第4章『父娘、救出・前編』第17話~VS二人の暗殺者②~
誤字&加筆修正しました!
ミューレの放った精霊魔術に対しヴィレッタは対抗魔術を放ち、襲いかかる風の爪牙を強制的に無力化する術を発動させる…が、その結果は現象の停滞に留まるという予想外な反応にミューレとヴィレッタは互いに驚きの表情を周囲に見せていた。
「…ミュー?」
「魔術の発動が…いえ、発動した魔術が停められた…?これは…抵抗…対抗魔術ですか?…私の精霊干渉力と拮抗する魔力だなんて…凄い…」
「…おいおい、騎士だけじゃなくて魔術師も居るのか…」
(しかもミューレの驚き具合からしてとかなりの使い手、か…あの場所に居る奴は敵なのは間違いないみたいだが、問題なのは何人居るのか…だな)
「…ヴィレッタ、これって…」
「驚いたわね…『精霊霧散』で散らせない力量の精霊干渉力を持つ術者にこんな場所で会えるなんて…もしかして、増強系統の『神器保持者』なのかしら?…まぁ、かといって…このままじゃ芸がないわねぇ?……ラース、そろそろお願いできるかしら?」
「やれやれ…待ちくたびれちゃったよ…隊長は『剣聖』か『魔女』のどちらかの所だとして…ユーリさんはどこだろうね?まぁ、いいか……さて、まずはお兄ちゃんから先に仕留めようかなぁ……」
拮抗する魔術同士、やがて互いに力尽きるかのように風が散らばり始めると同時に小さい影が冬麻達に向かって高速で飛び出す!
「!」
(あれは…人!?…だとしたら、かなりの速さね!冬麻じゃ……まだ、あの速度に対応しきれないかも!でも私なら!)
その道程はひたすら単純な最短距離で、冬麻の隣に居たウルリカはそれを見抜くと瞬時に飛び出し、少年に向かってもう一振りの長剣を投げつけていた。
「おっと!危ないじ…」
「ちぇりゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
(長剣は囮!本命はコッチ!全力キィィック!!)
「ッ!?くぅぅ!!?」
(この小さいお姉ちゃんも速い!!?
しかもこの威力…腕の部分強化が間に合わなかったら折られてたかも!)
傍からみれば、両陣営から飛び出した何かがぶつかり合いそのまま絡み合うように付かず離れず打撃音を響かせながら森の中を縦横無尽に駆けていく…ようにミューレには見えていた。(冬麻の眼には殆ど見えていたが対応できたかどうかはまた、別の話である)
「……なんだあれ。敵も敵だがウルリカのスピードも化け物だな……」
「トーマさん、気にしたら負けです。速度勝負ならウルリカに任せましょう。あの木陰にいる魔術師は私が相手をします…トーマさんは」
「…《異世界人》……少し付き合ってもらう。」
「「!?」」
(この子…!何時から此処に!?)
(なんだ…いきなりの寒気が…これって、強者特有の威圧感か…まるでリンネや(怒った時の)ヴィーチェ級みたいじゃないか…!?この世界はこんなのがゴロゴロしてるのか……思えば俺ってまだ、この世界に来て間もないハズなのになぁ…)
「……聴いてる?《異世界人》?」
「ッ…聴こえちゃいるが、何の用なのかは…」
「答える必要は無い、ただ…来れば解る。それに、そんなに時間は取らせないから安心していい。」
「トーマさん!その娘から離れて!」
少女の異質さを感じ取ったミューレが漆黒の翼を大きく広げると同時に手をそれぞれ木陰と、少女に向けて『力ある言葉』を紡ぐ!
「【風よ・三度現れ・切り裂け】!【三連風斬り)】」
「あら…今度は速度重視?これは防げないわ…ねッ!」
「……狙いは素晴らしい。だからこそ…私には当たらない」
距離があるからこそ早めに木陰から飛び出す事で避ける女に対して、眼と鼻の先に居た少女は僅かに身体を反らしたと思いきや次に数歩分ステップで後退、最後に首を少しだけ傾げる…と傍目から見ると不思議な動きをしてみせるが…まるで最初から軌道が解っていたかのように決まった動作で風の刃を避けきっていた。
「…全部、避けた?この距離で…」
「ミューレ!気を緩めるな!あの魔術師の相手を頼む!」
「!?…は、はい!」
「こっちの小さいのは…俺がやる!!」
「…小さいのって、私のこと?だとしたら無謀だと思うけど…」




