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5階 VS改造トロル

  イチは遂に5階にたどり着いた。

 後はこの階さえ踏破すれば最後の部屋が待っており、そこで最後の試練が待ち構えているという。


 だがこの時イチの身体に重大な異変が起きていた。

それは恐らくこの世界の多くの種族が近代以降悩まされている問題であり、特に女性にとって深刻な悩みでもあった。


 ____トイレに、行きたい。


 切実であった。


 この時代、既にバルティゴ都市国家連邦の都市部では上下水道が整備されており、都市部でない農村部などであっても便所というものは一応作られていた

これは18世紀、バルティゴ都市国家連邦樹立以前のバルティゴ王国当時にウガイ衛星王が公衆衛生の改善に尽力したためである。(余談ながらこの時に国の財政を大きく損なったためにバルティゴ王国の衰退を招いた)


 無論冒険者であるイチは必要に応じて草むらなどで花を摘みに行くなどは日常茶飯事であったが、ここはエロトラップダンジョンとも呼ばれるラプダンジーの塔である。

無防備な時間を作る事は命取りになりかねない。


 そして悪い事にラプダンジーの塔5階は塔の最上階手前だけあって罠の数が多い、そのためイチは尿意を感じながらも慎重に罠を警戒しながら進むしかなかった。


 そして、最後の部屋へと上る階段を前にしての事である。

イチはジャワジャワとした下腹部の疼きに心を悩ませながらようやく上に続く階段を目にした。


 『入り口に罠なし、道中に罠あり、最奥の罠は致命的』


 イチは階段が見えたからこそ己の神経を研ぎ澄ませた。

己の尿意と戦いながら。

その鋭い警戒心がイチの危機を救う事になる。

己の尿意を堪えながらも。


 ________?


 天井に不審な薄く引かれた切れ目をイチが見つけられたのは幸運であった。

尿意こそ感じていたが、彼女は四方に潜んでいる罠の存在に警戒を緩める事がなかった。

その為天井に目をやった時、左足の踵を上げようとするのを寸前で思いとどまることができた。


 ________!?


 突然天井が割れたかと思うと、不気味な緑色をした塊が落下した。

その塊は巨木のような二本の脚で直立すると、丸太ほどある4本の腕を開き、大人の男2人ほどある背丈と存分に蓄えた腹の脂肪を見せつけながら、「ぐあ____ッ」と咆哮した。

その空間を震わせる唸り声にイチの身体が腹の奥まで震え、そのため一瞬、尿意が攻城槌のように彼女の門を叩いた。


 ____トロル!? いや、こいつは、いったい!


 その怪物はトロルと呼ばれる生物のようであったが、トロルの腕は1対しか生えていない。更にあるべき場所に眼がなく、これまた大きな目玉が4つ頭部から生えている。

この個体はどうやら何かしらの魔法で生命の設計図を組み替えられた超自然の存在らしい。


 などと考える暇のあるイチではない。


 怪物咆哮した瞬間に腰のホルスターからカーペイト15式を抜くと同時に電光石火のファニングショットと呼ばれる技で瞬時に3発の銃弾を顔面に叩き込んだ。

火薬がもたらした反動と空気の振動が更に彼女の尿意を刺激した。


 顔面で弾丸が炸裂し赤い血の華を咲かせると怪物は、「ガッ____ッ」と鳴くが倒れない。

この怪物はラプダンジー師が塔の番人として生み出した改造トロルであり、元々のトロル自体が尋常ならざる生命力を持っており、現代では一部の保護されている種を除いて積極的に駆除されている。


