究極のメニュー
「なんやねん。この店かいな」
「ん?嫌か」
「いややあらへんけど。後がタイヘンやんか。戦争中やし」
「あの?この店は?ホテルなんじゃ?」
「食事もでて、絶品なんだよ。前にセィソと来たんだけどね」
「へぇ~正妻の私をおいて、へぇ~ぇぇぇええええええ」
「あの時、お前は行方不明だったでしょ」
とか何とか言いながらやって来たのは、シュペリアの精力料理が名物のホテルである。
「いらしゃいま……えぇええええええ」
前回、隠れて笑い転げてたホテルマンが声を上げて驚愕していた。鉄面皮&営業スマイルのリミットを超えたらしい。
「あの?先程聞いた情報なのですが、新魔王様と真魔王様ですよね?戦争をはじめて、この街が戦火に焼かれるどうこうと……」
「ひさしぶりやな。せやで、絶賛戦争中やけど、せやけどメシやメシ」
「はじめまして。まぁ戦争中ですが、お腹はすきますし、勇者さんのお誘いですし」
間に挟まれる俺は、バチバチと目から電気が走っている二人のせいで感電しそうだ。
「食事をよろしく頼む。俺とホテルと世界の存亡がかかってるから」
「魔王♀ 勇者♂ 魔王♀ なんという、嫐……上級者。しょ、承知いたしました」
「うん。ホント……よろしくね」
食堂に移動しようとすると、ホテルマンが魔導受話器から指令をだしていた。
「当宿の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ。予算も食材も無制限に使って良し。全力でやり切れ」
わかってるじゃないか。たのむぞ、精力料理。
そして出てきた料理が……
・フェニックスの肝臓
・フェンリルの干し肉
・ドラゴン・エッグ・ピータン
・ユニコーンの腸詰
「ちょ……国家予算級の高級食材やんか」
「な、なんですかコレ。す、すごい良い香り」
「全力全開だなヲイ」
先程のホテルマンがやってきた。
「戦争で街もホテルも瓦礫の山に埋もれる可能性がありますので。当ホテル秘蔵の食材を全部使ってしまえ、と指示いたしました。そして、魔王様お二人のお考えが変われば、安いモノでしょう」
予想以上に頑張りすぎだよ。後で請求くるなら、魔王二人に請求書ごとホテルを瓦礫にしてもらうしか……などと、物騒なことを俺が考えていると。
「まぁええわ。食べてから考える」
「朝から食べてないんですよ」
「たしかに、冷めるのが罪に思えて来る」
どうぞ、とホテルマンのジェスチャーがあった。
「「「いっただっきまぁ~す♪」」」
「なんや、コレ。うまっ、うますぎるやん」
「美味しいです。こんなに美味しいモノがこの世にあるなんて」
「嗚呼、日本を超えた……」
魔王2人と勇者の俺の3人で、モリモリと食事を進めていく。
すると、ホテルマンが俺の耳元で囁いた。
「味だけでなく、アッチの効能もケタ違いです。通常は1品でも大変なことになるのですが、4品お出ししても、貴方達なら大丈夫でしょう。あと、コチラを」
スっと、ホテルの部屋の鍵を渡された……なんという配慮。
「ほんま、運動した後やし、更にウマイわぁ」
「おいしいですねぇ、姉さん。動いた後ですしぃ~」
運動ってオマエラね……?
ホテルマンの情報も気になったが、俺の食も進んだ。
「それでは、デザートに。仙桃のシャーベットをどうぞ」
5品目で、さらに畳みかける気か?ホテルマン。
「ええなぁ、ええなぁ。こってりした後のサッパリ感」
「仙桃なんて高級食材……なんて、おいしい」
「山の神に捧げられる生贄100人の代わりになったっていう仙桃か。それだけの価値があるな」
っていうか、コレ……川にドンブラコと流れてきたのを、お爺さん&お婆さんが食べたら、ムラムラして、久々にハッスルした結果、高齢にもかかわらず桃太郎を授かったっていうアレですよね。こちらのファンタジーにもあるんですか、そうですか。
「「「ごちそうさまでしたぁ~♪」」」
俺達は、完食した。伝説級の精力料理5品を……
ふぅ~と息を吐いたその時。
ドクンっ
全身の血が動き出し、局部に集中する。
「なっ、なんやぁああああコレ、体が」
「わ、わたしもぉおお、カラダが」
「ふっ二人とも、少し休んでいくぞ」
俺は提案する。
「せやな、わかった」
「うん。そうする」
そうして、勇者たる俺は、魔王二人を連れて、決戦の場、ロイヤルスウィィイイイトルームに向かうのだった。
魔王二人との姉妹丼。
勇者だ、勇者がいる。




