第4章『父娘、救出・前編』第16話~VS二人の暗殺者①~
ヴィーチェの魔法により飛ばされたリンネを追う冬麻達3人だが……
「あれ!?リン姉、着地した瞬間すごい速さでまた行っちゃったよ!?」
「凄い速さって…あの紅い光の事か?…よく見えたな、ウルリカ…。」
(なんつー視力だよ…俺には巻き起こった粉塵の中から一瞬見えた紅い光が飛んでったぐらいしか捉えられんかったぞ)
「あのぅ…トウマさんもこの距離で見えただけで凄いと思いますよ?…私には何も見えませんでしたから。…ですが、ウルがそう言うなら間違いないと思います。」
言葉を交わしながらも3人は、リンネが飛んでいった方へ速度を上げつつ走るが……
「……っ!?ウルリカ!ミューレ!止まれ!!」
「……!?トーマ!ミュー!止まって!!」
「え!?は、はい!」
冬麻とウルリカは不穏な気配をほぼ同時に察するとそれぞれが自分以外の二人に声をかける。
「……ウルリカも感じたって事は間違いないな、こりゃあ…」
「ふふん……私と同レベルの感知力とは流石だねトーマ♪………よし!婿になろうか?」
「ならねぇよ!?」
「ちょっとウル!?」
ヒュンッ!
「おっとぉ!」
ヒュンッ!
「きゃっ!?」
「ミューレ!?ちっ!こそこそせずに出てこい!」
ヒュンッ!
「っ…何度も同じ攻撃が通じるか!」
度重なる短剣の投擲に対し…ウルリカは余裕で回避、冬麻はミューレを庇いつつ気を片手に集中し一時的に強度を高めて薙ぎ払うように短剣を弾き返すとウルリカの気配探知に僅かに何かが引っ掛かる
(今、気配が…一瞬だけど揺らいだ?今のは…たぶん、あそこだね!)
「…てぇぇいッ!」
ビュンッ!!
ウルリカは気配を感じた場所目掛けて、手にした長剣を全力で投げつける!
「あら…危ないわねぇ?」
どこからか女の声が聴こえると同時にウルリカの投げた長剣は空中で一瞬で両断され、そのままカラン…と音をたてて地面に落ちる
「……ミュー?」
「………魔力反応はありませんでした。」
「……不可視の罠、か?」
(姿が見えないうえに気配も掴みづらい、か……こちらの目的は時間との勝負が大前提!ゆえに、これ以上後手に回るのは不味い……。
仕方ないな…ぶっつけ本番で使うのは避けたかったんだが…正確な位置を知るためにはやるしかないか!)
ウルリカ達は瞬時に警戒し始め……冬麻はこれ以上の不意打ちを避けるべく魔力を高めた先から周囲に拡散させていく……
「へぇ……冷静だね、あのおねぇちゃん達?『見えない敵』に対して警戒する間が思ったより短いなぁ…場馴れしてるのかな?だとしたら思ったより遊べるかも、ね」
「…うふふ♪ねぇ、ラース?よぉく見てごらんなさいな…あのボウヤ、魔力をなかなか面白い使い方してるわぁ?」
「珍しいね、ヴィレッタが誰かに関心を持つなんて……んん?何あれ?魔力の…霧?にしては薄いね…それに糸?みたいのがあちこちに飛び散ってる?なんだか気持ち悪いなぁ…僕、こういうの苦手なんだよね」
ラースと呼ばれた少年は、限られた者にしか知覚出来ない魔力の糸を邪魔そうにしつつ身を屈めて触れないよう移動するが…
「ッ!…ミューレ!あの木の辺りだ、纏めて薙ぎ払え!」
「!……【風の精霊よ・我が意に従い・苛烈な一陣となり・乱れ狂う刃を振るい・彼の者を叩き斬れ】!」
位置を特定した冬麻の声に従いミューレが術式を発動、自身が得意とする魔法の1つを何もない空間目掛けて解き放つ!
「あら?知覚遮断は解除されてないのに気付かれたみたいね?」
「ってことはこの糸で感知したのかな…?でも触れないよう気をつけたんだけどなぁ……」
少年と女…二人の暗殺者が呟くのと同時に、対象を基点とする空間に対してミューレの魔術が発動の兆しを見せるも…
「この感じ…精霊魔術みたいね、ならあの娘は私が相手しましょうか……うふふ…」
「ん?…僕、二人も貰っていいの?」
「…欲張りねぇ、ラース…隊長とお嬢ちゃんの分を残さないとダメなのよ?」
魔力を高め始める女は少年に注意をしつつ、抵抗魔術を組み立て唱える。
「【大鷲の暴風刃】!」
「鎮まりなさい…【精霊霧散】」




