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マキナと模擬戦、恨むなら神を恨みな!


「1018番、1019番の模擬戦を始める。両者前へ」


俺とマキナの模擬戦が始まる。

マキナが手に持っている武器は、長めの槍。

対して、俺が持っている武器はレイピア。

レイピアを選んだ理由は、試験官にいろいろな戦い方ができるのだと見せるためだ。父からあらかたの武器の扱い方は教えてもらっている。

てか、肉体強化レベル10を持ってたり、あらゆる武器の使い方を教えられるクスノキ父さんは何者なんだよ。

まあ、それは置いておいて。

チートスキルを持っているはずのマキナとは、どう戦おうか。ザック先生の全力を引き出すほどなのだから、相当強いはず。

肉体強化系か、補助系のスキルとみていいだろう。直接攻撃するようなスキルではないはず。

ならば、一撃でももらったらまずいな。


「始め!」


マキナは先手必勝とばかりに、槍を持って跳躍し、こちらに向かってくる。

先ほど、俺が奇襲で先生に勝ったと言ったのに対策をしてのことだろう。

マキナの攻撃を、余裕を持って避け、死角に回り込み、レイピアで突く。


「見えてるんだよ!」


マキナはそれを、たやすくかわす。

そして、槍を回してくる。

レイピアで防いだが、俺は押し飛ばされた。

やっぱ、力強いな。でも、チートと思うほどの膂力ではない。

肉体強化ではないということか。

マキナは、好機を逃すかとばかりに俺を攻め立てる。

レイピアで、槍を弾き続けるが、防戦一方だ。

どうしてか、レイピアの軌道が全て見切られている。先ほどのように、絶対に見えないような軌道でさえもだ。

少し、どんなスキルかわかってきたぞ。

ならば、先の模擬戦のように、跳躍で攻めてみるか。

俺は、マキナの振る槍を足場に、天井に向かって跳躍する。そして、天井を蹴り、マキナの後ろ側に向かって跳ねる、その際に、目を閉じることを忘れない。

そして、俺はマキナを再三度、死角から突いた。


「マキナ!お前のスキルは、視覚の共有だ」

「厳密に言えば違うよ。それに、俺の共有している視覚はヒイラギの視覚じゃない」


俺が、目を開けると、マキナはレイピアの先を掴み取っていた。


「ザック先生の視覚だ」

「くそ!」


俺は、レイピアを手放し、マキナから離れた。でなければ、やられていた。


「ははは、さすがだな。これだけの打ち合いで視覚を共有してることを見抜くなんて。さあ、ここからが本番だ、俺のスキルの真価を見せてやる」

「やってみやがれ!」


俺は、拳を握りまっすぐマキナに向かって走りこむ。

武器がなくたって、やりようはいくらでもあるんだよ。

俺の拳と、マキナの槍がぶつかり合う。

その瞬間、マキナは不敵な微笑みを浮かべ、

そして、あっさりと俺の拳を顔面に食らった。

綺麗に決まったせいか、マキナは後方に吹っ飛び、壁に思い切り激突した。


「勝負あり!」

「え?」


いやいや、おかしくね。これからスキルの真価を見せてくれるんじゃないのかよ。

てか、そもそも俺のステータス、力1だぞ、その拳で吹っ飛ぶとかどういうことだよ!

まあ、当初の予定の通り、思い切りぶっ潰せだから良しとするか。神への怒りの八つ当たり終了!

ずるいもんな、視覚の共有とか!使い方次第じゃ、本当にズルイ!しかもそれが真価じゃないっていうし!やっぱ、俺のスキルだけ不遇すぎるんだよな。


そう考えながら、マキナに手を貸してやり、立たせてやった。


「お疲れ、いい戦いだった」

「ありがと、ねえ、一つ質問なんだけど」

「なんだ?」

「ヒイラギ、君、どんなスキルを使ってるの?」

「だから、分からないんだって」

「俺のスキルさ、貴方と私、って名前で、相手のモノを自分と共有するっていうスキルなんだけどさ」

「あー、それで視覚を共有したのか」

「うん、それでさ、ヒイラギも転生者だろ。だから、凄まじく強いスキルを使ってるんだと思って、最後に共有したんだよ。そしたら、急に体から力が抜けたんだ。どういうことなんだ?」

「えっと、いや、よくわかんないんだけどさ、多分俺のスキルは全てのステータスを1で固定するって、スキルだと思うんだ」

「そういうことか。え、でも、だったら、最後の拳の力、おかしくないか?顔面ぶっ飛ぶかと思ったぞ」

「そうなんだよ。いくら、マキナがステータス1になっても、俺の拳の威力だって1な訳だから、あんなことにはならないはずなんだよ。なんでだろうな」

「ヒイラギ、嘘ついてないだろうな?」

「ついてねえって」

「ならいいけど、あっ、次の模擬戦そろそろ始まるよ」

「あっ、そっか、次は1020番とか」

「じゃあ、頑張って!俺に勝ったんだから、普通の人に負けるなよ」

「分かってるって」


こうして、俺とマキナとの模擬戦は少しの謎を残して終わった。

てか、やっぱりチートだな。

相手のモノを自分と共有とか、想像よりやべえじゃねえか!

ザック先生と、ステータスを共有して戦ったのかな?それだったら、本気を引き出せても、勝てなかったのは頷ける。単純に武器の扱いや、経験の差だろう。

あー、俺が、普通のチートスキル持ちだったら、スキルを共有された時点で、負けてたかもな。

いや、多分負けてたな。

くっそ、神様は不公平だ。



ーステータスカードー

[名前]

マキナ・ハーヴェスト

[能力]

体力……1000

力……1500

魔力……830

俊敏性……920

耐久力……950

魔法耐久力……790

[スキル]

貴方と私……スキル発動時、スキル対象者のモノを自分と共有する

肉体強化レベル1……一定時間体力と力を1.2倍にする

肉体強化レベル2……一定時間体力と力を1.3倍にする

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