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第2章『最強の居候は世間知らず』第6話~襲撃。ヴィーチェ編②~

少し長めになります!

そして第2章はここで終了となります!


加筆修正しました!

「なんだと!あの小娘が何を出来るってんだ!」


「ふん、貴様に比べれば全てにおいてがマシだと思うがの?」

「このアマ…!!」


ヴィーチェの挑発に、馬から飛び降りると同時に腰から剣を鞘から抜き放つと周りの騎士達へ大声でアルベルトは叫び放つ


「貴様等!手を出さずに包囲網を固めろ!ジオ!お前は何人か連れてさっさと集落を目指して黒い翼の女を俺の下へ連れてこい!」

「!?お待ちください団長!エルトリンデを相手にこの人数と団長だけでは…!」


アルベルトの命に従いヴィーチェを更に包囲を固める騎士達に反し、ジオが異を唱えるもアルベルトは聞く耳を持たないと言わんばかりに剣の切っ先をジオに向ける



「黙れ!援軍なら第1・第2部隊の精鋭がすぐに駆け付けて来る!わかったら俺の指示にさっさと従え!」

「…ッ!」

(やはり…我が隊は先行させるだけの死兵扱いか、おのれ…アルベルトッ!)

「……」

(うーむ。何か奇妙な雰囲気じゃの?ジオとやらの兵達は練度が微妙なのとそれなりが混じっておるし…後からナマモノと一緒に来た連中は腕は立ちそうじゃが、いかんせん。マーベリックの爺の周りにいた騎士達には遠く及ばなさそうじゃ…仮にも団長なら団の精鋭を伴っておる筈なのに…はて?)



「…了解しました。フィン!リーファ!グエン!俺に着いてこい!先程の奴を追いつつ、そのまま集落に乗り込むぞ!」

「「「了解!」」」


ジオを含む四人の騎士が次々と騎乗するとすぐに馬を走らせていく、最後にジオはチラリとヴィーチェに視線を向けるが何も言わず、馬を走らせ部下の後を追い始める



「……さて、そこのナマモノ。2つ聞きたいことがあるんじゃが、答えてもらおうかの?」

「こ、いつ……俺をまた…!」


殺気立つアルベルトに気にもかけず、ヴィーチェは問い掛けを始める



「ヴォルフ=マーベリックとラピス=マーベリックは何処に居る?」

「…………」



ヴォルフとラピスの名を出すと、アルベルトは見せつけるように指をパチンと鳴らし『何か』に合図を送る仕草を見せる



「くくくっ……爺と小娘が何処にいるか、だと?さてな……?後で会わせてやるよ…」


アルベルトの仕草と言動に不穏な気配を感じ始めたヴィーチェは纏っていた(プラーナ)を更に高めて『身体強化』を強めていくと同時に、自身が得意とする特殊技能《無言詠唱(サイレントキャスト)》で範囲魔法の発動準備を終わらせ《遅延術式(ディレイ・スペル)》で発動タイミングを図り、先手を取る下準備を終わらせる



「………」

(【魔力(マナ)よ・天より穿つ雷槍となりて・彼の者等に降り注げ】…更に《遅延術式(ディレイ・スペル)》を発動!……準備はこれぐらいで良いじゃろ。本当は援軍とやらが来る前に終わらせたいのじゃが……知り合いが噛んでるとなると、所在ぐらいは確認したいのぅ…やれやれなのじゃ。)


「貴様等、この女は俺が殺る……手を出さずに逃げ道だけ塞いでおけ」

「……なんと、妾と一人で戦うと?余程、腕に自信があるのか…それとも、その反射(リフレクション)の刻印が施された武具には他に仕掛けがあるのかのぅ?」

「な……」


「その反応はアタリじゃな!」

(《遅延術式(ディレイ・スペル)》解除!術式《雷槍放電撃(サンダージャベリン・スパークウェーブ)》発動!)


驚くアルベルトと同時に片手を空に掲げて《無言詠唱(サイレントキャスト)》を即時発動させるヴィーチェ

空に数十の小型魔法陣が次々と展開され、魔力(マナ)で構築された雷の短槍が顕現された瞬間に次々と騎士達に降り注ぐ


「ぐぉあああああッ!!?」

「うあああああッ!!!」

「た、たすけっあぁぁぁ!?」

「ま、魔法!?ぎゃあああ!!」

「バカな…いつ、詠唱をッ!ぁぁあぁぁ!?」


僅か十数秒にすら届かない時間…ヴィーチェの視界が及ぶ周りにいたのはジオが連れていた兵士達とアルベルトが引き連れていた騎士達…総勢にして五十前後、その全てが倒れ伏す。

起きあがる者は無く、立っているものも居ない。……アルベルトとヴィーチェを除いては……



「…………今のが『白い翼の魔女』の魔法……」

「やれやれ、森の中だから手加減したのじゃがのぅ…配下の武具にも反射(リフレクション)とはいかずとも、せめて抵抗魔法(レジスト・スペル)の刻印ぐらいは施しておれば全滅は避けれたじゃろうにのぉ………指揮官失格じゃな?アルベルト=マーベリックよ」



「…………っ」

「チェックメイト、というやつじゃのぅ?」



ギリギリと歯を噛み締めるアルベルトを見てヴィーチェは溜め息をつく



「さて……勝敗は決した。命までは取らぬから敗軍の将らしくしてはもらえぬかの?」



「…お、のれ……」



アルベルトを拘束する為、近付くヴィーチェに対しアルベルトは抵抗は無駄と理解しているのか身動きせずただ立ち尽くす



そして歩幅十歩分の距離から更に一歩、ヴィーチェが踏み出す瞬間




「勝敗を決めるのは、まだ早いと思うよエルトリンデ殿?」

御首(みしるし)貰い受けまするヴェル殿!!」

「っ!?」

(何と!?妾がこの距離まで気配を読めなかったじゃと!それにこの声……まさか!?)




…………




………………





瞬時に煌めくは三度舞う、鋼の軌跡…



(そら)に散らすは赤よりも紅く、

生命を宿す根源たる存在(モノ)



地に失墜せしめるは純白より

真紅に変わりゆく翼…




そして…………その場に立ち尽くすは



「…すまないね、エルトリンデ殿」

軌跡を煌めかせ、振り抜かれるは二振りの短刀を巧みに操る、笑顔の仮面を被った若き青年と………



「…………すみませぬ、ヴェル殿」

帯びた血を振り払うようにヒュンッと音を鳴らし、素人目にも業物と思える刀を一振りした後に鞘に納める…悲痛の表情を隠せずに立ち尽くす若き女剣士の二人だった……








…………そして、時はやや戻り、物語の歯車は再び冬麻を軸に廻り始める…………



第3章は時間を少し戻して冬麻視点になります。


ヴィーチェの生死の行方と、新たな襲撃者に関しては……しばし!お待ちくださいませ!

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