第二十二章:運命の鏡と内なる野獣——自分の顔を忘れた少年が鏡の中に見た「白髪蒼眼の別人」と、神狼の力を抑え込む初めての修行
第二十二章へようこそ。
タカシの新しい人生の第一日目。それは「力」を制御し、完全に隠すための訓練から始まります。
しかし、復讐や戦いを拒絶し「普通の生活」を望むタカシに対し、マスターは過酷な現実とハヤトの犠牲を突きつけます。
初めて鏡で「白髪蒼眼へと変貌した自分」を見た少年の驚き。そして、精神世界の深淵で、殺意に満ちたトリプルエスランク超えの神狼と対峙するタカシ。
父の意志を継ぎ、ついに力と向き合う覚悟を決めた少年の成長の第一歩をお楽しみください。
タカシの新しい人生の最初の一日は、たった一つの目標から始まった。制御である。
今は単なる『祖父』となった伝説のマスターは、世界がますます危険になっていることを知っていた。
世界的な力の力学が変化し、強欲がシン戦士たちの目を眩ませている今、敵と味方を区別することは不可能に近い。
もしタカシの正体や、彼が持つ終末的な力が発見されれば、彼は究極の標的となってしまう。
「タカシ」
六歳の少年の向かいに座り、伝説のマスターは尋ねた。
「お前は、自分の力の使い方を知っているか?」
タカシは顔を上げた。その表情は虚ろだった。
「何の力のこと?」彼は尋ねた。
「僕には力なんて何もないよ。だから今、僕はすべてを失い、愛する人たちを失って、ここに立っているんだ」
マスターの古代の瞳が微かに細められた。彼は即座に真実を悟る。
ハヤトは、彼の中に眠るものの正体を決して息子には語っていなかったのだ。
戦鬼ハヤトは、息子が成長して怪物にならないよう、タカシの心と人格を鍛えることに完全に集中しており、どうやらそれは成功していたようだ。
「お前自身の力のことではない」マスターは優しく訂正した。
「お前の父親がお前のために残した力のことだ。エックスランクの伝説の神霊、シンロウの力だ」
「絶対に嫌だ!」
タカシの頭の中で、怪物のような反響する声が突然咆哮した。
「俺は絶対に人間に屈したりはしない!」
タカシはビクッと体を震わせたが、黙ったままマスターの話に耳を傾けた。
老人は恐ろしい現実を説明した。狼が彼の中に封印されているということを。
ハヤトの完璧な封縛術のおかげで、タカシは神霊の許可なしに、狼の生々しいエネルギーのほんの一部を吸い上げて使用することができる。
しかし、絶対にエネルギーを引き出しすぎてはならないと厳しく警告された。
彼の脆い六歳の体ではその恐ろしい負担に耐えることができず、狼が強制的に彼の物理的なウツワを乗っ取り、大惨事を引き起こす可能性があるのだ。
タカシが『黒箱の静牢』の五年のタイムリミットを生き延びられた唯一の理由は、彼の類まれなる遺伝子のおかげだった。
二つのトリプルエスランクの最高血脈のメンバーを両親に持つ彼の体は、DNA進化の法則により、根本的に密度が高く、普通の人間よりも遥かに優れていたのだ。
だが、それだけでは足りない。
二つの終末的な力を同時に扱うためには、片手で山を持ち上げられるほどの強度を手に入れるまで、彼の物理的なウツワを鍛え上げなければならない。
その先の道は、残酷なほどに険しいものだ。
タカシは話を聞いていたが、その目は虚ろだった。
「そんなこと、学びたくないよ」彼は静かに言った。
心の奥深くでは復讐を望んでいたが、父の教えがその衝動を永遠に止めていたのだ。
「僕が力を必要としていた時……僕を見ていた人たちや家族に、自分を証明したかった時……僕には何もなかった」
「彼らがいなくなった今、力なんて欲しくない。ただ、簡単で普通の生活がしたいだけなんだ」
伝説のマスターは凍りついた。
