クリソツ五人組
愛知県港区。この町にちょっと有名な五人組の男子がいた。それが俺達だ。
五人の名は波止場功、入江音尾、埠頭信一郎、桟橋マサ、港佳史と言う。
有名と言ってもスポーツマンだとか、頭がいいだとか、顔がハンサムとか、そう言うのではない。
俺達が有名な理由は、その姿形がそっくりなことだ。どれくらい似てるか簡単に説明すると。ちょっと見では誰が誰だか区別できない程だ。
なにせ両親でさえ俺達のことを間違えることもあるぐらいだからな。どうだ、すげーだろ。
だが、見た目が似てると言っても、決して派手な外見ではない。むしろ地味な部類に入る。髪型は全員坊ちゃん刈りだし、顔付きはモブ顔。身長は百六十センチ (ちょっと小さい) 体重も五十キロと同じ。ともかくそっくりなだ。体貌だ。
そんなんだから俺達を知らない人間は見分ける事は実質不可能。
なら 「バラバラに行動しろ」 なんて言われるかもしれねぇが。俺達は一緒に行動するのが好きなんだ。
それは幼稚園生の頃に四人と出会って仲良くなった時から変わらねぇ。
そんなんだから高校受験も五人バラバラにならないように同じ高校を受けた (無論この事は両親には内緒だ) そのぐらいの絆が俺達にはあった。