第4章『父娘、救出・前編』第13話~奇襲②~
「トーマ…」
「トウマ殿…」
「すまん、二人とも…龍帝と童子切の《神威》は使えないつもりで作戦を進めてくれ。」
「…そうか、まぁ…急すぎるから当然と言えば当然じゃろうな」
「わかりました、では窮地の場合は私が前に出ます。私も《神威解放》には至っていませんが…私一人でも一軍を斬り伏せる事は容易ですから」
リンネの言葉に冬麻は一歩引きつつヴィーチェを見て呟く
「然り気無く人外アピールしてないか?この人」
「トウマ殿、酷いですよ!?」
「いや、妾も出来るしのぅ?」
「そういや、こっちも人外だったか…」
「………言いたい事があるなら男らしくハッキリと申してみよ!」
「………」(眼を逸らす)
「のう?何故、眼を逸らしたのじゃ?のう?トーマ?」
「いえ、何でもありません…ハイ」
「あの…お二人とも…」
気が付けば、リンネが二人の肩をツンツンと静かに小突いていた
「なんじゃ、リンネ?」
「………あ」
「そろそろ仕掛けませんか?向こうは出陣準備を殆ど終えてるみたいですし…今、出立されたら集落の人達に追い付かれてしまう可能性が…」
ヴィーチェは『視覚強化』をすかさず発動、駐留軍が準備を殆ど終えてるのを確認し虚を突く機会が迫っているのを悟ると《無言詠唱》による超広域指定型状態異常付与魔法の発動準備を始める…
不意打ちでならほぼ必中であるこの魔法なら、多くの時間を稼ぎつつ無血で事を運べるからである。
「ヴェル、私は…」
「ミューはウルの指示に従いつつ魔法と《神器》で自身とウルの援護じゃ。時間が経てばリンネの仲間が駆け付ける、そしたら其奴らも援護の対象じゃ。但し、自分に対する防御魔法は最優先と心得よ!良いな?ウルも、ミューを必ず護るのじゃ…それと《神兵》は極力使うでないぞ?あれは緊急時まで隠しておけ…わかったかの?」
「………わかった。ヴェルがそう言う時は何かあるって事だし…気を付けるよ」
珍しくウルリカも戦闘態勢に入り、ミューの前に控えて有事に備える
「リンネ、妾が非殺傷系の広域魔法を先手で仕掛けたら真っ先に転移門を抑えよ。よいな?」
「承知。」
「トーマは…リンネについて行け、もし邪魔者が立ち塞がればぬしが蹴散らせ。優先するのは『リンネの転移門到達』じゃ、わかったか?」
「わかった。」
(俺の攻撃手段は…体術、『圧縮砲弾』、童子切…補助として《咆哮》…防御手段は《楯》か…俺も魔法が使えればなぁ…無駄に容量のある魔力が泣いてるぜ…とほほ)
〔?…何を言ってるんです?トウマ様はミフユから魔法を継承しているじゃありませんか?3つのうち、1つで良ければ私が封印解除しますよ?〕
ピタリ
「…む?どうした、トーマ?」
「待ってヴィーチェ。ちょっとだけだから!」
(説明!どんな魔法がある!?)
「ぬ?わ…わかった」
(このタイミング…龍帝殿か?仕方ないのぅ、全く………)
【冬麻の精神世界・深層第2階層】
〔少々お待ちください、解析してますので…えーと?………1つは『属性』と『指向性』を掛け合わせる特殊な複合魔法…って、何ですかこの魔法…?これって《固有魔法》の類いじゃないですか!何を継承させてるんですか、あの天使!?〕
(………よくわからんが、マズイのか?)
〔かなり。組み立て次第では《禁術指定》されてもおかしくない魔法も………ってまさか、この魔法って…《創造魔法》?…でも、微妙に違う気も……これはやめときましょう。嫌な予感しかしません〕
(………わかった。次、二つ目は?)
〔………召喚魔法。ランクAまで解放済み………〕
(よし、最後は何だ?)
〔………何が召喚できるのか一応の確認は…〕
(しない。最後は?)
〔術式確認中………終了。判明、三つ目は自己強化魔法。ランクはBに該当。〕
(…案外、マトモだな?)
〔そうですね………でも魔法の詳細が封鎖されてて判別が出来ませんが?〕
(………なんだって、余計なことを一々加えてるんだよ………)
〔どうします?時間をかければ、何とか調べられると思いますが…〕
(頼む…。その中では三つ目がまだマシかもしれないが…不安で堪らない)
〔わかりました。では三つ目の継承魔法に対しての精査鑑定を始めます。また後で声をかけますね?〕
(わかった、宜しく頼むよ)
………そして、冬麻は深層世界から帰ってくる……