宇宙を救うことができる唯一の存在であり、その誕生によって放たれた宇宙の圧力がシステムの奥深くから古代の恐ろしい実体を呼び覚ましてしまった少年が、戦うことを拒否しているのだ。
黒き竜とそのヨリシロが六百年にもたらした終末的な闇は、いつ戻ってきてもおかしくない。そして、この少年こそが彼らの唯一の希望なのだ。
マスターの表情が硬直した。彼は厳しく、容赦のない口調で語りかけた。
「普通の生活がしたいだと? 世界がお前をどう扱ったか忘れたのか?」
「力がないように見えたというだけで、お前に投げつけられた嘲笑、嫌悪、呪いの言葉を忘れたのか!」
彼は立ち上がり、部屋の隅から背の高い鏡を引っ張り出し、少年の目の前にドンと叩きつけた。
「自分自身を見てみろ。なぜ人々がもうお前の顔を見て判断しないのか、その目で見てみろ!」
タカシはガラスの中を覗き込んだ。
彼は息を呑んだ。深い、呆然とした沈黙の中で凍りつく。
見つめ返してきた少年は、彼の記憶にある呪われた王子ではなかった。
不揃いだった瞳は消え去り、その代わりに、驚くほど鮮やかで天の青色に輝く瞳があった。
半分黒く半分白かった髪は、今や純粋に光り輝く白いキャンバスとなっている。
顔を覆っていた暗く恐ろしい火傷の跡は消え去っていた。
その代わりに、狼の猛烈な再生力が、彼をこの世のものとは思えないほど美しく見せる、複雑で白く光り輝く模様を残していたのだ。
「もし生き残りたいのなら」マスターは容赦なく続けた。
「自分が持っているものを使う方法を学ばなければならない」
「さもなければ、世界は以前と全く同じようにお前を叩き潰すだろう! お前の存在は、普通ではないのだ!」
「お前は、自分が捨てられたのと同じように、弱者を見捨てるのか? お前が苦しんだのと同じように、他の人々を苦しませるつもりか? それが、お前の父親が教えたことなのか!」
一言一句が、ハンマーのようにタカシの魂を打ち据えた。
少年の拳が固く握りしめられ、小さな体が震える。
マスターの口調が和らいだ。
彼は歩み寄り、タカシの白い髪の上に温かく重い手を置いた。そして優しく微笑む。
「お前の父親の犠牲を無駄にしてはならない。彼は、お前のために世界中を相手に戦ったのだ」
「エックスランクの神霊に直接立ち向かおうとするのは狂人だけだ。だが、お前の父親はお前の命を救うため、あらゆる限界を越えた」
「彼がこの力をお前の中に入れたのは、お前が人々の希望となれるようにするためだ。お前は、彼の犠牲を嘲笑うつもりか?」
記憶が、タカシの心の中で暴力的に燃え上がった。
『人々を導く光になれ。あるいは、彼らが安らかに眠れるよう助ける影になれ。彼らの目を眩ませる光や、彼らを恐怖させる影にはなってはならない』
タカシの澄み切った青い瞳に、生命の火花が戻ってきた。
虚無感は消え去り、決して壊れることのない恐るべき決意へと置き換わる。彼には目的ができたのだ。
訓練が即座に始まった。
マスターはシン・ノアの基本を説明した。宇宙のすべては、極小の粒子から作られている。
神聖なゲン・シを含む原子。この原初のエネルギーは、すべての生物と、そして無生物の中にも存在している。
「それを感じ取らなければならない」マスターが指示する。
「それを『律』へと引き込め。お前の魂と、物理的なウツワを接続しろ。だが何よりも重要なことは……それを抑え込むことだ」
オーラを抑え込むというのは信じられないほど難しい技術であり、通常はエスランクのエリートだけができることだ。
弱者であるという錯覚を維持するためだけに、使用者のエネルギーを絶えず消費し続ける。だが、タカシには選択肢がなかった。
幽霊であり続けるためには、狼の恐るべき存在感を隠し通さなければならないのだ。
「目を閉じろ」マスターが命じた。「深呼吸をしろ。自分の内側を見つめるのだ」
