王国の陰謀
宿で一晩過ごして、朝になった。
「あ~アカン。休息と回復のつもりやったのに」
「太陽が黄色いな」
昨日の午後に良く寝たが、夜中はあまり寝ていない。
「アンタなぁ……猫耳メイドに興奮し過ぎや。カピカピなるでコレ」
「う~ん、この宿で、クリーニングしてくれるのかなぁ」
「ほな、出るときに聞いてみよか」
「そうしよう、朝ごはん前に聞けばいいだろう」
そうして俺達はシャワーを浴びたり、服を着たりと、身支度を整え、汚れたメイド服を持ってカウンターに向かう。
「くくくっ、コスプレ着衣プレイ……くくくくっ。さ、さすが」
ツボったのか、カウンターのホテルマンは、必死に笑いをこらえていた。
「もちろん、当店ではクリーニングも承っております。洗濯後、夕方にはお渡しできますが、いかがなさいますか」
こいつプロだ、笑いをこらえて持ち直した。でも、鼻がヒクヒクしてる。
「すんません、このカチューシャもちょっと汚れてしもて、ついでに頼める?」
セィソ……確信犯だろ。
「ブホッ。猫耳カチューシャ!メイド服。なんという上級者。失礼」
ホテルマンはフロントの席を外して、奥に入った。
むこうでホテルマンは、めっちゃ笑い転げていた。
「必死でこらえてたのに、トドメさしたな」
「ん~?なんやろな?武士の情けや」
苦しそうだったもんなぁ。今も腹筋が心配だ。
「はぁ、はぁ、はぁ。失礼しました。猫耳カチューシャもクリーニングいたします」
奥から出てきたホテルマンは、スッキリしたのか。ちゃんと対応して預かってくれた。
「それでは朝食になりますので……食堂のほうへ……くくくっ」
まだ、駄目みたいだ。
「今度さぁ、夜の食堂でとか、どない?メイド映えするでぇえええ」
「そのシチュエーション、いいな、って食堂借りれるのか?」
とりあえず、のってみよう
「ぶほっ、上級者っ」
だめだ、ホテルマンのツボらしい。凄いねメイド服。
再び、フロント奥へ移動したホテルマンは解放してあげて、俺達は朝食をとる。
「よかったわぁ、普通の朝御飯や」
「あの精のつくメニューにされたら、二人で部屋にこもっちまうからな」
「せやなぁ。反則やでアレ」
そんなことを話しながら、食事をすすめる。
「ほんでや、街出る前に、ギルド寄りたいねん」
「あ、魔王倒したお金くれるかもってこと」
「せやでぇ、四十九億九千万円やでぇえええ」
「ゴブリン♂・スタンピードの討伐金が上乗せされるかもだしねぇ」
「そうやったぁあああああああ。まだ金上乗せやぁあああ」
ということで、お金大好きのセィソさんは興奮している。
「そろそろ、ギルドも開く時間やな。いくでぇええええ」
「そんな、急がなくても」
「ゼニは急げやぁああああ」
「善は急げだろう」
とうとう、ツッコミに回っちまったよ。と思いながら朝食を終えた。
冒険者ギルドに到着すると、扉をあける。
カラン♪カラァ~ン♪
と、いつものベルの音がして、俺達は受付嬢のところへ向かった。
「あっセィソちゃんと勇者じゃないの、ちょっと急いで奥へいってギルドマスターの部屋の前で待ってて」
少し焦っている感じがする。
「やっぱ、金額が金額やからなぁ、うひひ♪」
「そうだな。そうだといいが」
ちょっと、そんな雰囲気じゃないような気がしつつ、俺達はギルドマスターの部屋の前で待つことにした。
「マスターはよせんと、タマ潰すでぇええええ」
「ひぃいいいい、今、あけます」
どうして、関西弁の人って、気が早いんでしょうねぇ。
そうして、扉が開き、マスターと秘書に迎え入れられた。
