女の闘い
ベルウッドへの道中、俺達勇者小隊は魔王軍残党に襲撃されていた。
「よくも、魔王様を」
「私の優雅な未来を」
「次の魔王は、私が生む予定だったのに」
キンタマを爆破されて死んだ魔王の連れていた女性魔族達である。
「あかん、女相手やとスキル使われへんやんか」
キンタマ駆動車で逃げながら、セィソが叫ぶ。
女性騎士達も後方で絶賛戦闘中だ。
「はぁ?女騎士?いかず後家の、こじらせ処女だろうが」
「我々にもう膜はない。ハゲ勇者に聞いてみよ。お前らと一緒にするな」
「わ、私達だって、魔王様が生きていれば……アンタ達より女らしいんだからね」
なにやら、壮絶な口喧嘩もしているようだった。
「まさか、死んだ魔王の従軍慰安婦?喜び組?と出くわすとはな」
「その表現、アカンって。神に消されるで、自主規制しぃや」
しまった、いらぬ事を言ってしまったらしい。メタ発言だけど仕方ない。
追いかけて来るのは、サキュバス、アマゾネス、インプ、ハーピィなどなど、魔王軍の綺麗ドコロ。服も煽情的で目のやり場にこまるけど保養される。ん~と?過激な水着を超えている。
「アンタもなぁ、鼻の下のばして眺めてやんと、スリングショットなりスコップなりで、あいつらの牽制せんかいっ」
しまった。つい……見入ってしまった。さすが、魔王の相手に厳選された女達である。
「はーい」
しぶしぶ、俺は、スリングショットとゴブリンのタマタマを準備し、俺達の駆動車を追いかけて来る先頭の小悪魔少女に狙いを定める。
……その時、小悪魔少女と目が合った。
「マイ・スウィイイイイト・エンジェル♪」
めっちゃ可愛い。もういいや、戦闘なんてやめて、イチャイチャし……
「っったく『金玉衝撃』や」
「うぎゃぁあああああ。痛い」
蹴られたような痛みが、俺のタマタマに走る。
「魅了の魔眼くらって、どなえすんねん」
「しゅんましぇん」
それよりも、タマタマが痛い。魅了解除の為とはいえ、ひどい仕打ちだ。
タマタマは大事なんだぞ。
「魔王様を殺した、あの女にも同じ苦しみを」
「そうだそうだ、女の前でハゲ勇者のタマタマを潰して殺せ」
ひぃいいいい、もっと恐ろしい叫び声が後ろから聞こえてくる。
潰したから、潰されて。潰されたから、潰して。駄目だよそんな悲劇の連鎖は。っていうか、アイツラ俺の玉々と命を狙ってるのかよ。まじヤメテ。
「あかん、追いつかれてきたで、もしタマタマを潰されても、『金玉蘇生』で復活させるんやから、アイツラの気休めに潰されてみたらどうや?」
やめて、俺と俺のタマタマを見捨てないで。
「それは嫌だ、『頭皮閃光』」
俺は魅了されないように目を閉じて、頭を光らせる。
「「「「「「目がぁ~目がぁ~」」」」」」
「ナイス♪太陽拳や、ムス化してまえ」
「それっ、違う作品だからダメダメ」
が、しかし空を飛ぶサキュバスに先回りをされた。
「アイツらには魅了の魔眼あらへん。いてもうたれ」
「オッケー」
そうして、俺はスリングショットでサキュバスに向けてゴブリンのタマを発射する。
「『金玉大爆発』や」
空中で爆発するゴブリンのタマ。
「どうや?やったか」
「……よけられたけど、牽制にはなっ……いい香り」
なんだろう、巨乳でキワドイ水着のような服のサキュバスねーさん達に囲まれて、きゃっきゃ♪ウフフ♪
「『金玉帯電』や」
「ぐぉおおおおお、タマが、タマが……痺れる」
