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解決編 毛布の中のエルビアニカ スウィートバウム連続下着泥棒事件10

  シーナの心遣いに感激したワーコルは当然ながらイチとシーナの酒代を全て持ったうえで二人を見送った。

シーナは単純に楽しいひと時を過ごせたので満足であった。イチとしても全ての情報を得られたわけではないがブルーセラーノという者が事件に関わっていそうだという情報を得れたので不満はなかった。


 アンテ・ショコラを出た二人であったが、店を出てすぐに別れたばかりのワーコルが「ゲコゲコ」鳴きながら二人の背中に声をかけた。

何事かと思った二人にワーコルは、

「これ、サービスや。ええもんやから取っといてや」

とまた新たな白いショーツを手渡したのである。


 ルーナハイムに帰ったシーナとイチは改めてその受け取った下着を見て驚いた。

なんとその下着の生地に、筆で下着泥棒事件に関わると思われる重要な情報が書かれていたのである。


 【ラグジュバウム 5-5 28日 22時 】


 【無粋な連中、他人のふんどしであこぎな商売】


 これは下着を惜しげもなく手渡してくれたシーナへの返礼であろう。


 ルーナハイムに戻ったイチたちは早速行動方針を話し合い、連続下着泥棒事件解決のために行動を開始する事にした。


 まずエルビアニカとイチ、タオメイメイ、ミュルガルデで情報を集めた。

(※余談ながらシーナはこういった情報収集に行かせると余計な事を口外する不始末を何度かやらかしていたので情報収集を禁じられた)


 エルビアニカはワーコルの教えてくれた場所へ向かうと、そこはブルーセラーノの私邸であった。

ラグジュバウムは高級住宅街であり、スウィートバウムやセクサティギに比べると別世界である。

人の数も質も違うし何より道が広い。

緑も多く、どの家も豪緒な門や広い庭を風格を表しており、ブルーセラーノの家も負けず劣らずの豪邸であった。


 エルビアニカは情報収集に秀でた冒険者であり、特に男相手にはその実力を十二分に発揮する。

エルビアニカは薬売りに化けたり、掃除婦に化けたり、時には男を誘惑し、ブルーセラーノの私邸で何やら集会のようなものが開かれるらしい事を突き止め、ブルーセラーノ邸の見取り図まで数日のうちに入手したのは流石と言わざるを得ない。


 打って変わってイチとタオメイメイ、ミュルガルデは情報収集能力は人並みである。


 ミュルガルデはブルーセラーノの商売に関係する者を中心に情報の入手を試みたが上手くいかず「モー」と落ち込んだ鳴き声を出した。


 イチとタオ・メイメイはセクサティギーの闇冒険者が集まる酒場などで情報を得ようとした。

闇冒険者とは冒険者を名乗りながら反社会的組織の仕事を請け負うならず者達である。

イチとタオ・メイメイはとある酒場でエルビアニカと違い極めて暴力的な方法で情報を仕入れ、偶然に助けられて奇妙な事を聞いた。


 なんでも他人の下着を買い取っている人間がいるらしい。


 しかしイチとタオメイメイが暴力的に情報を提供させた人族の闇冒険者はそれ以上の具体的な情報は持っていなかった。


 その後、イチ達は再びルーナハイムで集めた情報を持ち寄り、エルビアニカに情報収集を一任すると、なんと彼女はブルーセラーノに近い人物から直接事件の全貌を聞き出してしまったのである。

その男はブルーセラーノから美術品を買っている行商人で、トリンプスという人族の男であった。

画商がよく集まるBARで出会い、その日のうちにエルビアニカを酷く気に入り宿泊しているホテルにエルビアニカを招いた。


 エルビアニカは同じベッドでトリンプスと毛布に包まっている時に事件の全貌を聞いた。


 「ブルーセラーノは下着を売っているのさ。それも女の履き古しをな」


 「へぇ。そんなものが売れるのかい」


 「世の中にはそういう変態ヤローが存外多いらしい」


 「嫌だねぇ。最近、あたしも盗まれたんだよ」


 「それならもしかしたらブルーセラーノの所にあるかもな」


 男はエルビアニカの髪を撫でて笑った。


 「じゃあブルーセラーノか、その手下が盗んだってわけ?」


 「いや。ブルーセラーノも馬鹿じゃない。盗ませるのは街の闇冒険者や盗っ人任せさ。要は、闇ギルド経由で盗んだ下着を買い取る仕組みを作ったのさ」


 「嫌だねえ。あたしの仲間も盗まれてんだよ」


 「ああ。ブルーセラーノが計算外だったのは、あまりにも下着泥棒が増えすぎた事だな」


 「それって?」


 「近いうちにブルーセラーノの家で金持ちの変態連中を集めてオークションを行うって話だ」


 「オークション?」


 「例えば有名冒険者の下着とか、街の看板娘の下着が高値で競り落とされるらしい。だがそれを理解してない街の馬鹿共が手当たり次第に女の下着を盗み始めたってわけだ。流石に冒険者ギルドが動き始めたって話だな」


 「なんだか、気持ち悪いねえ」


 「まったくな」


 そう言いながらトリンプスは毛布の中でエルビアニカの背中を撫でた。


 「でも、それじゃあブルーセラーノも焦ってるんじゃないかい?」


 「ああ。相当焦ってる。何せもう金持ち連中は呼んじまってるからな。今更中止したら信用に関わる。だから奴さん、不測の事態に備えて闇冒険者を警備につけるんだとよ」


 「へぇ………」


 「この話は秘密にしておいてくれよ。それより、なぁ、もう一回、どうだ?」


 これが連続下着泥棒事件の全貌である。

殆ど一人で事件の真相を突き止めたエルビアニカはどうやればそんな情報を手に入れられたのか、シーナに教えるようせがまれたが笑ってはぐらかした。


 それから次の日、イチ達と同じルーナハイムを借りているヘルヒャン・バットフットとイルハ・ルチオリーヌが冒険の旅から戻って来たので、事情を説明し二人を下着解決事件解決の仲間に加えたのである。

そして、イチ達は28日にブルーセラーノ邸を襲撃する事を計画するのであった。



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