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第13話 内閣総理大臣の憂鬱  エネルギー戦略会議

◆エネルギー戦略会議 ― 核融合と未来産業の挑戦


首相官邸 執務室


秋の冷たい風が東京に吹き始めたある日、総理は官房長官、アケミ、経産大臣、エネルギー政策担当官を招き、内密のエネルギー戦略会議を開いた。


総理

「アケミ、いよいよ次の一手に踏み出す。エネルギー政策だ。化石燃料に依存しない未来をつくるため、核融合発電施設を全国に十カ所、設置する計画を進めたい」


アケミ

「はい、総理。現在、実験炉として運用中の2基を含め、技術的に本格稼働は十分に可能です。都市圏近郊、地方分散型モデル、沿岸冷却型など、配置案も整っています」


官房長官

「予算はすでに特別枠で組める目処が立っています。これにより電力コストが半減すれば、製造業の競争力も一気に上がるでしょう。加えて……」


彼は資料を一枚めくった。


官房長官

「原子力発電所の廃炉事業も加速させます。老朽化したプラントを順次閉鎖し、放射性廃棄物の無毒化と再資源化を含めて、冒険者ギルド株式会社に発注したいと考えています」


経産大臣が頷いた。

「冒険者ギルドの魔法技術による廃炉作業と、使用済み核燃料のミスリル化技術は、国際的にも大きな注目を集めています。もはや人力では対応できない複雑な構造も、彼らのゴーレム技術で解体が進められる」


総理

「よし。核融合を未来の柱とし、原子力を安全に終わらせる。さらに、我々にはもうひとつ、可能性がある」


総理は別の資料を手に取り、静かにテーブルに置いた。

「海底レアメタルの採掘だ。日本の排他的経済水域には膨大な鉱物資源が眠っている。これを採掘し、希少資源の自給率を飛躍的に高める。そして冒険者ギルド株式会社に、これも一括で任せる」


