辺境都市ファシア2日目(図書館)
翌日、起きると目の前にパナがいた。
「朝ですよ!起きてください。朝ごはんの時間です!」
どうやらパナは起こしてまわっているみたいだ。ええ子だなぁ。
「ありがとう、パナ。すぐ降りるよ。」
パナは元気に返事をして部屋から出ていった。革鎧のまま寝てしまったので『清潔』を掛けて着替えた。Tシャツ、Gパンだ。
1階に降りると死屍累々だった。
「……なにこれ?」
「あぁ…冒険者達が、宿屋兼飲み屋をしているところに殺到してこのザマさ。部屋まで戻れないほど飲むなら野宿してるのと変わらないだろうに……はぁ…あり金奪うとは言ったが邪魔でしょうがないよ。」
昨日はあのあと色々あったのかな?それにしても女将さんは元気だなぁ。
「女将さん、朝食お願いします。」
「はいよ!適当に座って待ってな。」
あいあい。しかし、冒険者ってのは男も女も凄いな。椅子に座ったまま寝てる人もいれば、床で寝てる人もいる。今日は冒険しないのかな?
「できたよ。ご飯と味噌汁とサラダ。ゴメンね。いつもはもう少しつけるんだけど卵も手に入らなくてね。」
女将さんが冒険者を踏みつけながら朝食を持ってきた。器用なことで。
そういえば、卵も原初のダンジョンだったっけ。
「問題ないですよ。いただきます。」
寧ろ、ご飯嬉しいですね。小説なんかだと黒パンとスープが定番だけど、やっぱ米食いたいよ。興味があるから今度買ってみるけどね。
朝食を食べ、女将さんに昨日疑問に感じたことを聞いた。
「女将さん、魔石が不足してるのは分かりましたが、なぜ魔力を補充しないのですか?」
すると、女将さんはキョトンとしていた。
「あんた、本気でいっているのかい?魔石に魔力を貯めるには『魔力感知』と『魔力操作』が必要なんだよ?
庶民がスキルブックを買う余裕はないし、貴族様が優先してその2つは買い取る。常識だろ?」
あれ?コモンスキルって字的にショボ系だよな?自力で簡単に取得できたぞ?
ってかスキルブックとは?
日常的に魔石を使うなら習得するべきじゃないのか?
ああー疑問が多い!もう少しウォルから常識を聞くべきだったか。
「あぁー…。こりゃ最優先するのは知識を学ぶことだな。あぁ!女将さん!ここの都市には図書館みたいな知識を学べるところあります?」
女将さんに尋ねた。
「ん?あるよ。ここファシアには4館も。お金と身分証さえあれば誰でも閲覧出来るよ。」
4館も?!
「西館は農業地区に合わせて農業関係があり、ここ南館は冒険者が多いからモンスターやスキル関係、東館は売買や技能に関すること。北館は…わからないね?貴族様が住む所だからマナーや政関係じゃないかね?」
「おぉ!凄いですね。少ししたら南館に行つてみるかな。」
「それもいいじゃないかね。巡回馬車に乗ればすぐだよ。そういえば、自己紹介がまだだったね。私は『金糸雀亭』の女将でアリサーナ。旦那が料理人ファインバジルだよ。そして、ここに案内したのが、わかってると思うが一人娘のパナ。短い間だと思うが宜しく頼むよ。」
「分かりました。短い間ですが宜しくお願いします。」
朝食を終え、一樹は部屋に戻り、タブレットを取り出した。
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辺境都市ファシア 2日目
①:私服を買う
②:図書館で調べもの(常識)
③:スキルブックとは?
