が上がってる⁉︎”



幽霊が我部から逃げると札を投げつけ、幽霊の動きを止める



“なっ!”


「教えてあげるよ、幽霊くん、この呪具はある人からの預かり物でね。つけている人間が生き物を殺すたびに、この呪具に力が宿り、強くなる。幻想生物も生き物と判断されたみたいだね」



我部は座り込み動けなくなった幽霊に聞く



「さあ、この事態を起こした奴の名前を教えろ」


“しらね、”



幽霊が言い終わる前に我部の背後から札が飛んできて幽霊に張り付きその瞬間幽霊は消えた



「ちっ!誰だ!」



我部が後ろを振り向いた瞬間、外から轟音が鳴り響きトンネルが崩れ始める



「は⁉︎くそ!」



我部は前を向きトンネルから脱出する為に走り始める。




しばらくして、我部がなんとか瓦礫を退けてトンネルから這い出ると、辺り一面根こそぎ抜き取られた木が散乱しており、その中心に菊名が立っていた。

我部は菊名の元まで辿り着き声をかける



「菊名さん、やり過ぎだよ」


「あ、我部さん、しぶといっすね」



やたらとスッキリとした表情の菊名に我部は笑うしかなかった。

すると倒れていた木が一本吹き飛び日野が飛び出してきた



「沙羅ちゃん!殺す気⁉︎」



ボロボロになった日野が菊名に詰め寄り、菊名は我部を見てニヤリと笑った



「日野さん、大丈夫ですか?病院に行ってください」


「煽ってるでしょ!沙羅ちゃん!」



菊名に飛び掛かる日野を笑いながら菊名は受け止める。その様子を見た我部は頭を抱えながら笑った



「仲直りできてよかったね」




その後、幻想省が現場に到着し今回の事態は大規模な土砂崩れということで誤魔化した。

日野の記憶が戻り謎の人物に洗脳されたと伝え、日野の証言を元に似顔絵が制作され、その人物は元東北支部管理課所属の金森ということが判明し、金森は粛清対象となった。



金森はその報告をスマホで確認し、不機嫌そうにスマホをしまう



「また、邪魔されましたか…星6ハンターに対抗するには力が足りない…」



金森はそう呟きながら闇に消えていった




数日後

菊名は病院を訪れ病室で無事に目が覚めた桜井と会っていた



「もう大丈夫なんだ」


「はい、奇跡の回復って言われましたよ。ほら見てくださいよ、クラスメイトから寄せ書きもらったんです」



桜井は嬉しそうに菊名に色紙を見せつけ、唐突にそれを破り始める



「これをクラスに送り返してやろうと思いましてね」


「あはは、最高」


「わたしがいじめられてる時に何もしなかったくせに、こんなの貰ってわたしが感謝すると思ってるんですかね、あはは」



すっかり吹っ切れて菊名と似たようなことを始めた桜井と菊名は笑い合う



「親は?」


「なんか裁判起こして運転手からお金取ろうとしてますよ。わたしには一銭も入るわけないんで、全力で邪魔してやろうと思って」



結局桜井の両親は記者が来ている時しか会いにこなかったらしい、その時に悲劇の親を演じ始めた両親を全力で邪魔した結果、親が桜井に手をあげて面会謝絶にしたようだ。

頼れるところもない状況ではあるが桜井は気にしていなかった。



「じゃあさ、退院して、居場所がなかったらここに来て、助けてあげる。馬車馬のように働いてもらうけどね」



菊名は我部の事務所の名刺を渡して、立ち上がる。名刺を受け取った桜井は笑顔で答える



「はい!その時はサボり方を教えてください!」


「ふふ、いい度胸だね」



菊名はそのまま病室を後にした。



「沙羅ちゃん!何帰ろうとしてんの⁉︎」



帰ろうと病院の廊下を歩いていると名前を呼ばれて嫌々振り返る



「なんですか、辞める辞める詐欺さん」


「うっ、忘れてよ、勢いに任せちゃっただけなんだから…というか、病院まで来たんだったら私たちのお見舞いも来てよ!」



旧進苓トンネルの一件の後、重傷を負った我部と日野は桜井と同じ病院に入院していた。

そこへ松葉杖をついた我部もやってくる



「菊名さん、事務所の方は大丈夫?」


「インキャさんも管理課の手伝いに持っていかれましたし、休業してますよ」


「まあ、仕方ないね。私も明日には退院するから」


