ここは猫耳村
猫耳娘達の走力は、凄かった。金玉駆動車の普通運転と同じレベルだ。
「到着にゃ~、歓迎するにゃ~。特に♂は大事にゃ~」
村の入り口で少しモジモジしながら、どうぞっと受け入れてくれた。
セィソと俺は金玉駆動車から降りる。
「なんやろ、活気のない村やなぁ」
田舎集落で村人の家が並んでいる感じだが、セィソの言う通り建物の割りに、明らかに人数が少ない。
「村長を呼んできたにゃん」
もう一人が、村長を呼んできた。
「よいか、お前達への説教はあとじゃ」
「は~い、にゃん」
そうして、猫耳&髭の爺ぃさんが俺達に話しかける。
「この度は、若い娘達を奴隷商人から助けてくださり、感謝なのですじゃ」
ペコリと頭を下げられた。年輩なのに、人間が出来てるのだろう。獣人だけど。
「ええで、ええで。ウチらも儲かったしなぁ」
「まぁ、擦りつけ行為でしたけどね」
「……ふむ、勝手に村を飛び出した上、擦りつけでしたか。これも説教しておきますのじゃ」
ギロリと、村長は、若い猫耳娘二人を睨み、二人は小さくなっていた。
「それにしてもや。ちょっとこの村って、家とか建物の割りに人数が少ないように思うねんけど。ウチの気のせいかいな?」
「いえ、それが今回の原因でもあるのですじゃ……理由を話ますのじゃ」
村長は、ゆっくりとした口調で話をしてくれた。
1年前に村の男達は、魔王の命令で招集されたらしい。魔王軍に組み込まれて戦いに出たものの、人類軍から、とんでもない筋肉女と、とんでもない贅肉女が出てきて、蹴散らされ、死に絶えたとのこと。
「なんやぁぁ?その二人って」
俺はセィソの発言を遮る。
「人類最強レベルの女の二人組ですね、聞いたことがあります」
「そうじゃ……唯一、重症を負いながら帰ってきた男も、毎晩のように殺戮の恐怖にさいなまれながら、死んでいったのじゃ」
「戦争は、嫌ですね。ご冥福をお祈りします」
セィソも理解したらしく黙っている。先週、実演をみたもんね。ゴブリンだったけど。
「そうして、この村は、女と子供と老人しか残っておりませんのじゃ。オスの子供は、一番年上でまだ8歳。とても、人口を増やせる状態では、ないのですじゃ」
「な、なるほど」
なんだろう、嫌な?嬉しい?予感がする。
「ワシ達、老人の♂は、もう役に立ちませんでのう……この発情期シーズンに、若いメス達が子種を求めて、村を飛び出したこと、お詫びしたいのじゃ」
「は、はい」
「ところで、そちらの女性の方には、大変申し訳ないのじゃが……中年とはいえ、まだまだ子種を出せそうな貴殿に、子種を頼みたく思うのじゃ」
なるほど、うひひネコミミ♪って、いいのかな?放屁聖女だと、プっ殺案件だけど。
「ん?かまへんで?このエロ勇者でよかったら、かしたるわ。っていうか、ウチも手伝ったる」
「何という人助け精神」
「あのなぁ……すでに嫁ですら4人もおるんやから、あきらめるっちゅーねん」
「そうか、そういうもんか」
このへんの割りきりが、聖女とは違うんだよなぁ。多夫多妻の家庭が多い、盗賊職だからか?
「にゃ~、了承を得た、にゃ~」
「場所の確保にゃ」
「よろしい場所は、一番広いワシの家を使うのじゃ。ワシは誰かの友の家に泊めさせてもらうのじゃ」
「みんな呼んでくるにゃ~。村長の家にゃ~」
おぃ、待て、みんな?だと?
「では、御客人の方を、ワシの家に案内するのじゃ」
そうして、村長の家に俺達は移動した。
村長の家の前には、若い猫耳娘達が押しかけている。
こ、この人数。。。
「全員で34人いるにゃ、よろしく頼むにゃ」
大丈夫かな?俺……
「がんばりやぁ、『金玉活性』を、ようけ使ったるさかい」
セィソが、凄い悪い顔で笑っていた。
お気づきの通り、筋肉令嬢と贅肉王女によるジェノサイドの犠牲者の村でした。
ああ、その責任を感じて、ハゲ勇者は猫耳ハーレム酒池肉林に。
全員で34人って、女子高のクラス一つくらいですね。
若いイケメン男性教師の悲劇?みたいな……。