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最臭屁器聖女は勇者パーティーを離脱しました  作者: 凜古風
最後の戦争ハゲマルドン?の始まりです
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国家の在り方

 リヴァケープ城に入城した俺達は、贅肉王女タプンツェルと対面していた。

「いかん、いかんのでござる。放屁聖女殿がやろうとしていることの先は、滅亡でござる」

「そうか?貧富の差のない社会、差別・身分差のない社会、結構なことだと思うぞ。スケルトン達も奴隷達も平和に暮らせるじゃないか?」

「確かに、労働階級の者達にとっては、夢のような話でござろう。拙者もスケルトンと人間奴隷の待遇改善は、当然と考えているでござる……しかし」


 贅肉王女タプンツェルは容姿以外は優秀なんだよね。もともと第一王女だし。


「しかし?」

衆愚政治しゅうぐせいじ暴民政治ぼうみんせいじと呼ばれる事態を聞いたことがあるでござるか?学のない者達を寄せ集めたとしても政治は、進まないのでござる。人気取りの為に大衆迎合をすることもあるのでござるが、バランスを見て締め付けも必要なのでござるよ。そして反乱を抑える武力も必要なのでござる」

「大丈夫です。反乱が起こっても、新魔王ヘシア様が全滅させてくれます」

 共産化賛成のスケルトン・メイドが反論した。


放屁聖女ヘシア殿が、寿命を迎えた後は、どうするのでござるか?国家として百年ももなたい体制でござるよ」

「そ、それは……」

「特にスケルトンは、成仏しない限り長生きでござろう」

「はい……」


「ん~と、つまり、新魔王ヘシア軍を止めたいってタプンツェルは考えてるんだよなぁ」

「さようでござる。放屁聖女ヘシア殿は十代前半の少女でござるよ。国家の采配など辛い役目を背負わせたくないのでござる」

「あ~、そういや。『皆殺しにして、俺と二人きりの世界を~』とか『世界の半分を貴方にあげる』とか、言い出してたな」

 たしかに新魔王になってから聖女の精神はコワレテきているように思った。だからまぁ、肉欲に依存することで精神を保とうとしていたのかもしれない。


「権力者は狂い出すのでござるよ。聖女の放屁でプっ殺された拙者の元父上もそうだったでござる」

「元父上って、死んだ王様か?放屁の窒息で……」

「拙者は既に王城から追放され、親子の縁を切られているので、元父上でござる」

「なるほど。でも、女性騎士団や人類軍の残党は、そういう風に考えてないみたいだねぇ」

「左様。追放された身であれども、残った王族は拙者一人。彼らにも御輿みこしが必要でござろう」

「子供がいるから、二人だね」

「そうであった。となると我が息子が次の王か、そこまでは考えていなかったでござる」

「だとしたら、俺の息子の為にも、財産あったほうがいいよなぁ」

 共産主義だと財産ないものね。せっかくの王族だし。

「かわいそうに、王子ともなれば、過酷な教育が待っているでござる。拙者達とのんびりと生活できればよかったものを」

「じゃ、何もしないっていうのもアリじゃね?」

「民衆が身命を王に捧げた。そこから逃げてはならないのが王族でござるよ」

 なるほど、わからん。俺、日本人だし。


「では、スケルトンや奴隷達が身命を王に捧げた、新魔王様が王でも良いではないですか」

 俺が黙っていると、スケルトン・メイドが食い下がった。

「新魔王の本質は聖女でござるよ。死から救い、過酷な環境から救い、たしかに立派ではござるが、それだけなのでござるよ。王として名乗り出るのであれば、民草に生きることを、生き抜くということを導かねばならぬのでござる」

「そんな、私のような力無き者は、どうすれば……」

「一時的に救われることを望むのでござるか?そして新魔王の寿命が尽きれば結局は滅びるのでござる。しかし、王としての拙者に続けば道は開けよう。力が無くとも突き進む道があるでござろう」

「……はい」

 スケルトン・メイドは納得したらしい。


「お姉様が、世界征服するのが一番ですわぁあああ。わたくしも将軍として頑張りますわぁあ」

「待て待て、戦争はやめろ。放屁聖女ヘシアは仲間だろ」

「しかし、ここまで主義主張が異なっていては、一戦交えでもしない限り、収拾がつかぬのでござる」

「う~ん。じゃあさ、タプンツェルが率いてる人類軍残党を、形式だけでも勇者軍にしてくれないか?俺が新魔王になった聖女にブレーキをかけるよ」

「賛成でござる。どのみち、空中から悪臭を散布されては、大量殺戮ジェノサイドされて終わりでござる。勇者殿の消臭が無いと勝ち目はないのでござる。先頭とお願いしたいのでござる」

「それなら、わたくしは勇者様に続きますわぁああ」

「拙者もタンク役で出陣するでござる」


 この二人連れてたら、攻撃も防御もバッチリだなぁ。


と、そんなことを考えていると。

王女タプンツェル様ぁ、大変でございます」

「あわてて、どうしたのでござるか」


「マウントリーフにて、真魔王軍と名乗る勢力が旗揚げされました」

「スケルトン関係以外の、魔王軍残党でござるか」

「その通りです。そして、真魔王の名は、セィソ・イタブールです」


「「「な、なんだって」」」


 え~、またこの展開!?って、なにやってんすかセィソさん。

 実家帰ってたんじゃねーのかよ。

 いやでも、死んだ魔王の娘だし順当なのか?

乱世、乱世……三国時代。


・新魔王軍(元聖女率いるスケルトン&人間奴隷)

・王女&勇者軍(人類軍残党と一部の獣人族)

・真魔王軍(セィソ率いる魔王軍残党)


最終戦争、ハゲマルドン。はっじ まっるyo~♪

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― 新着の感想 ―
[一言] ちょ、まさかの三つ巴(;'∀') これ収拾つくのかな!?!?
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