「どうぞ、おかけください」
秘書が案内してくれる。
「失礼します」
そうして、俺達が席につくと、マスターと秘書は、申し訳なさそうな顔をしている。
「単刀直入に言おう。王国は魔王討伐の報奨金を支払わなかった……というか、先払いした一千万ゴールドだけで済ませてきた」
「はっ?なんでやねん」
セィソが怒りで立ち上がった。
「そもそも、支払いを渋っていたところに、新魔王である放屁聖女の登場を理由にしてきたのよ」
秘書さんがセィソをなだめながら訳を話す。
「しかも……だ。聖女&勇者パーティーの一員の貴方が魔王を倒して、放屁聖女が新魔王になったもんだから、自作自演まで疑う始末。どうにかしてるぞ、あの王族は」
「勇者が聖女探しの旅をしたことを把握していたにもかかわらず……よ」
そうなると、ギルドマスターと秘書さんは、比較的、俺達側で話してくれている。ありがたい。
「なんやねん、腹立つわぁ~。王族のタマとったるでホンマ」
「やめなさい。おちついて」
命なのか、睾丸なのか、それが問題だ。まぁ前魔王は、睾丸の爆発で命とられたんだけど。
「う~ん、俺が勇者召喚された時も『中年ハゲいらね』って第二王女が言うもんだから、王様まで『おお、そうだのぅ』って便乗して王城から放り出されたし」
「クソやわぁ~、前魔王も人間王もクソやわぁ~」
怒りでプルプルしているセィソに、もう一声が入った。
「そうそう、忘れてたわ。ゴブリン♂・スタンピードの討伐金の二千万ゴールドも渡さないとねぇ」
「そうだったのぅ」
パァーーーっと、セィソの顔が笑顔にかわった。
「おっ二千万ゴールドもくれるんか。ええがな、ええがな。うひひ」
「俺の取り分は無しで、いいぞ」
「そらせやろ。大丈夫やで、宿代とかは全部ウチが払ったるさかいな」
秘書にボソリと言われた。
「……ヒモ勇者ですね」
「若い娘に養われる中年ハゲ男が、はたして勇者なのか」
ギルドマスターにまで、ため息をつかれた。別にいいけどね。
「『金玉衝撃』や」
ぐおおっと、ギルドマスターは股間をおさえてうずくまる。
「ん?なんや?ギルマス?ウチに養われてみたいか?」
「そうだった。タマ潰しのセィソと共に旅する勇気。ああ、そうだ、お前は勇者だ」
「俺のこと、庇ったんだろうけど、やめたげて……」
「アンタがそう言うんやったら、まぁええやろ」
タマタマの無事を確認しているギルドマスターは放っておいて、俺達は秘書さんから二千万ゴールドを受け取る。
「前回と違い、こちらのお金は隠す必要なく、派手に使ってもらっても問題ないですよ。ゴブリン♂・スタンピードの全滅も、ゴブリン♀・スタンピードの全滅も、既に冒険者達の間では語り草ですから。特に♂討伐は男共が股間を押さえて震えあがっています。女の私から見れば♀討伐の惨状ほうが恐ろしいのですけど」
「ふふん、ほんなら豪遊でもしよかなぁ~」
「セィソが稼いだお金に口出しする気はないけど、ほどほどにね」
「……勇者さんは、ヒモ・スキルLv10(最大)でも、持ってるのでしょうか」
と、そんなことを話していると。
「ギルドマスター、遠方にスケルトン軍団です」
ノックもせずに、斥候の冒険者が駆け込んできた。
むっつりスケベなホテルマンwww
そして、夢とロマンの着衣プレイ。
嗚呼そういえば、嫁の給料が私よりも多くなりました。
「ヒモ作者」って言わないでぇええええ。
「稼いだお金に口出しする気はないけど、ほどほどにね」
↑この一言はホント大事。
でも、私の給料の使い方は、口出しされまくりなんだよなぁ。




