勇者が死んだ
なんだろう、夢でも見ているのだろうか?
若い猫耳娘34人に囲まれてキャッキャ・ウフフしていたんだろうけど?
あれ?どうして、俺は、ピンク色のモヤモヤの中にいるんだ?
そうして、俺は、ピンクのモヤの中を歩いていると……
「あんたぁああああ、帰ってきぃやぁああああ」
遠くからセィソの声が聞こえる。
でも、なんだろう?もう、いいかな。オスとして大☆満☆足しちゃった。
生物としてオシベの本懐を俺は果たしたんだ。
「メイド服着たウチに、ネコミミカチューシャつけて、着衣プレイせぇへんのか?」
衝撃的な提案が聞こえた。
「……死ねぬ、俺は、まだ死ねぬ。猫耳メイド着衣プレイだとぉおおおお」
そう、思った途端、ピンクのモヤモヤの中から、ベッドの上に視界が戻る。
「ぐはぁ、げはぁ。お、折れる……アバラが……いてぇ」
「よっしゃ、蘇生に成功したで」
セィソは俺の上に跨り、心臓の上に両手を置いている。
さっきまで、体重をかけて押していたようだ。
「「「「「「よかった、にゃ~♪」」」」」」
若い猫耳娘達も歓声を上げた。
っていうか、オマエラ服着ろよ。いや着衣プレイの為じゃないけど。
「ウチ混ぜて35人一周させて、それから2週目の途中で、アンタの心臓が止まったんや……『金玉活性』は、心臓まで活性させへんみたいやからな。正直あせったわ」
そうだった、たしか一周目の20人までくらいは覚えている。
「途中から意識がないんだが」
「せやろなぁ。気ぃ失ってても『金玉活性』かけたら、まだまだイケたさかいに、順番に上から乗っててん」
なにソレ。つまり、気絶中も襲われていたのか。
「で、調子のってたら、心臓まで止まってしもてなぁ」
勇者の死因……腹上死か?いやこの場合は腹下?うん、魔王は睾丸爆発で死んでるもんね。異世界ファンタジーあるあるに違いない。
「そうか……これがオスとしての臨界か」
「にしても、アンタようやったわ。半分以上が、授かったみたいやで」
え?
「「「「「発情期が止まったにゃ~、できちゃったにゃ~」」」」」
「種族の特性で、孕むとすぐに発情期が止まるらしいんやわ。ウチらと違って、分かりやすくてエエわなぁ」
「半分以上って、何人……?」
「21人にゃ~」
上機嫌な連中だった。
「発情期が終わらないにゃ、もう一発、お願いするにゃ」
不機嫌な13人が俺に襲いかかろうとする。
「無理だ、もう勘弁してくれ。さっきまで、心臓停止して死んでたんだぞ、俺」
っていうか、股間のアレが擦れすぎて、ちょっと痛い。
「大丈夫やで、アンタらも孕む方法はあるさかい。ウチらが帰る前までまっときや」
「う~ん。奥様の言い分に従うにゃ……すでに村としては充分過ぎるにゃ」
「心配せんでもえぇ、ウチにまかせとき」
そんなやり取りを聞きつつ、起き上がろうとすると。
「いてぇ、こっ腰が。でも、俺あんまり動いてなかったよね」
「そりゃ~せやで、動いてなくても、降りて来る体重を受け止めててんからなぁ。普通、女子に多いけど」
なっ……なるほど。
「にしても、アンタ……一晩でエライ痩せたな。頬コケてるし」
「止まるくらい、心臓が動いていたからエネルギーも消費するだろ」
「幸せそうな顔して、心臓止まってたから、マジやばいと思たわ」
「猫耳メイド着衣プレイが聞こえて、三途の川から呼び戻された」
「猫耳メイド着衣プレイがしたいから生き返る勇者って、なんやねん」
おお、勇者よ!生き返る言葉が情けない!みたいな?
「だってさぁ、猫耳メイド着衣プレイですよ、男の夢ですよ夢。しかもナイスバディで美人のセィソさんですよ」
「……ホンマモンの、猫耳娘がソコにおるがな」
「うーん。ソコは普通の耳もないとなぁメイドコスチュームだし。いや、野性味あふれる真・猫耳の全裸も昨日、死ぬほど堪能したんだけど」
「実際、死んでたけどな、もうええわ」
セィソはあきれ顔になった。
「あぁ、腹が減った……あと、水分補給」
「ホンマ、精のつくもん食べや。ほい、水」
セィソがカップに水を注いでくれた。一息ついて回りを見渡すと、汗などの体液で寝床はグシャグシャだ。そして満猫耳娘達はいそいそと服を着ている。
「用事は済んだし、わっちらは、そろそろ帰るにゃー」
「奥様、子種の件、よろしくにゃ」
そう言って、猫耳娘34人はゾロゾロと村長の家から出て行った。
「嵐のような一晩だったなぁ」
グッタリとした俺が話すと。
「せやっ!シュペリアの街へに寄り道していかへんか?あの宿の精力料理、すんごかったやん」
たしかに、ここからなら近いし。問題ないだろう。
「ほんなら、朝ごはん食べたら、出発するでぇ」
「あぁわかった、いてて」
ほんと、体中のアチコチが痛かった。
---------
それから村長宅で朝食をとり、俺達は出発の準備を整えていると、再度礼を言われた。
「ありがとうございました。御二方の御厚意で村の存続はできそうですじゃ」
そうしてセィソが言葉を返す。
「せやせや、村長はん?ウチらの出発前になぁ、老人でええから、男の人集合させといてくれへん?」
「はぁ、ワシらのような、ジジィも集まり喜んでお見送りさせていただくのですじゃ」
そうして、村の出口に到着すると猫耳村の村人全員が見送ってくれる。
「ええかぁ、まだ発情期中の女の子達はコッチなぁ。ほんで、爺ぃさん達はコッチなぁ」
見送をしてくれる村人達をセィソは整理する。
「よっしゃ、いくでぇえええ『金玉活性』っ」
セィソは、爺ぃさん達の股間にスキルを使った。
「……なっ、もう、役に立たんと思うておったのに、活力が股間に漲るのですじゃ」
「し、辛抱たまらん」
「じ、じぃちゃん達の股間が凄いテントになってるにゃ」
そして、セィソが通達する。
「ほら、見送りはもうええんや。発情期終わってない女性陣と、復活した爺ぃさん達で、楽しんできなはれ」
なんやかんやでカップリングが完成し、
「お先に失礼するにゃ」
と、パパ活よろしく、若い娘と年輩男がそれぞれの家に飛び込んでいく。
「ふぅ、これで残りの娘達も、一件落着やなぁ」
「猫耳の娘達って、あんまり男を選ばないよなぁ」
「ん?それは失礼にゃー、オスのいない発情期だけにゃー」
妊娠により既に発情期を終えた、猫耳娘の一人に怒られた。
「ごめん、ごめん。そんじゃ、楽しかったよ。爺さん達に、張り切り過ぎて心臓が止まらないよう言っておけよ」
と、声をかけると。
「「「「「お前がいうにゃ~」」」」」」
笑いながらバイバイの手を振られた。
「ほんなら、シュペリアの街にいくでぇぇえええ」
「運転よろしくー」
ワルプルギスの夜ですかね?
それと、絶頂の時の心臓の負担って結構大きいみたいです。
いろんな意味で「ドクンっ」って、おっと自主規制。