13A-01 『消滅の代償』
13A-01 『消滅の代償』
激しい爆発音によって、クローディア(マリ)は意識を取り戻した。
「ここは……一体どこで、何が……ぐっ……!」
何が起きたのか周囲を確認しようと試みるが、身体に全く力が入らない。
どうやら床にうつ伏せのまま倒れているようだ。
全身が深刻なダメージを受けており、自力で体を起こすことすら不可能な状態らしかった。
クローディアは諦め、視線だけを動かして周囲を見回す。
すぐ近くに、ゆりが倒れていた。彼女もまた、ピクリとも動かず意識を失っている。
「やばいな……ゆり、大丈夫か……」
必死に声をかけようとするが、声帯が焼けているのか掠れた声しか出なかった。
頭上でアラートがけたたましく鳴り響いている。
視界の端にあるモニターを何とか確認すると、そこには絶望的な警告が表示されていた。
――『対消滅炉、暴走状態』
一刻も早く手動停止させなければ……いや、もはや手遅れだろう。
何より、自分の身体が指一本動かないのだから。
「くそ……あいつらめ、忌々しい……! ここで私も終わるというのか……」
意識が遠のきかける中、クローディアはこの事態を引き起こした原因を必死に思い出していた。
時間を少し巻き戻す。
それが数分前だったのか、あるいは数時間前だったのか――過酷なダメージのせいで、時間の感覚はすでに曖昧になっていたが。
クローディアとゆりは、いつものように地下研究所で作業を進めていた。その時、突如として激しい揺れが二人を襲った。
「む……地震か……?」
クローディアが周囲の器物に視線を走らせ、揺れの程度を確認しようとする。
「いえ、これは地震じゃないわ……時空震反応! アラートが出ている……あいつらよ! 発生場所は……嘘でしょ、ここ!?」
モニターのデータを解析したゆりが、驚愕の表情を浮かべた。
「いけない、マリ! アノマリーが直接、炉の内部に出現しようとして――!」
ゆりがクローディアへ警告を発しようとした、まさにその矢先の出来事だった。
視界のすべてを焼き尽くすほどの強烈な衝撃と、閃光、そして超高熱が二人を呑み込んだ。
それは、考え得る中で最悪の事態だった。
研究中だった対消滅炉の中心点に時空震が発生し、アノマリーが直接出現。
その莫大なエネルギー干渉によって炉の物理隔壁は一瞬で崩壊し、出現したアノマリーもろとも大爆発を起こしたのだ。
そしてその爆心地となった研究所全体が瓦礫の山と化し――現在に至るのだった。