「あたしはしばらく休みでいいんですけどね」



そう言った菊名に日野が食いつく



「沙羅ちゃん元気なんだから休まないで働いて」


「うわー、日野さんに蹴られたお腹がすごく痛い、ほっぺたの傷もいたーい」


「私、沙羅ちゃんに至る所骨折られたんだけど⁉︎」



喧嘩を始める日野と菊名をみて我部はいい関係になったと優しく見守る。以前と違いお互い我慢せず言いたいことを言い合え、喧嘩をしていても互いに笑顔が見え隠れしていた。

我部が二人を見ていると田中がやってきた



「田中くん」


「どうも我部さん、怪我大丈夫ですか?一応お見舞いです」



田中が手に取った紙袋を軽く上げる。



「ありがとう、管理課の手伝いは大丈夫?」


「まあ、元々僕の仕事じゃないですし、適当なところで切り上げてきましたよ。菊名さん、今日も綺麗ですね」



田中が菊名に声をかけると菊名と日野は喧嘩をやめて、田中に向き直る



「あなたは辛気臭い顔してますね、お見舞い渡したならさっさと帰ってください」


「田中くんお疲れ」


「ありがとう菊名さん、お疲れ様です」



田中は特に気にせずにその場に留まり、我部に小声で言った



「このお見舞い、菊名さんが持ってこいって言った物なんですよ」


「はは、素直じゃないね」



我部は菊名を見て笑い始め、バツが悪くなった菊名は不貞腐れたように近くにあった椅子に座った。田中は思い出したかのように声をかける



「そういえば皆さんに見せたいものがありまして」



田中はポケットから小さいものを取り出して全員に見せた。それを見て日野は田中に言った



「田中くん、これ」


「盗聴器です」


「なんすか、インキャさん自首ですか?」


「これは僕の仕掛けたものではないんです」



当然のように自分が仕掛けた盗聴器があることを暴露したが、そのことを気にせずにに我部が聞く



「誰が仕掛けたんだろう?」


「今回の事件、最初から菊名さんを狙って起こしたと言うことじゃないですかね」


「確かに、沙羅ちゃんを殺せって命令されたもん」



日野が田中に同意すると菊名が笑いながら言う



「明らかに人選ミスですよね、返り討ちにしてやりましたよ」


「今なら洗脳なしでも命令に従うかもね」


「今度はどこの骨折って欲しいんですか?」



また喧嘩を始めた二人をよそに田中は話を続ける



「星6ハンターを狙ったんでしょうね、人工神の教会の邪魔になるって、安倍晴樹のせいで東北で活動できなくなりましたからね」


「菊名さんも狙われたから気をつけないと」



我部は心配したが、菊名は笑い飛ばす



「どっからでもかかってこいって話ですよ、なんたらの教会がどんな崇高な目的を持ってたとしても、適当に生きてるあたしが全否定してやりますよ」


「私も、沙羅ちゃんを助けて、感謝で咽び泣かせてあげる」


「無理無理、日野さん弱いから」


「絶対見返してやるからね!」



特に気にした様子もない菊名を見て我部も心配するだけ無駄と笑う



「とりあえず、事務所内の盗聴器は僕の以外全部取りましたので安心してください」


「安心できるわけなくないですか?頭終わってるんですか?終わってましたね」


「田中くん、盗撮とか盗聴とか、本当に気持ち悪いから、そんなことしてる人に可愛いとか綺麗とか言われても沙羅ちゃんが靡くわけないでしょ?」


「ぐっ!菊名さん以外に気持ち悪いとか言われるとすごい傷つく」



田中は日野の言葉で胸を押さえてしゃがみ込む、その様子を見た菊名は意気揚々と日野に耳打ちをした。



「ええ、まあ言うけど…性格が終わってるインキャは死んでもごめん、キモいです」



日野は菊名の言う通りに田中に伝えると田中はすっと立ち上がった



「間接的でも菊名さんの言葉とわかるので、回復しました」


「ちっ!ダメだったか」


「普通、好きな子に言われた方が傷つくものだと思うけどね」



3人の様子を見ていた我部は改めて思った



「いい事務所に、仲間になったなぁ」

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