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最終話

 その現れた顔は、ガイコツだった。


 片目だけギョロっと目玉が付いている、巨大なガイコツの顔だ。

 俺は天井から出てきた巨大な顔を調べる。



守護者ガーディアンライフリーパー レベル16

スキル/空間操作、告知封印

    異空間時︰軽自動車無力化

    異空間時︰運転手車外放出

魔法/ドラゴン召喚、デスキャノン



 ついに本体が現れた。

 ようやく姿を現したなガーディアン!

 覚悟しやがれ!

 しかし……何かいろいろヤバそうな技を持ってるな。いかにもボスキャラって感じだ。

 だが気にすることは無い。どうやらレベルはこっちと同じみたいだ。

 今の俺なら勝てなくはないはずだ。

 

 天井に出てきたガーディアンの顔をよく見ると、右側の目が無かった。さっき倒した目玉はこいつの右目だったらしい。

 その片目のガーディアンは口を開き喋りだした。


【我ハ死神ノ王。汝ノ命ヲモライニ来タ】


 俺の命をもらう? 勝手なこと言いやがって。

 俺は遠くにいるガーディアンに言い返す。


「俺はまだ死ぬつもりはない! 死ぬのはお前だ死神!」


 俺の声が届いたらしく、死神は答える。


【マダ汝ハ生キタイト言ウノカ? ナラバソノ意思ヲ我ニ示シテミヨ】


 そう告げたあとガイコツの左目が光り、空中に丸い大きな異空間を作り出した。

 その異空間の中には草原が広がっていた。

 そこには高い塔があり、その周りをバサバサと巨大なドラゴンが遠くの空を飛んでいる。

 その空を飛ぶドラゴンはこちらの方を向き、こっちへスピードを上げて接近してくる。

 そして異空間のゲートを通り抜け、俺のいる地底の街に飛び出してきた。

 ガーディアンはドラゴンを呼び出したあと天井の中に溶け込むように潜り、どこかへ消えてしまった。

 くそ、逃げたか。

 だがまずこの目の前のドラゴンを何とかしないと。

 車の正面に表示されている死の宣告のカウントを見ると『5』となっている。

 もう半分まで減ってきた。

 時間は無い。早めに決着を付けよう。

 俺は空中にいるドラゴンと戦うため、覚えたばかりの『飛翔』を使ってみる。

 すると車の外側扉の両サイドから大きな翼が開いた。3メートルはある巨大な翼だ。

 翼は勝手にバタバタと羽ばたかせ、車を空中に浮かせる。

 おお! 飛んだ!

 バッサバッサと羽ばたく車。

 俺が操縦せずとも、自動で飛んでいる。

 空中からドラゴンがこっちに向けて炎を吐き出してくる。

 車は勢いよくさらに上へ飛び上がって迫る炎を間一髪でかわした。

 翼を羽ばたかせながら、車はどんどん高度を上げていく。

 下を見ると崩れた街や神殿が小さくなっていく。

 上には洞窟の天井が。岩肌の細かい部分が見えるほどすぐ近くまで接近する。これ以上の高さまでもう上がることはできない。

 後ろを見ると空中を旋回するドラゴンの姿があった。

 いまこの車は、空中を飛ぶドラゴンと同じ高さまで来たようだ。これで戦う地理的な条件は同じになった。

 ドラゴンはこっちに向き直り、接近しながら大きく口を開く。巨大な牙がこちらへ迫ってくる。

 噛みついて来る気か? そうはさせるか!

 俺は飛んで来るドラゴンに向けてブリザードを撃つ。

 ビュオオオオオオオオオオ!

 ドラゴンに猛吹雪が吹きかかる。

 ピキィッ!

 一瞬で巨大なドラゴンがカチコチに凍りついた。

 さすがマグマを凍らすブリザードだ。ドラゴンでさえも簡単に凍らすことができた。

 だがドラゴンはスピードが出ているため、勢いの残ったままこっちに突っ込んで来ている。

 ヤバい! ぶつかる!

 俺はドラゴンを破壊するため、咄嗟に回転斬りを使う。

 ビュンビュンと空中で高速回転する軽自動車。

 

 ガシャアアアアアアアアッ!


 回転斬りに衝突した冷凍ドラゴンは割れたガラス細工みたいに空中で粉々に砕け散っていった。


 よっしゃ! ドラゴン撃破あああ!

 俺は車の中でガッツポーズする。

 だが車のカウントは『3』となっている。もう残りはほとんど無い。

 次のレベルアップで死の宣告を解除するスキルを覚えてくれることを祈るしかない。


《レベルア……ました……軽自動車のレベ……が……》


 何か告知の様子がおかしい。

 どうしたんだろうか。ちゃんとレベルアップしてくれ。

 しかもなぜか突然、地底の街……いや、洞窟そのものが暗くなっていく。

 周りを見ても、もう暗くて何も見えない。

 洞窟は突然、闇の世界に変わってしまった。

 車に生えていた翼はいつの間にか消えていた。

 だがなぜか、俺の軽自動車はこの闇の空間にフワフワと浮いていた。

 この闇の世界は、まるで宇宙空間にいるかのような、無重力の世界になっていたのだ。

 確かガーディアンの能力に『空間操作』ってのがあった気がする。あれを使ったのか?


 そのとき突然、車のドアが勝手に開く。

 そのままドアはバキッと折れて外れてしまった。

 え? え? 何が起きた?

 外れたドアは空間を漂い、そのままどこかへ行ってしまう。

 いやちょっと待て。何で壊れたんだ?