スタンガンをあてられたような電気ショックが、敏感な器官に走った。とびそうな意識を必死で繋ぎとめる。あぁ痛てぇ。
「サキュバスのフェロモンにやられたんや。大丈夫かいな?」
「タマタマ以外は大丈夫……いてぇ、死ぬ」
「前、死なんかったやろ。大丈夫や」
そうかもしれんが、マジでヤメテ。
「そのドタマ使こたらええがな、放屁聖女の悪臭も浄化できるんちゃうんかい!」
俺は頭を使った。考えるのだ、確かにフェロモンも分解できるかもしれない。
「よし、『頭皮発光消臭』ッ」
俺は頭を使った。光らせたのだ。すると、フェロモンの成分も分解されたようだ。
「おお、コレで大丈夫だ」
俺は、まとわりつくサキュバスのフェロモンを次々と発光消臭で無効化していった。
「もうちょい、、、もうちょいで目的地やねんで」
セィソは、必死で運転していると。
「~~♪~♪~~~~♪♪♪」
歌声が聞こえる。なんだろう、夏の日刺しの中で白いワンピースを着て麦わら帽子をかぶった乙女が……
「ほい『金玉点火』や」
「#$%&$#」
もう、声も出ない。タマタマが焼ける。許して……生きててゴメンナサイ。
俺の意識は消えようとしていた。
「ほれ『金玉回復』」
おお、ついさっきまで、タマタマがガスコンロで直火焼きにされる状況だったのだが、快適に持ち直した。
「ハーピィの歌声による幻覚や、大丈夫かいな」
「大丈夫だ。タマタマもな」
「耳をふさいどきや」
俺は両手で耳に蓋をする前に。
「仕方ない……このスキルを使うか」
ズボンとパンツを下す。魔眼とかフェロモンとか幻覚のおかげで、股間のマグナムは上を向いていた。
「『〇頭放水』」
それは、消防車のポンプからでるよな大量の放水。マキシマム小便小僧に見えなくもない。
放出された大量の水は、空を飛ぶハーピィとサキュバスを弾き飛ばす。
「やったやん、命中や。アイツラ羽が濡れたら、移動速度落ちるでぇ」
「この技、あんまり使いたくないんだよなぁ」
「フルチンおったて勇者やもんなぁ。でも、敵は撒けたでぇ?ええええ?」
ガシンっと音が俺達の駆動車に響いた。
「な、なんや、車輪のキンタマが回らへん」
「クッソ、矢が刺さってる」
痛そうなのはさておき、車輪の骨組みに釘打ちしたワイバーンの金玉が矢で貫かれ、それが引っかかって車輪が回らない。
「アマゾネスの矢や」
「それならショベルで、なんとか」
俺はショベルを盾にして、飛来する矢を弾きながら、必死でワイバーンの金玉から矢を抜こうとした。
が、それは悪手だった。弓兵のアマゾネスに金玉駆動車の弱点をさらしたようなものだ。
「だめだ、防ぎきれない。い、痛そう」
大量の矢が射られるワイバーンの金玉。立往生した武蔵坊弁慶の最後ごとく刺さりまくる矢。
「しゃない強硬突破するで。『金玉回転最大出力』」
なんてヒドイ。なんてヒドイ光景。
矢が刺さっているにも関わらず、無理矢理回転させるもんだから、お箸で刺したハンバーグを無理矢理回したみたいに、ワイバーンの金玉がグチャグチャになりながら、前に進んでいく。
「ああ……嗚呼」
タマタマを持つ者として、あんまりにも悲惨な光景に涙が流れた。
そして……
「そこまでだ」
スケルトンの騎兵が俺達と女性魔族達の間に入り、仲裁したのだ。
タイトル「女の闘い」。
そのココロは「金玉に容赦がない」。
久々のタマ・ヒュン回でした。
そして、仲裁したスケルトン騎兵は何者なのか。