タカシは目を閉じた。ゆっくりと息を吸い込む。
瞬時にして、彼の意識は無限の、漆黒の深淵へと引き込まれた。
彼の前には、巨大な、透明なガラスのような箱が立っていた。
その中には、悪夢がいた。
伝説の神霊、シンロウ。
それは古代の血に飢えた瞳で彼を睨みつけていた。
ガラスの小さなひび割れから、暴力的で野生的なエネルギーの奔流が漏れ出している。
本物の獣の純粋な恐怖を初めて目の当たりにし、タカシは息を呑み、純粋な恐怖でカッと目を開いた。
マスターは即座に理解した。
「恐れることはない」彼は少年を安心させた。
「お前の父親の封印が奴を縛っている。奴がお前を傷つけることはできない。奴と友達になるように努めなさい。すぐに慣れるはずだ」
「そんなことは絶対に起こらない!」狼の声がタカシの内側で暴力的に反響した。
「俺は、人間どもが力への渇望から世界を破壊するのを見てきた! 俺は絶対にお前に力を譲ったりはしない! もし誰かが俺に強要するなら、その報いを受けさせてやる!」
神霊の精神的な爆発を感じ取りながらも、マスターはただ微笑んでいた。
狼が怒りに任せて暴れているだけだと知っていたからだ。
「もう一度やってみなさい、タカシ」マスターが優しく言った。「目標に集中するのだ」
父の犠牲を思い出し、タカシは再び目を閉じた。深淵へと再び飛び込む。
今度こそ、タカシが現れた瞬間、狼が噴火した。
グォォォォッ!!
獣は強引に恐るべき漆黒の姿へと変化した。それは究極の破壊力と怒りを示す最終形態だ。
巨体をガラスに叩きつけ、少年の精神を乗っ取り、その心を砕き割ろうとする。
ガァァァンッ!
封印が神聖な光とともに燃え上がり、容赦なく狼を弾き返した。
今度は、タカシは怯まなかった。
彼はその場にしっかりと立ち、神霊の目を恐れずに見つめ返した。
狼の怒りを無視し、漏れ出しているエネルギーに完全に集中する。
野生のシン・ノアが静脈に流れ込み、腕、胸、骨を通り抜けていくのを視覚化した。
彼はその混沌とした力を、厳格に制御された『律』へと強制的に押し込めた。
ブワァァァッ!
現実世界では、タカシの小さな体の周りで目が眩むような混沌としたオーラが噴出していた。
生々しいエネルギーが荒々しく暴れ回る。
だが、少年は歯を食いしばり、ゆっくりとそれを強制的に凝縮させていった。
巨大なオーラが縮み、彼の肌にぴったりと張り付き、その存在感を完全に隠し去る。
彼はやり遂げたのだ。
しかし、オーラが安定した瞬間、タカシの目が白目を剥いた。
ドサッ。
彼は木の床に崩れ落ち、完全に意識を失った。
初心者がエックスランクのエネルギーを流すという肉体的な負担は、あまりにも大きすぎたのだ。
伝説のマスターは柔らかく笑い、シワだらけの顔に誇らしげな微笑みを浮かべた。
彼は優しく少年を抱き上げる。
「よくやったぞ、坊主。お前が真に父親の息子であることを証明したな。聡明で、忍耐強く、そして勇気に満ちている」
「この先の道は地獄だが……私の最後の息が尽きるまで、共に行こう」
彼は少年をベッドに寝かせ、食事の準備をするために部屋を出た。
第二十二章をお読みいただき、ありがとうございました。
タカシが初めて「変貌した自分」を鏡で見るシーン。そして、マスターの説得により再び立ち上がり、精神世界で神狼と対峙するシーンは非常にドラマチックでした。
六歳にしてエックスランクの狂暴なエネルギーを抑え込む訓練を始めたタカシ。彼の才能はハヤト譲りであり、マスターもその成長に大きな期待を寄せています。
「オーラを隠し幽霊となる」という第一の試練をクリアしたタカシは、アカデミーでどのような生活を送るのでしょうか?
本格的な修行が始まる次回の展開にもご期待ください!評価とブックマークをよろしくお願いいたします。




