旅立ちの朝
「そっそんなの入らなないよ」
「ダイジョウブや、いける。ウチが手伝ったる」
俺は、大股を開けて、足を頭部の両サイドに来させる感じで、ひっくり返っていた。
「いたいよ、大き過ぎるって、さけちゃう」
「よっしゃ『金玉移動 ダブル』や」
俺の右タマは右に、左タマは左に移動した。
左右のタマタマによって袋が左右に引っ張られる。
「タマが勝手に動いてる……おっ、これなら」
「なっ入るやろ」
今はホテルのベッドの上で、俺の玉袋に旅の道具を入れてる真っ最中だ。
「戦闘もあるんやし、ちょっとでも荷物が少ないほうがええやんか?貴重品とかも安心やし」
「でも、お前の白金貨まで、ほとんど入れてよかったのか?」
「落としたりスられたらアカンやろ」
「くれるワケじゃないんだ。いてぇ」
股間をベシッと叩かれた。ダメッそこ急所。
「アタリマエや、ウチの金、色町とかで無駄遣いされたらたまらんわ」
お金の管理はキビシイのね、この娘。
「はーい」
そうしながらも、俺の玉袋には、細長くした荷物がどんどん収納されていく。
「はぅん♪」
「変な声だしてやんと。昨日の夜は、ウチの中に遠慮なく突っ込んできたクセに、なっさけない」
「あの料理の効き目は凄かったなぁ」
「ほんまアレ、反則やで。ウチもアンタも獣みたいになってたやん」
昨日の夕食の精力料理は、食べてから1時間後くらいに、ものすごい効果を発揮した。
シーツも布団も汗をはじめとする体液だらけになって、寝る前にキャビネットに入ってたのと交換したくらいだ。クタクタの体でのシーツ交換はつらかった。お店に交換をお願いすることもできるが、二人きりの空間を保ちたかったとでもいえばいいのだろうか?そうして俺達は素肌をくっつけたまま眠ったのだった。
「よっしゃ、あとは手荷物だけやな」
「よっこらしょ」
俺はゴロンと前に半回転してベッドの上に座り直す。
「夜は、ウチもあんな体位をやったんやなぁ。恥ずかし」
「アレは暗がりだからまだいいだろ。ついさっきまで明るい中で俺の股間をガン見してたくせに」
「あ~ぁ、エロい女にされてしもたわ」
相変わらずボロクソに言ってくれる。そして、この話を俺も切り出さないといけない。
「で、どうするんだ?これから?俺は、聖女探しに出るけど」
「ん~?既にパーティや言うたやん。ウチは、アンタと一緒にいくで。白金貨を玉袋に入れてる時点でわかってるやろ?持ち逃げとか許さへんで」
「まぁ、そうだろうな。いいのか?残りの四十九億九千万ゴールドをギルドから貰うのを待つこともできるんだぞ」
「はぁ?『玉潰しのセィソ』って男共から逃げ回られるのなんて、まっぴらやし。もう、こんなこと体が知ってしもたら、夜に一人で寝るなんて……できへん」
「……そ、そうか。そんなによかったか」
「こんなん、クセになるわ。今夜も頼むでぇ」
精力料理なしで……俺、身体もつかな。おじさんなんだけど。
「わかった。じゃぁ、服着て出ようか」
「ん~、もうちょっと。こなえしときたいわ」
そうして、イチャついていると。
「また……元気にさせてしもて。夜までおあずけやで」
「そうだな昼になっちまうな」
そうして、俺達は服を着た。ズボンにしまうのに苦労するんだぞ。おさまったけど。
二人がかりで玉袋に収納したおかげで少なくなった荷物を持って、部屋をあとにする。
宿から出るとき、カウンターから声をかけられた。
「昨日は、たっぷりお楽しみでしたね。ふふふ」
聞こえてたのか。まぁいい、このホテルはどの部屋も同じようなもんだ。聞き耳立ててるのは店の人くらいだろう。
「あの料理、凄いですね」
「ええ、当店自慢ですから。皆様大満足ですよ」
「この街に戻ったら、ウチらは、次もココに泊まるでぇ」
「リピーター宣言、ありがとうございます」
「よし、それじゃ聖女探しに行くか」
「うん!」
「道中お気をつけて」
2人パ―ティーとなった俺達は宿を出た。
聖女は、人気のないところじゃないと、その臭いで情報がわかる。
そうだな、だったら、今までの旅で訪れた、あの場所だろうか?
目星は複数個所ある。それらを探してみよう。
魔王も倒れ、心強い仲間がいる。あとは進むだけだ。
第一章「タマタマは男の宝物です」は完結しました。
ひどい話ですね。シモネタだらけ。
第二章「筋肉令嬢と贅肉王女です」も読んでくださいね。
お・ね・が・い(はぁと)