インドで事故ったら
食事関連の話が続いたので、今回は交通関連の話をば。
首都デリーは人口が密集しており、道路も日中はいつも混んでいます。
運転はとても疲れるため、ある程度以上のお金を持っている人はドライバーを雇い、運転させています。
例えば日系企業がインドに進出し、日本人駐在員を置く場合に車は駐在員自身が運転してはいけないという会社があるぐらい、日本より運転は大変です。
まあ、そんな状況なのであちこちで事故が起きます。
軽く擦ったりするぐらいなら日常茶飯事で大したことはないと彼らは考えますが、運転に支障が出るような事故は困りますよね。
日本で修理が必要な事故になった場合、例えば自分と誰かの2台の車が接触したとしたら、まずは警察を呼んで交通事故証明書を作ってもらうとともに両者(の保険会社)で過失割合の話し合いなどをします。後は修理代や治療費を過失割合分に従って互いに払いあうわけですが、金額が小さい場合は自腹で払い、大きい場合は保険等級が下がります(今後の保険料が高くなる)が保険から支払うといった感じでしょうか。
破損が大したことがない場合は示談で解決するという方法もありますね。
しかし、インドでは車の保険に相手の車の修理代などを支払うという条件がありません。
自動車保険は自分の車の修理にしか使えないのです(もしかしたら、今はそういう保険もあるかもしれません)。
なので、事故の際に過失割合の話もありません。
そこで、事故が起きると、まずは示談です。
正直、どっちがルールを守っていなかったか悪かったかという話よりも、「フザケンジャネー、コノヤロー!」と怒鳴り、相手をびびらせた方が勝ちです。
私が駐在員としてインドに住み始めた時に、長年インドに住んでいる別会社の駐在員の方から、こうアドバイスを頂いたのが今でも印象的に覚えています。
「ドライバーはね、運転の上手さよりも腕っぷしが強そうな人を雇った方がいいよ」
その後、年間契約の運転手付きレンタカーを借りたのですが、たまたまその時の運転手はプロ野球の助っ人外国人選手みたいな腕っぷしの強い人でした。全然場所は覚えてくれないし、運転は荒っぽいのですが、ぶつけた時の対応はまるでこれからプロレスが始まるのかというぐらい熱気がありました。
そこで私はふと思ったのです。
道を覚えて、安全運転していたら、そもそもこんな面倒なことしなくて済むのでは・・・・・・
起業後に車を購入し、自分で運転をするようになって、数年間、私は駐車場に停めていた車がいつの間にかぶつけられた以外は無事故でした。
ただ、示談で解決しないことがあります。
相手が貧乏でお金を持っていない時です。
高級車の修理代が何十万円もかかるが、相手は100円しかもっていないとしたら――
高級車とオンボロ中古車がぶつかった時に一度見かけたのが、相手が血を流すほど高級車側が殴っているシーンでした。もちろん、殴っているのはムキムキマッチョなドライバーです。高級車のオーナーはエアコンの効いた涼しい車内でその様子を御覧あそばされております。
まあ、明らかに高級が無理矢理割り込んで、前方不注意だった中古車が突っ込んだ状況でしたが、ドライバーの体格と熱量差でボロ車のドライバーは引きずり出されてボコボコです。
さてさて、なぜかここまで警察の話がでてきませんね。
正直、警察を呼んでも渋滞だったり職務怠慢でいつ来るか分からないし、事故により車が交通を妨げると更に渋滞になって、周りが殺気立ってくるので、警察を呼ぶことは少ないです。
酷い時は賄賂要求されたりと呼ぶ方が面倒なこともあります。
それに例えば信号のある交差点でぶつかったとして、停電で信号が動いていなかったら、どっちが悪いのか判断するのも難しいです。
まあ、事故証明をもらっても、結局示談になるのであんまり意味が無いみたいです。
(会社で事故に遭った時は事故証明書をもらうよう言われているところは別ですが)
交通関連も色々ネタがあるので、今後も定期的に書いていこうと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
別で連続小説を書いていますので、良かったら読んで頂けると嬉しいです。
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