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わらしべ長者作戦

 雑踏の音が一気に戻ってきた。


 (ドライバー1本を金貨1枚にか……ノアもなかなか無理な事言うぜ)


 腰のベルトから一番使い込んだプラスドライバーを抜く。


 露店を眺める。


 干し肉、干し魚、干し芋らしき……。


  そして――壊れた秤。


 片方の皿が傾いている。


 (イケるか?)


 太った店主が汗を拭きながら叫んでいる。


 「銅貨三枚だ!安いぞ!」

 

 「オッサン、その秤壊れてるな」


 「は? 壊れちゃいねぇ」


 俺は秤を持ち上げ、裏を覗く。


 軸受けの金具が曲がっている。


 「ここ。芯がズレてる。正確に量れない」


 男が目を細める。


 「……直せるのか?」


 「工具があればな」


 ドライバーを軽く振る。


 「これで十分だ」


 男は少し考え、鼻を鳴らす。


 「直せたら銀貨1枚やる」


 (まあそんなもんか)


 俺はしゃがみ込み、金具を外す。


 歪みを少しずつ戻す。


 慎重に、力を分散させる。


 周囲の視線が集まる。


 五分。


 最後にネジ穴を舐めらせないように、ドライバーでしっかり組み直した。


 皿を置く。


 男が干し肉を載せる。


 針が真っ直ぐ止まる。


 「正確だ…な」


 パチパチパチ


 周囲の拍手が起きた。


 「ここで商売するなら、秤は命だろ?」


 男は俺のドライバーを見つめる。


 「それ、売れ」


 (食いついた)


 「さっきの工賃込みで金貨一枚だ」


 周囲がざわつく。


 男は笑った。

 

 「高すぎる」


 俺は秤を指で軽く叩く。


 「また壊れるぞ。安物だ」


 男は少し考える。


 「……銀貨五枚」


 (もうちょいイケルか?)


 「金貨一枚。今なら秤の微調整も教える」


 男は悩む。


 そばにいたイケメン男が応援してきた。


 「今後も商売で使うなら安いもんだろ」


 男は舌打ちした。


 「……わかったよ。ほら金貨一枚だ」


 (おー、本当に金貨1枚になっちまった)


 ドライバーを渡す。


 周囲から拍手が起きた。


 (わらしべ一段目、成功)


 次を考えながら道を進むと、


 「面白いことするな」


 屋根の上から声が降ってきた。


 声の方に振り向く。


 黒装束にフード。

 

 (あれ?さっき応援してくれたイケメン君だ)


 「新参者の割には大した交渉力だ」


 男は屋根から軽やかに降りる。


 着地音がほとんどしない。


 近くで見ると、年は俺よりちょい若いくらい。


 細身で整った顔立ち。


 動きに無駄がない。


 「俺はカイン。情報屋だ」


 (シーフか)


 「便利屋の涼だ。さっきはありがとう」


 「便利屋?初めて聞く職業だな」


 「そうなんだよ、色々あってな」


 「この街は盗賊が多い、気を付けた方がいいぞ」

 「フッ、まあそんな俺も盗賊あがりだがな」


 (全然かっこよくねー)


 「しばらくこの街にいるんだろ?俺と仲良くなって損はねーぜ」


 (ふつう自分から言うか?笑)


 「カイン、とりあえず今後もよろしく」


 「ああ、またそのうち会おう」


 言うや否や、風のように立ち去った。


 「忙しいヤツ……」


 周囲を見渡す。


 壊れた荷車。


 ほつれた帆布。


 緩んだ扉の蝶番。


 (仕事だらけじゃん)



 第ニ段、荷車の主と交渉し、金貨1枚で材料を買い、荷車の修理でお礼の【鉄の盾】をゲット。


 第三段、壊れた【鋼の盾】を引きずっていたホビット族の男に、鉄の盾と交換して貰う。


 第四段、鋼の盾を修理がてら高級そうな装飾を施して、中古防具屋に持ち込んだ。

 当初金貨5枚と査定されたが、別の店も同額だから違う店探すと言ったら、渋々6枚くれた。


 第五段、向かいの武器屋で、金貨6枚でセール中の【鋼の剣】を購入。


 第六段、鋼シリーズで身を固めてるセレブ戦士に、それを金貨10枚で売りつけた。


 金貨10枚に到達した!


 「ヤッター、ノア、俺やったぞー」


 (イヤ、残り1回の助言を使うにはまだ早い)


 (とりあえず、宿でも探すか)


 考え事をしながら道の角を曲がると、


 「キャーーー!」


 ぼふん!


 (!?)


 この感触はひょっとして……

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