 車の前を見ると『2』となっている。

 そうか、車の死が近づいているから壊れ出したのか。

 落ち着け。死にかけてるならヒールを使って回復すればいい話だ。

 カチッ、カチッ。

 あれ? 反応がない。何で?

 すると今度は前方にある剣がべリッと剥がれてしまい、こちらもゆっくりと闇の空間を飛んでいった。

 呆気に取られていると、今度は運転席に座っていた自分の体が浮き上がり、何かの力により無理やり車の外へ放り出されてしまった。


「うわあッ!」 


 俺は車からどんどん離れていき、何もない闇の空間を飛んでいく。

 体がグルグル回りながら、俺はゆっくり闇の宇宙空間を彷徨う。

 ワケが分からない。

 一体どうなってんだこれは!

 ふと、遠い闇の空間に何かがいることに気づく。

 そこには、何メートルもある片目のドクロの巨大な顔があった。

 その顔からは人間のような足がたくさん生えていた。

 あれはガーディアンだ。

 奴は闇の空間を浮かんでおり、こちらを見ていた。

 そうか、すべてあいつの仕業か。

 遠くに浮かぶガーディアンは口を大きく開き、口の中に赤色のエネルギーのような光を集め始める。

 闇の空間をフワフワ漂う俺には、もはや何もできることは無かった。

 そうなんだ。俺はずっとあの車に助けられていただけなんだ。

 レベルアップしていたのは車だ。俺は強くなってはいない。

 光を溜め終えたガーディアンは、口からレーザー光線のようなものを撃ってきた。

 真っ赤な光のエネルギーがこっちに猛スピードで迫ってくる。

 それを防ぐ術は、俺には何も無い。


「もうダメだ……! 終わった!」


 俺は目をつぶり、今度ばかりは自分の死を悟る。


 ……。


 あれ? おかしい。

 まだ意識がある。なぜだ?

 不思議に思い目を開けると、何と目の前で軽自動車が盾になって俺を守っていた。


 なぜか軽自動車は闇の空間に垂直に立って浮かんでおり、タイヤのある車の裏側でガーディアンのレーザー光線を受け止めていた。

 俺は軽自動車のお陰で敵の攻撃が当たらずに済んだのだ。

 盾となった軽自動車がしばらくレーザーを受けていると、諦めたのかガーディアンの攻撃は止まった。

 やった! よくやった! 

 だがまだ安心はできなかった。

 車の上を見ると『0』という数字が表示してあった。

 そして、軽自動車はフッと目の前から消滅してしまった。


「そ、そんな……」


 俺は呆然としながら、闇の空間をフワフワと漂う。

 遠くにいるガーディアンはそれを見て、再び口を開けて赤色のエネルギーを溜め始める。

 やっぱりダメだったか……。

 やはり死神に勝つなんて無理な話だったか……。

 ふと、何か小さなカードらしきものが空間に浮かんでいた。


 それは『運転免許証』だった。


 軽自動車が消えたのに、なぜか俺の運転免許証だけが残っていたのだ。

 免許証は浮かんでいる俺の方へゆっくり近づいてくる。

 俺は目の前まで来た免許証を手で掴み取る。

 そうか。

 どうやら死の宣告は軽自動車にはかけたようだが、この運転免許証まではかけてなかったらしい。

 運転免許証を持っていると、何か免許証に熱いエネルギーが宿っているのを感じる。

 俺には分かる。これは俺の軽自動車と同じエネルギーだ。

 なるほど。そうか、わかったぞ。

 これが例の『奥の手』ってやつか。

 これを使えってことだな? 相棒。

 よし! お前の意思は受け取った!


 俺は遠くにいるガーディアンに体を向けて、免許証を握りしめた右手を大きく振りかぶる。


「くたばれ! 死神ッ!!!」


 俺は全身を使い、ガーディアンに目掛けて思い切り免許証を投げ飛ばした。

 エネルギーが宿った免許証は猛スピードでガーディアンに向かって飛んでいく。

 免許証はエネルギーの力が働いてるためか、弾丸のような目にも止まらぬ速さに達する。

 弾道ミサイルのようになった免許証はガーディアンの口の中に入っていった。

 瞬間、ガーディアンの体が赤く光りだした。


 ドオオオオオオオオオオオンッ!


 大爆発をお越し、ガーディアンの体は木っ端微塵に砕け散った。

 自分が作り出したエネルギーが中で爆発したのかもしれない。


 倒した……。


 やった! ガーディアンに勝ったんだ!

 俺は、死神に勝ったんだ!


 ん……?


 ガーディアンが爆発を起こした場所から、白い光が溢れている。


 太陽のような眩しい光だ。


 俺の体は、その光にゆっくり吸い寄せられる。


 もしかしてあの光がこの世界の出口だろうか?


 浮いている俺の体は、導かれるように輝く光へどんどん引き寄せられていく。

 

 あの光の向こうには、果たして何が待ち受けているんだろう?


 意識を取り戻し、病院のベッドで目を覚ます……。そんなことを、俺は期待しているんだが……。


 でもここからだと、あの先に何があるのかはよく分からない。


 だが俺には、あの先に魔物たちの姿は見えなかった。


 俺はもう、奴らに悩まされることは無いだろう。


 だからまた、前に進んで行けるはずだ。




 俺は、自分に打ち勝ったのだ。




      END




これにて軽自動車物語は終了です。

ここまでお付き合いして頂き本当にありがとうございました。

ブクマを付けてくれた方、読んで頂いた方、励みになりました。これを機に一層の評価を頂けるようまた頑張ります。

ではまた次回作でお会いしましょう!

アデュー(^.^)/~~~

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