④:冒険者ギルドへ行き、常設依頼のクリア
⑤:屋台、露店の調査
⑥:生産用の道具
⑦:畑に植える種
⑧:パン、酒、制作用の酵母
⑨:領主様との面会
⑩:商人ギルドの確認
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すぐに思いつくのはこのくらいかな。
席から立ち上がった一樹に女将さんが「冒険者なら地図持ってないのかい?」と、聞いてきたが、笑って誤魔化した。
☆★
カギを女将さんに渡して宿をでて、図書館へと向かった。巡回馬車ではなく徒歩で。
都市の様子を見ながらのんびりと図書館へ向かう。
店舗を構えた店、屋台、露店と多彩だが、食品の多くは屋台や露店だ。
生鮮食品の屋台を幾つか覗いてみると、概ね日本と類似の食品構成である事が見て取れた。
肉、魚、貝、野菜、果物、小麦らしき粉ものもあった。
肉と同じ所にある大きな虫については、取り敢えず目を背けて通過する。
屋台は主に串焼き肉のような加工食品やスープである。お好み焼きみたいなのもあるが、たこ焼きは無かった。
店舗の店先では塩や胡椒などのスパイスが売られていた。他の食品と比較すると塩以外は、結構な値がついていた。
服はオーダーメイドが基本のようで、数点サンプルがある程度。
古着屋に関しては服が山積みになってるところもあれば、しっかり整頓されているとこもあり、まちまちだ。
「もう人は動いてるんだな。原初のダンジョンの影響がでてると思ったが宿くらいだったのかな?おっ?冒険者もチラホラいるな。大剣背負って凄いなぁ。」
一樹は人々の暮らしをみてほのぼのしていた。
少し歩いていると広場をみつけた。そこには大きなポータルがあり、その周りに多くの人が並んでいた。
「なんかあそこは人多いな。なんだろ?ん?消えた?!いや、増えた?!まさか!!」
一樹はすぐに消えていった場所にあるものを『鑑定EX』した。
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ファシア都市内転移ポータル(③)
:対となるポータルとポータルの間を転移移動が可能。
:9個のポータルが対となっている。
:事前に登録してあるポータルのみ移動できる。
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おぉ!あれで都市中を転移で移動出来るのか。これが地図に記載されていたやつか。
並んでる人達は転移待ちかな?で、奥から現れた人は別ポータルから転移してきた人達か。
並ぶのはしんどいから暇なときに登録しようかね。
それにしても、さすがはゲームのような世界、転移もあるとは。
その場はスルーして図書館へ向かった。
☆★
図書館についた。なかなか大きな建物である。この他にあと3館あるってすごいな。
中に入ると司書らしき人に止められた。
「入館登録証明の確認と入館料をお願いします。」
「すみません。初めてなのですが…」
「畏まりました。では、身分証と登録料5000ギル、初回入館料5000ギル合わせて10000ギルお願いします。」
「分かりました。」
一樹は冒険者ギルドカードと銀貨を1枚渡した。受け取った司書の人は魔道具らしき石盤の上に置いた。すると、冒険者ギルドカードが光った。すぐに光りは収まり、冒険者ギルドカードを司書の人は返してくれた。
「ありがとうございました。冒険者ギルドカードに入館登録を記載しましたので、次回以降はギルドカードの提出と入館料1000ギルお願いいたします。」
「分かりました。」
「あと、説明が登録後で申し訳無いのですが、館内は所定の場所以外、飲食が禁止。本の貸出はしておりません。本を汚した場合、罰金10000ギルが発生しますので宜しくお願いいたします。」
まぁ妥当だと思うね。
「了解しました。あのぉ…調べたい本の位置を教えてもらえますか?」
「あっ!?すみません!その説明も忘れてました。」
なんだろ…凄く仕事が出来そうなのにやたらとポンコツさんなんだな…。丸眼鏡かけて欲しいな。
「当館は2階建てとなっており、1階に小説や武勇伝や自伝、生活の知恵などいろいろなジャンルを置いており、2階に戦闘やスキル、ダンジョンについて書かれた本などを置いています。各階の中心部に設置されています石盤に手を触れると、入力画面が表示されますのでそこに調べたいことを入力してください。その後、入館登録したものを石盤に当てると、設置されている本棚と連動し、だいたいの位置まで導いてくれますのでそれに従って下さい。」
ほぉ意外と便利な物があるんだな。司書に毎回聞くものかと思ったんだがな。
「分かりました。早速その石盤を使ってみます。」
そういうと、2階へと急いだ。
中心部には自動販売機を黒く塗りつぶしたような石盤があった。
「これに触れるんだっけ?おっ?画面が立ち上がったが入力方法がわからないな?キーボード入力?ガラケー、スマホみたいな感じかな?」
立ち上がった画面に触れてみると『わくわくどうやるんだろう』と表示された。
「思考入力かい!!」
思わずツッコむと、ハッ!とし周りをみるとメッチャ睨まれてる……ごめんなさい。でも、説明不足の司書さんが悪いと思います。
恥ずかしいので素早く『スキル』と入力して冒険者ギルドカードを石盤に当てた。すると、カードの上に淡い光りを放つ矢印が出現した。
「これに従うのね…了解。」
誰に了解したのだろう?