アケミ

「ダンジョンコアによる水圧耐性構造、魔法転送による輸送、採掘ゴーレムによる自律作業、すべて運用可能です。安全性も従来の無人探査機より高く、効率も3倍以上」


官房長官

「これが実現すれば、日本は資源大国の仲間入りです。エネルギーも資源も自前でまかなえる国家になります」


総理はゆっくりと頷いた。

「よし、進めよう。未来のために、今ここで国の土台をつくる」


そして、その決断はすぐに実行に移されることとなる。


数日後、国会での首相談話にて発表された『日本国家エネルギー・資源自立戦略』は国内外に大きな衝撃を与えた。


・全国十カ所の核融合発電所建設

・既存原発の段階的廃炉と魔法技術による安全処理

・海底レアメタル採掘プロジェクトの本格始動


こうして、日本の未来を担う巨大プロジェクトが、静かに、しかし確かに始動した。


これら全ての実行主体に、冒険者ギルド株式会社が指名されたのだった。


◆冒険者ギルド株式会社 ニューヨーク拠点

ジャック

「これで“未来を支えるインフラ”も、俺たちの守備範囲だな」


ガルド

「燃えるぜ。ゴーレムにも圧力対応型を増設しなきゃな」


マーガレット

「海底探査ニャ。カニと仲良くできるといいニャ」


◆宗教団体の暗躍

東京都内・某巨大宗教施設地下 礼拝堂


重厚な石造りの天井の下、銀の燭台に揺れる火が、教団幹部たちの顔を照らしていた。祭壇の奥に鎮座する教祖は、手元の巻物に目を落としたまま、低い声でつぶやいた。


教祖

「核融合に、海底資源……。今や日本は、神の域に達しようとしているな」


幹部A

「安原総理の政策が続けば、経済は安定し、国民の不安は消えます。“救い”を求める者は減り、我々の組織基盤が脅かされます」


幹部B

「寄付も減り、宗教法人優遇の見直しが始まれば、税制すら敵になるでしょう。我々の聖域が、崩れかけています」


教祖

「ゆえに、干渉せねばなるまい。奴の“繁栄”に“破滅”を添えてやれ。信仰を忘れた文明に、神の鉄槌を」


幹部A

「すでに手は打ってあります。核融合発電所周辺への内部協力者の配置、海底施設の情報漏洩、次なる“啓示”は近いかと」


教祖

「よろしい。神は試練を望んでおられる。“光”なき者に、未来など与えられてはならぬ」


静かに、儀式の鐘が鳴り始めた。


◆財務省官僚の密談

霞が関・財務省地下室


省内でも限られた人間しか入れない“特別会議室”にて、重々しい空気の中、三人の男が資料を机に叩きつけた。


財務官僚A

「核融合? 海底資源? 夢物語だ。あんなものに予算をつぎ込んでどうする。財政は破綻するぞ」


財務官僚B

「それに、冒険者ギルド株式会社に一括発注とは何事だ。省を通さず、政治主導で全てを決めている。もはや我々の“統制”は失われつつある」


財務官僚C

「天下り先のエネルギー団体や調査機関が、次々と潰れている。これ以上減税が続けば、補助金も予算も握れん。存在意義そのものが危うい」


財務官僚A

「世論が味方しているうちに、安全保障リスク”という形で逆風を作れ。核融合の安全性を疑問視させ、レアメタル採掘には海洋汚染”の懸念を持ち出せ」


財務官僚B

「学会を抱き込み、シンポジウムと称して“リスク評価報告”を出させましょう。科学的中立を装えば、反論も困難になる」


三人は顔を見合わせ、頷いた。


◆野党側の反対勢力の会話

永田町・某党控室


野党議員A

「ったく、次は核融合だと!? どこまで“未来感”で支持率を稼ぐ気だよ」


野党議員B

「さらにレアメタル採掘だとよ。海底から金属を掘るだ? アニメの話じゃねえか」


野党議員C

「党首が落選して以来、支持率が戻らない。増税反対を叫んでも、あいつが全部先にやってるから効果なし。次の選挙、ウチも危ないぞ」


野党議員A

「よし、反撃のシナリオを立てろ。環境破壊”と“地方切り捨てを軸にしよう。地方漁民の声ってことで反対運動を演出だ」


野党議員B

「そして、再び“社会保障削減の危機”を叫ぶんだ。大事なのは雰囲気だ。実態はどうでもいい。イメージ戦争で勝て!」


全員が顔をしかめつつも、拳を握った。


◆マスコミの反対勢力の会話

某キー局報道編集部


記者A

「はぁ、また革新的政策かよ。今度は核融合とレアメタルだってさ。まるで漫画の設定だな」


記者B

「視聴率が下がってる。庶民の不満がないと、ドラマにならないんだよ」


記者C

「じゃあこうしよう。核融合施設の安全性に懸念”って見出しで連日報道。海底採掘で生態系が崩壊”とかもいい」


記者A

「科学記者のコメントももらって“真実っぽく”演出する。ネットの陰謀論を逆手に取って、『裏で世界の投資家が絡んでる』って記事も出そう」


記者B

「いいね。ギルドが政府と癒着”とか“特区制度の闇”とか、攻め所は山ほどある。スポンサーも文句言わないさ」


記者C

「よし、祭りの準備だ。『国家が暴走している』というムードを作るぞ!」


◆某国スパイ工作員の密談

某国・大使館地下室


スパイA

「安原総理のもと、日本は経済も技術も完全に回復しつつある。出生率すら上がってきた。これは驚異だ」


スパイB

「我が国の出生率は半分以下だというのに。羨ましい限りだ。あれほど憂鬱だった国が、今や“モデル国家”とは」


スパイC

「しかも、核融合発電とレアメタル採掘で、エネルギーと資源の自立すら見えてきた。これは我々の産業にとって致命的だ」


スパイA

「外から崩すのは難しい。だが、まだ“遅らせる”ことはできる」


スパイB

「国際学術団体を使って“倫理的リスク”を提起し、遅延を生じさせる。特にヨーロッパ系の団体は協力的だ」


スパイC

「嫉妬は最大の武器。日本を嫉妬させる国々と手を組み、足を引っ張る連帯を展開しよう」


スパイA

「よし、開始しよう。正面衝突はせず、進路を歪ませろ。我らの新たな作戦だ」


そして、影の戦いもまた、静かに動き出していた。


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