009 売り飛ばす
俺と羊戦士四体はガミンの街の広場に転移した。始めは賑やかだった周囲は次第にざわざわとした感じになってくる。
どうやら、みんなこちらを見ているな。小声でひそひそしているが、テイミングの羊戦士が珍しいのか?俺、何かやらかした?
広場の視線が全てこちらに向いていて、居心地がわるく、そそくさと広場をあとにして、ペットショップを目指す。羊戦士の数珠つなぎのロープの一端を持って、街の中を連れていく。
途中で一体がつまずいて四体とも派手に転ぶという、コントみたいなこともして、俺はかなりイラついた。どろどろになっているじゃないか売れなくなるぞ。全くこんなに足が短いのになんで二足歩行なんだよ!
ようやくペットショップまでたどりつく。道中はちょっとした人だかりができるほど目立ってしまった。
扉をくぐると、店員は商品のチェックをしているのか
「いらっしゃーい」
と、後ろ向きに答えた。
「こいつらの買い取りを頼む」
店員はこちらに振り向き数珠つなぎの状態の羊戦士見て驚いた。
「何やってんですか!お客さん!!」
店員は慌てて駆け寄り、勝手にロープをほどき始めた。俺のテイミングモンスターなんだけど……。とりあえず理由を聞いてみよう。
「何かまずかったか?」
「まずいも何もメェメェ自警団の羊戦士じゃないですか?」
自警団をお縄にして歩いていた。だから周りから注目されていたんだな。しかしそのネーミングセンスはなんだよ。
「こいつらが襲ってきたから、テイミングしただけなんだが?」
「襲う?まさか?お客さん何か悪いことしてませんか?」
「メェェェェ」
「メェェェメェ」
「メェメェェメェ」
「メェメェェメェメェ」
四体が急にざわつき始めた。どうやら助けを求めているようだ。俺は命令する。
「静まれ」
店員は羊戦士が言っていることは理解できないようだ。適当に誤魔化してみよう。
「それにこいつらは自警団じゃない。野生だ」
店員はニヤニヤしながら、聞いてきた。
「それにテイミングって、本当にできたんですかぁ?」
「あ……当たり前だろう、現にこうして連れてきている」
「あれは信頼関係が第一条件の魔法なんですがねぇ~」
信頼されないと仲間にならない的な魔法だったのか。俺の魔法とはちょっと違うようだな。