ショッピングにいこう
「「「「ひぃいいい、まだ、いた」」」」
ギルドマスター室から出てきたセィソを見つけた男の冒険者達が、股間をおさえて逃げ出した。
「なっ、せやから、ウチには男がおらんねん」
「まぁ、そうだろうな」
納得してしまう光景である。
そうして、俺達は再び受付嬢のところへ向かった。
「素材買い取りのお金あるけど、いるの?沢山あるんでしょ?」
「いるよ。俺の金だろ、そっちは」
「あ~、分け前もえてないんだ。クスクス、貧乏ハゲ勇者」
「うっさい、孕ませるぞ」
「きゃ~、妊娠させられる」
そんなやりとりを、セィソはジト目で見ている。
「アンタなぁ、そんなんやから、聖女に出て行かれるんやで」
「……どゆこと?」
「この勇者は、何もわかってないよ、セィソ。で、今夜の宿はどうするの?防音のしっかりした壁で高級感のあるココとかどう?割安方法もあるのよ」
「ええなぁソコにしよかなぁ」
値段を見た俺がボヤく。
「けっこう高いぞ」
「安心しぃ、ウチが払ったるさかい」
「……そ、そうか、それなら」
「ヒモ勇者。安い宿だと、また喘ぎ声の苦情がでるからココにしときなさい。どーせxxするんでしょ、あなた達。カップル用だからベッドはキングサイズが一つよ。まったく、聖女、令嬢、王女の次は美女ですか、そーですか」
「その次は、受付嬢で……ぐはぁタマが」
セィソが金玉衝撃を唱えていた。
「アンタぁあああ、調子のってたら、そのタマ両方爆発させるで」
「しゅいません」
「毎回、毎回、女の尻に敷かれてるねぇ、このヘボハゲ勇者」
「……くっ、言い返せない」
「ほんなら、ウチの装備買いに行くでぇ、ええか?」
「はーい」
俺は、セィソに引っ張られて武器屋に向かうことになった。
その後、ギルド内では「あの勇気、やっぱりアイツは勇者だよ」とか、男達にヒソヒソ話しされていたらしい。
----そして武器屋へ----
武器屋に入っても、問題がおこった
「ひぃぃぃ、玉潰しのセィソだ。お前、俺と店番を代わってくれ」
「はぁ?今、手が離せないのよ」
「亭主のタマタマがどうなってもいいのか?」
「これ以上、子供作る気もないし、用済みでしょ?それ」
武器屋の店主が、脂汗を流しながら股間をおさえて怯えていた。
「……い、いらっしゃい……ませ。勇者様も……おひさし……ぶりで……す」
「お前アッチコッチで怖がられているのな」
「うっさいなぁ、もー、しゃーないやんか」
そして、俺は店主に声をかける。
「コイツは別に、無差別にタマタマを潰すワケじゃないか……ら?」
ふるふるとセィソが首を振った。
「前になぁ、酒に酔って、スキル暴走させたことあんねん」
「え?」
「この街にあるタマタマ全部に衝撃がはしってしもてさ」
街に激震が、全男が泣いたってことですか?
「男全員、股間押さえて、うずくまっててな……」
「なにその、地獄絵図。こっわ」
店主から尊敬の眼差しが俺に向けられた。
「その女と一緒にいるとは!さすが勇者様です。その勇気、賞賛しますぞ」
「俺も散々な目にあったけどな」
「でしょうなぁ……それで当店への御用は?」
必死でセィソと関わらないようにしている。
「ああ、この娘の装備品、一式を整えたい。前の戦闘で全損したんだ。盗賊用の装備だがあるか?」
関わりたくないだろうが、キラーパスを店主に出した。
「……わかりました。ご予算は?」
「えっと?」
俺はチラリと、お金持ちのセィソ様を見た。
「えとなぁ、勇者からもろた、この『黒鋼の短剣』の武器レベルに合わせて、胸当てと、左籠手、鉢金バンダナが欲しいねん」
店主は少しギョッとして俺を見た。
「承知しました。少々、値段が張る品々ですが、当店の在庫を持ってまいります」
そそくさと倉庫に移動した店主が、それぞれの防具を数点ずつ並べる。
「お気に召す商品があればよいのですが」
「せやなぁ、試着してええんか?」
「どうぞどうぞ」
セィソが、新しい装備品を自分に合わせて、考え込んでいると店主が俺の隣にやってきた。
「勇者様……あの娘に短剣を贈られたのですか」
「そうだぞ。前のがボロボロにだったからなぁ。丸腰で森を抜けるのは危ないだろうし。前に装備してた短剣を渡したんだ。鞘無くしてたしアイツの鞘に入ったし」
「しかも、かつて装備していた短剣を彼女の空き鞘に入れて、それを盗賊職に贈ったと……嗚呼」
「なんだ?どうかしたのか?」
「それは盗賊職にとって、妻の証の儀式なのですが?知ってました?『勇者にもろた』ってアピってきていますし。短剣は男、鞘は女、それぞれの象徴になりますし」
「……しらね?ってマジかよ、ヲイ。聖女に放屁でプッ殺されちまうぞオレ」
「だ、大丈夫でしょう。盗賊も多夫多妻オッケーなので、半ゴロシ程度かと」
「やべぇ、マジやべぇ」
「済んだことは仕方ありません、諦めてください。ご冥福をお祈りします」
「祈るな。まだ死んでない」
と、そんなことをヒソヒソ話していると……
「装備品決めたでぇええええ、コレとコレとコレが気に入ったわ」
セィソの明るい声が店内に響いた。
どこまで本気なんでしょうね?
それぞれに別の彼氏がいる場合でも、貰ったプレゼントのマウント合戦という女の闘いは恐ろしいのです。例えば幼稚園や小学校の保護者会でママ友達が、婚約指輪のダイヤの大きさで、バチバチ火花のマウント合戦とかね。
それが、男一人で女性複数の場合……さらにヒートアップして地獄絵図が。正室と沢山の側室を持ってた中国皇帝とかどうしてたんだろうなぁ(遠い目)。
そういえば……
ピアス vs カチューシャ とか
腕時計 vs ネックレス とか
金額は同程度に収めているのに、私は何を間違えた。
……おおう、こわい記憶は封印しましょう。




