22,【「彩り」】
カイト君視点です
【 この章はカイト視点での進行です 】
「いいタイミングだね、行こうかカイト君」
「タクミさんはずいぶんと余裕がありますね。この町には2人来たと思いますが」
「まあね。一人はここを直接狙ったようだが、そんなことさせないよね」
やっぱり頭上に感じた衝撃はこの人の結界か何かに当たったものでしたか。
本当に読めない人です。
「一人で一人倒してもらうけどいけそうかい?」
「当然です。迷惑はかけません」
「いいねぇ、それでこそ騎士。……ならこれを。お守り代わりだ」
「これは?」
筆のようなものなんですが、僕は一応騎士なのですが。
「君はこっちが似合ってるよ。力を込めると鉛筆になったりもするからね」
「本当にお守りなんですね。ありがとうございます」
「困ったら念じてみればいい、力になると思うよ」
ただもお守りではない、と。ありがたくもらっておきます。
「ではさっさと倒してしまおうか、他の町にも飛んで行ったみたいだし」
「はいっ!」
タクミさんが扉を開けると霧をまとった石が浮かんでいます。これもカスケードさんの部下、僕の先輩なのか。
「こうなっては元には戻せないからね。遠慮なくやっちゃって」
「……わかりました。向こうの敵をお願いします」
剣を構えながら応えます。僕にとっては余裕のある相手ではないので。
「さくっと倒して他の町に連絡を取るから君も頑張って」
そういってこの場からすぐにいなくなりました。向こうは大丈夫だな。
「僕もレンさんの仲間で、この国の騎士だ。町は壊させない!」
踏み込んで一撃で石を破壊するように突撃する。
騎士になれたからか速度が上がっている!これなら!
「くっ」
霧から手のようなものが伸びて剣を受け止められます。重いっ。
「っああああっっ!!」
それでも力いっぱい振り切ると相手は後退します。霧は消えた分がすぐに元に戻ります。
「まだまだっ!!」
もう一度踏み込み今度は連続で切り込みます。霧の手は片手で剣をいなしながらこちらをうかがっているようです。
「どうした?僕はまだまだやれるぞ!」
さらに速度を上げ連続で攻撃を叩き込みます。こちらへ攻撃する気配がないので余裕があるわけではなさそうだ。
「あああああっ!、はあっ!!」
霧の手が隙を見せたので突きの構えで力をため一気に前進します。
「くっ!」
やはり止められる、この霧をどうにかしないと僕の攻撃が届かない。
――!
頭上のもやが消されたように感じます。
町にあったもう一つの気配も消えたような。
「これから他の町の状況を聞きに通信するから、君もさっさと倒しちゃってね」
タクミさん早業ですね、僕はまだ霧の攻略すらできていないのにっ。
「わかりました、お願いします!」
この場は僕に任せてくれる、勝てると確信してくれてると取りましょう!
「筆、しっかり使ってね」
そう言い残して建物に入っていきます。
この筆が?
迷っている時間はないな、筆を右手に持って力を籠めます。
騎士になったからか、先端に魔法力が集まるのを感じられます。
お二人はここまで読んでいたんでしょうね、それなら!
「いきますっ!騎士としてあなたを倒す!」
右手に筆、左手に剣を持ってもう一度踏み込むっ。
霧の手はステップでかわして接近、相手の間合いに入って――
「ふっ、はあっ!」
一回転して勢いをつけ筆を霧を塗りつぶすように横に振り、その部分に剣を回転の勢いそのまま叩き込む!
ガンッ
霧を通り抜け石に当たった感触があります。このまま、壊す!
「っ!」
体が回転を取り戻し、剣が折れたことを認識します。石には届きましたが次はどうやって戦えばいい?
霧が元に戻っていく。僕にはもうこの筆しか――
「そういえばさっき鉛筆にもなるとか言ってたような」
そうだ、やるしかない。
霧の手が迫る中、もう一度間合いを取って攻め時をうかがいます。
剣の代わりに二撃ともこの武器で!
筆に力を籠めつつ攻撃のイメージを作ります。
二撃目を先端を鉛筆上にして石を砕く。一撃目でもっと霧を塗りつぶせればあるいは。
間合いが詰められ距離が取れなくなってきます。相手も剣を失った今が攻め時とみたのか。
霧の手の攻撃が激しくなります。……この状態の時に筆で色づけてみればどうだ?
!?
筆が反応したような。この頭に浮かぶのは、技?
やってみるしかない、ここで決めないとこちらが押し切られる。
「いくぞっ!」
何とか取れた距離を使って前進する。襲い掛かる霧の手。
「黒い霧を塗りつぶす僕の色を」
ここだ!
「「彩り」!!」
霧の手に合わせて回転し、心のままに霧を彩っていく。
霧の手が本体に戻っても色は残ったままだ、これなら!
「はああっ!!!」
先端を鉛筆上に変え、一気に前進し石の部分を彩られた霧の上から貫く!
「彩り」をまとい一直線に石を貫く僕の筆。
僕の後ろで霧の騎士が消えていくのが分かります。
やはりただのお守りではなかったですね。僕のために用意された武器。
「他の町も僕の仲間達と君の先輩2人がそれぞれ石を破壊してくれたよ。国を覆った嫌な感じも消えたしこれで問題なし」
講堂から出てきたカイトさんが告げます。
「これいつ作ったんですか?僕の趣味って昨日話しただけなのに」
「それはもともと棒状の武器だ。君に合うように先端が変わっただけだから、今はほら」
「あっ」
確かに筆の形でもなくただの棒だ。
「君の意思が筆で現れて、そして鉛筆になった。その変化くらいは想像できたから贈れた言葉だ」
本当にこの人は。自分で言うだけのことはある天才だ。
「ありがとうございます、これのおかげで勝てました」
「なら、次は城へ戻ろうか。城門前も終わっているようだし」
ここに来たものより強いはずの騎士をもう倒しているのか、レンさんは。
「こっちも終わっていたのか。カイトも無事に倒せたようだな」
レンさんが講堂から現れます。ダメージは全くないようです。
「はい、タクミさんのこれのおかげです」
僕はレンさんに先ほどの武器を見せます。
「ほう、それはなかなか。……あとは城内だけだな」
気配を探り終えたレンさんが告げます。
「なら乗り込むか。こっちもまだまだ暴れたりないんでな」
「このまま一気に魔女討伐ですね!」
「流石は魔王」
三人ともが余裕の感じです。
「君の移動でさっさと乗り込もう」
あ、タクミさんもか。
僕は息を整えてから「行きます!」と答えます。
カスケードさんを助けに行きましょう!
最終話まで書けました
ブクマ等してくれると大変うれしいです