矢印に従って着いた先には膨大な数の本があった。
「スキルだけでこんなに?先に一般知識調べたほうがいいな…ははは。」
そう思い、1階に降り調べた。
☆★
お腹が減ったので昼過ぎに図書館を出た。
「なかなか面白かったな。この世界はスキルによって発展してきた。だから、なんとなく違和感があるんだな。」
『火魔法』があるので火を出すことはできる。だか、酸素による燃焼などの理屈がわからないからない。なので、竈の火は『火のスキル持ち、もしくは魔道具がないとつけられない』それが当たり前なのであった。
時間の概念もある。1日24時間、一ヶ月が30日、春夏秋冬あり、1年間が360日、『時知らせ』のスキル持ちが6時12時17時に鐘を鳴らしてる。なぜか1度も聞いた覚えがない。あと、ホントに24時間の概念あるのか疑問である。
スキル屋というのが存在する。それはダンジョンで入手できる『スキルブック』を売っている。これを使うと簡単にスキルを覚えられる。
だが、一般市民がスキル屋を活用することはほとんどない。なぜならば職業を選べばスキルは付いてくるからだ。選んだ職業の仕事をすれば問題ないのである。
なので、高ランク冒険者か収集癖のある貴族くらいしか活用されていない。
醤油や味噌もあるらしい。が、日本酒はない。製造過程はわからないが、料理酒としてはあるみたいだ。
「今日調べられる分は調べたし、あとは買い物だな!」
気分を変えて屋台を探しながら歩きだした。
「お?こういうときはやっぱ串焼きだよな!すみません!1本下さい。」
「はいよ!まるごトンの串焼き1本200ギル、塩、タレどちらにする?」
「2種類あるなら1本ずつください。」
銅貨4枚渡した。
焼き直したのを貰い、ベンチに座って食べた。
「なかなかうまいな。塩は丼ぶりで刻んだネギと一緒にかきこみたい味だな。タレは…こっちもうまい!こっちは丼でもいいが、パンと千切りキャベツで挟んで食べたいな。そのほうが手軽に食える。」
2本とも食べ終わり串焼き屋のおっちゃんに話しかけた。
「串焼きおいしかったよ。すまないが私服を買いたいんだがオススメの店はあるかい?」
「なんだ兄ちゃん?ファシアに来たばかりかい?」
「ああ。」と答えるとおっちゃんは嬉しそうに答えた。
「そうかい!昨日までは魔石や調味料が心配になったりしたが、今日から少しだけ元に戻ってきている。喧嘩も起きなくなるだろうし、いいタイミングで来たな。」
おっちゃんから教えてもらったことを解決した本人とは言えなかった。
「おっと?話しが逸れて済まないな。服屋だったか?古着でいいなら『ラビットストアー』だな。そこを右に曲がって少し行ったとこだ。兎人族が経営してるがなかなか品揃えがいいぞ?」
「……。」一樹は冷たい目でおっちゃんを見ている。
「おまっ!なんて目で見てやがる!あそこはちゃんと男物も扱ってるぞ!決して店員のウサ耳が可愛いいだけじゃねぇ!!」
おっちゃん…アウトだよ……。
「わかったよ。情報ありがとな。また買いにくるよ。」
一樹は『ラビットストアー』に向けて歩き出した。
『亀の甲より年の劫』
年長者の長い間の経験は尊重すべきである。また、その経験を積んだ人を尊敬すべきであるということ。
類似:医者と坊主は老人がよい