 改造トロルは両目と脳天から血を噴き出しながら4本ある腕を振り回しイチを捕えようとした。

それを尿意を堪えつつ切れ味鋭く背後に飛び退いて躱すイチ。

のみならず飛び退きながら宙空の中で更に2発の弾丸を脳天にぶち込んだ。

更に着地と同時に1発。そして尿意に耐える為に丹田に力を込める。

この神業のような早撃ちと射撃精度が何度もイチの窮地を救ってきたのである。尿意とは別にして。


 ____化け物め!


 改造トロルは頭部を血だらけにしながらも倒れない。

トロルという怪物は腹部にマナを生成する特殊な臓器と第二の脳を持っており、それが為に多くの生物のように頭部に致命的損傷を受けても行動ができる脅威の生き物である。

本来、温厚な雑食性の生物で他の生物を襲う事は少ないが非情に貪欲で発情期になると対象にできる種と交雑を見境なしに試みるので危険視されている。


 ____焼け石に水か!


 トロルを無力化するには腹の中のマナ袋か第二の脳を破壊すればよいのだが、分厚い脂肪は拳銃ごときの銃弾を受け止めてしまう。

ライフル銃の強力なものがあってなんとか対策が可能だが、そんなものは持っていない。


 改造トロルは視力を失いながらも4本の腕を振り回しながら我武者羅にイチへ突撃してくる。

足は速くないので逃げようと思えば走って逃げられるがそうもいかない。

何故なら通路には罠の存在がある。

迂闊に後退すればトロルの脅威を前にして妙なトラップに引っかかりかねない。


 イチは眼前に迫る丸太のようなトロルの腕に気圧されながらも手品師のような素早さで銃のシリンダーから薬莢を排出し、新たな弾丸を装填した。

殆ど装填と同時に更に銃弾を喰らわせるイチであったが、改造トロルの振り回した手が彼女の胴を鷲掴み、その衝撃が彼女の内臓を激しく揺さぶった。

そしてその衝撃は彼女の尿意に致命的な一撃を与える。


 ____ぐぉッッッッッッッ、漏れ………


 この時イチは不屈の精神力でギリギリの身体をあらゆる意味で耐えさせた。


 腹筋に力を集中させトロルの握力に気を失わぬよう歯を食いしばり、食いしばりながらトロルの身体に装填した全ての弾丸を撃ちこんだ。撃ち込みながら決壊しそうな己の門を全力で押さえつける。押さえつけながら瞬くような速度で排莢、排莢しながら神速で新たな弾丸を装填、そしてやはり尿意を不屈の闘志で押し戻す!


 ____この……………ッッッッッ!!


 改造トロルはイチを無力化しようと床に叩きつけるためにイチを握ったまま腕を振り上げる!

床に叩きつけられ気力を削がれたイチをその4本の腕で押さえつけ、交配を試みようというのだろう。


 ____この………………この野郎!!


 イチは振り回されながら顔を真っ赤にし涙目でトロルに更に銃撃を加えた。しかしトロルの動きは止まらず、憐れイチはこのラプダンジーの塔でトロルに妙な目に遭わされてしまうのか………。


 が、そうはならない。


 トロルは腕を振り上げたまま急に動きを緩めた。

まるで金縛りにあったように身体が硬直し、銅像のようにピクリともうごかず固まっている。


 イチが撃ちこんだのはバジリスクと呼ばれる巨大なアシナシトカゲの毒を仕込んだ毒の弾丸だった。

トロル種はその驚異的な生命力の代わりに悲しい弱点を持つ。


 兎に角、毒に弱いのだ。


 バジリスクについても少し触れると、この巨大なアシナシトカゲは牙から毒液を獲物に注入し、この毒液は獲物の筋肉を硬直させまるで石化したかのように動けなくなる。

そして動かなくなった獲物の肉を噛みちぎって食うという恐ろしい生物ではあるが、その毒は狩猟などに利用される。


 トロルの毒への免疫は人間にとって危険のない小さな蜘蛛や蜂に刺されただけで身体に異変をきたし活動不能になってしまうほどに弱いので、そんなバジリスクの毒を仕込んだ弾丸を何発も撃たれたら一瞬で毒が回ってしまう。


 ________やったか。


 イチはトロルの腕に掲げられたまま安堵した。

安堵したが、これがいけなかった。


 ________しまった、動けない!


 トロルはイチを握ったまま硬直してしまったのでその太い指に捕まったまま身動きが取れなくなってしまったのである。

幸い、トロルのほうでも交配が目的の為かイチを握りつぶすような勢いでは掴んでいなかったのでまったく動けないわけでもなく、身体をよじると少しずつ手の隙間から抜け出せそうな事がわかった。


 ________くおおおおおおおおお! こんな時に、こんなことでえええええええ!!


イチは肘に腰に背中にと身体をよじりながら全力でもがいていたが、


 ____も、もう、げ、限界ッッッッッッッ!


 背負っていたリュックやガンベルトが邪魔をし、


 ____も、漏れ…………ッッッ!!!


 なんとかトロルの手から脱出する直前で………、


________あッ…………。、あぁ……………っ!!!! ………………………………あぁぁ………………………………。


 彼女の尿意は限界に達した。

 イチはトロルの手から抜け出ると、崩れた装備を整え直し、きりりと結んだ口に固い意志を示した瞳、怒りに満ちた足取りで開き直って胸を張ると最後の部屋を目指して階段を上がってゆくのであった。 




  



 

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イチ ぼうけんしゃ

【LV :   33】

【体力:  301】

【気力:  731】

【状態:   ぬれ】

【状態: ノーパン】


・改造トロルを撃退した!

・ショートパンツが濡れてしまった。




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