別れと真実
「うわぁ、勇者を、一瞬でボロ雑巾みたいにしてしまうんや」
「この程度、大丈夫です。回復放屁で治りますから」
「『頭皮発光消臭ッ』」
俺のボロボロの体が治療されていく。
臭いので、頭を光らせて消臭を継続させているが。
「マジいてぇ……」
「『金玉帯電』や」
「ぎゃぁあああああああ。何、するんだ」
俺は、電流を流された股間のタマタマを押さえて転げまわる。
「ん?他の痛みで、誤魔化したろかと思ってな」
ありますけどね、足を痛めたマラソン選手が、ボールペンを太腿に刺して誤魔化したとか。
でもさ、両方とも動けなくなるくらいの激痛だとどうしろと?死んだカエルの足に電気流して、動かしてるようなもんじゃないのかな。
「なるほど……貴方も勇者さんの躾け方を理解してるみたいですね」
「せやろ、期間は短いけど濃い内容やからなぁ」
もしもし?やめてくれません?巨乳美女と貧乳美少女に挟まれるのはいいけど、いたぶられるのはチョット。
「で、朝から何か用事があるのか?」
「お~、せやった。せやった……聖女にたどりついたんやし、勇者の旅もここで終わりやろ。んで、ちょっと、ウチ実家に用事できたから帰るわ」
「実家!?」
俺や聖女には、もうないなぁ。
「ちょっとなぁ、母親が呼んでるみたいでなぁ」
「そうか……親孝行してこいよ」
「せやなぁ、ウチのこと父親のDVから守ってくれてたしなぁ」
「勇者さんは、正妻の私にまかせてください」
「ほんでな、『金玉活性』のスキルをアンタに譲渡したいねんけど?」
「絶倫スキルか」
昨日もお世話になりました。
「そ、そんなスキルで毎晩お相手されたら、私壊れちゃう」
「ん?いらんのん?」
「いえ、いります。お願いします」
「別の気に入った男に、使わなくていいのか?」
「知ってるやろ。玉潰しって通り名なんやで、ウチは怖がられて男が寄り付かんっちゅーねん。持ってても宝の持ち腐れや」
「……じゃ、ありがたく、いただこうかな」
「これで、毎晩、毎晩。勇者さんと二人きりで濃密な夜が……きゃ♪」
「アンタら、ほどほどにしぃや」
「そうだな。心臓止まったもんなぁ」
腹上死の後、蘇生されたのを思い出した。
「で、金玉袋の中の白金貨のウチの分とかゴブリンのタマとか出してもらって、他には旅準備とか、頼んでええか?」
「金玉駆動車は、ダメージが大きすぎて修復不可能だったしな」
「いいですよ。スケルトン・ホースを用意しましょう。休みなく走れますけど、大事に扱ってくださいね。普通の馬と同じ程度に休ませてあげたら、満足すると思います」
「おっ馬か、助かるわ」
「乗れるのか」
「一応、のれるで」
「勇者さんは、乗れませんもんね」
日本から転移してきた俺に乗馬スキルなんてねーよ。
「そうだな」
「ほんなら、ウチらは、勇者にスキル譲渡して、金玉袋から必要なもん取り出してくるわ」
「わかりました。私はセィソさんが乗るスケルトン・ホースを用意しますね。馬車の方がいいですか?」
「いや、乗馬ほうがええわ」
そうして、俺達と聖女は別行動に移った。
------------------------------------------
セィソの宿泊している部屋に俺達は入る。
「まずは、金玉袋からか?」
俺が、ズボンと下着を降ろそうとすると。
「ちょい待ちや。アンタにだけは言っておかなアカン事あんねん」
「ん?なんだ?」
フルチンだと駄目なのか?
「さっき確信したわ。ウチと聖女は姉妹や」
「え?」
「母親は同じで、父親が違うけどな」
「それは、また……」
腹違いは多いけど、種違いとは珍しい。
「アンタ。先々代の聖女のことは知ってるんか?」
「聖女から、聞いたことあるぞ。魔王に攫われて、人類側が奪い返したんだけど、また魔王に攫われた、って」
「それが、ウチらの母親や。ちなみに、ウチの父親は魔王やけどな」
「はっ!?」
「先々代の聖女が魔王に孕まされて生まれた娘がウチや。その後、人類側に奪い返されてた頃に孕んで生まれた娘が聖女なんや。3年くらい母親がおらん期間は、父親のDVがウチに向いて、地獄やったわ」
「せやから……」
「それで、魔王の金玉を爆発させて殺したと」
「せやねん」
魔王が死んだのは、複雑な家庭事情だったのか。
「このことは、聖女に伝えなくていいのか?」
「今はまだ、その時期やないと思うてるねん。そんで、もし、ウチに何かあったら、代わりに伝えてくれへんか?まかせるわ」
「わかった、そうする」
俺が神妙に考えていると。
「そうと決まったら、ほれぇえええい」
緩めていたズボンと下着を降ろされた。
「おいおい」
「スキル譲渡と、アイテム取り出しや。んで、出発前にウチを満足させてや」
セィソは、ベッドの上に覆いかぶさってきた。
「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」
モーツァルト『魔笛』の登場人物「夜の女王」が歌うアリアですね
地獄の復讐が心の中で沸騰する、
死と絶望が私の周りで燃え上がる!
ザラストロはあなたのせいで死の苦しみを感じているのではありませんか?
だから、あなたはもう私の娘ではないのです。
永遠に追放され、
永遠に放置されて、
永遠に砕け散る
全ては自然の絆。
そうでないとザラストロは青ざめてしまうでしょう!
聞け、復讐の神よ、母の誓いを聞け!




