事実は小説より奇なりとは言うが、ホントにそんなことあるんだな
「なんで佳君が美少女になってんだよ!」
俺は佳君に八つ当たり気味に質問していた。
「それが、気が付いたらこんな姿になってたんだ」
佳君はオドオドしながら受け答えるが。こんな漫画みたいな展開が現実にあるものかと思った。
しかし、佳君が嘘を言っている様には見えない。
それに佳君は隠し下手なので、嘘をついているなら顔にすぐ出るので見抜くのは容易い。
「でも、佳君だけがだけが美少女になってずるいじゃねぇか!」
妬みと嫉妬のこもった口調で、俺はそう言った。
「姿が変わったのは、僕だけじゃないよ」
佳君は手鏡を出して俺に見せてきた。
「これは音尾の手鏡じゃねぇか」
音尾は少々ナルシストな一面がある。俺達五人の中で自分が最もハンサムだと言っている。
そんなんだから音尾はいつも手鏡を持っている。
しかし、俺達の容姿は、似たり寄ったりだから、音尾が自分だけをハンサムと考えるなんて、愚の骨頂だよ。
まあ、それはさておいて。
俺は自分の顔を手鏡で見てみる。
「わぉ!?」
鏡に映った顔は、いつもの俺の顔ではなく、美少女であった。
「ポカーン……」
鏡に映った美少女は、鮮やかな赤い髪色をした脇の舌まで届く、長い髪の美少女だった。
体にも目を向けると、服装も学生服からビキニアーマーに変わってる。セクシーだ。
「美しい。でも、これって……」
そう。その姿形は俺が作ったアバターそのもの。
「……どうやら僕達はアバターになっちゃったみたい」
「マジかよ……」
この理解不能な状況に、なんといっていいものか分からず、俺は黙ってしまった。
「……」
佳君も俺と同じく黙り。
それからしばらく続いた沈黙。時間にして2分程度だったが、今の俺達にはそれが1時間以上に感じた。
「……なあ、佳君。他の仲間はどこにいるんだ?」
先に沈黙を破ったのは俺だった。
「分からない。僕が気付いた時に目の前に居たのは功君だけでした……」
「うーむ……」
俺はどうしてよいものか分からなくて困り顔。
他の仲間しまったのだろうかはどこに消えてしまったのだろうか?