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伊勢崎ウェポンディーラーズ ~異世界で武器の買い取り始めました~  作者: 九重七六八
第6話 革新のスピア(ロケッツ オブ ジャベリン)
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チートな冒険 後編

チートな冒険できるのはアディラードのおかげ。

おかげで冒険は安心感。苦戦しません。

「アディ、ドラゴンブレスだ。周りのローパーを焼き払え!」

「分かった、お兄ちゃん」


 すうっと息を吸い込むアディ。ぼうっと強烈なドラゴンブレスが放たれる。周りのローバーが炎で炙られ縮こまる。右京もショートソードを抜いてホーリーを捕縛しているローパーに斬りつける。キル子は中央の巨大なニードルローパーと格闘中だ。


「くそ! これでもか!」


 ザクザクと切り刻んでホーリーを何とか解放する。触手を切り刻んだ白いネバネバ体液まみれのホーリー。女の子座りをして放心状態である。


「ホーリー、大丈夫か?」

「だ、大丈夫です。右京様、助かりました」

「この姿はちょっとまずいでゲロ」

「大丈夫だゲロ子。漫画だったらアウトの光景だが」

「うああああああっ!」


 今度はキル子の方から叫び声が聞こえる。キル子は巨大なニードルローパーに挑み、見事に剣で急所を突き刺し、倒したものの、苦し紛れにローパーが放った毒針をよけ損なったのだ。わずかにかすったために、体がしびれ始めたのだ。


 アディの火炎放射器で周りのローパーは焼き払った。右京はホーリーを連れてキル子の元へ走る。ホーリーの神聖魔法で麻痺を解毒するのだ。


「く……っ。あたしとしたことが……」


 無理もない。あんな巨大なローパーはレアである。キル子一人で倒したことの方が驚異的だ。ホーリーが解毒魔法を唱える。胸に下げたアミュレットを握りしめると、それが光る。


 それはホーリーの両手に移る。優しくそれを覆うようにしてキル子の傷口に当てる。紫色に変化した傷口がみるみる元に戻っていく。周りのローパーはアディが全て焼き払った。燃え盛る炎で周辺が明るくなる。


「霧子さん、これを飲んでください。麻痺毒は中和しましたが、普通に動けるまで10分はかかります。それまで体を温めて回復を早めるものです」


 そう言ってホーリーが腰に携えていた瓶の一つを開けて、キル子に飲ませる。キル子はそれをごくごくと飲んだ。青かった顔色も正常に戻ってきた。


「ゲロゲロ、逃がさないでゲロ!」


 ゲロ子が腰に差してあった銀製のまち針を抜いた。体長10センチ程の小さなローパーがニョロニョロと動いている。そいつを突き刺す。


「主様、あと2匹いるでゲロ! また仲間を呼ばれるでゲロ」

「くそ!」


 逃げる小ローパーを足で踏みつける右京。だが、最後の一匹を潰す瞬間にローパーは叫び声を上げた。


「や、やばいでゲロ!」


 ザザザっと、先程、アディが焼きはらった場所にまたもやローパーが出現した。その数、30以上だ。


「アディ、もう一度、ドラゴンブレス」

「分かった、右京のお兄ちゃん」


 アディがすうっと息を吸い込んだ。そして噴く。だが、黒い煙がポッと出てドーナツ型に広がっただけだった。


「もう無理~」


 アディはまだ子供のドラゴン。続けて火が出せるのは5分程度だ。さっきから、相当使っていたから、しばらく時間を空けないとダメなのだ。


「ちょっと、待て。これって、微妙にピンチじゃないか!」

「右京様、これは大ピンチですよ」


「主様、まずいでゲロ。いくら弱いローパーでもこれだけいたら死ぬでゲロ」


「……右京、あたしを置いて逃げろ。お前たちだけなら、すり抜けて通路へ脱出できる」


 まだ麻痺から回復していないキル子がそう告げる。だが、右京は諦めない。キル子を抱き上げる。お姫様だっこをされて、真っ赤になるキル子。


「右京、ダメだ。あたしを連れてじゃ逃げられない」

「大切な人を置いてはいけないよ」

「右京……。バカ、バカなんだから……」


 右京は覚悟を決めた。キル子を抱きかかえ、ホーリーとアディを連れて出口付近のローパーかわして通路に飛び込む。ゲロ子は何とかするだろう。ところが、当のゲロ子はふうふう言っているアディに話しかけていた。


「おい、チビでゲロ」

「なあに、カエルのお菓子」


「お菓子じゃないでゲロ。ちょっと聞くでゲロが、お前の首から下げているのはなんでゲロか?」


「ああ、これ? これはねえ……」


 ローパーが近づいてくる。右京はタイミングを図る。ちょっとした隙を伺うのだ。そんなことを気にも止めないカエルと幼女。


「早く教えるでゲロ」

「これはママにもらった笛だよ。ピンチの時は吹けって言ってた」

「ゲロゲロ、すぐに吹くでゲロ」

「これってピンチなの?」

「ピンチでゲロ~」

「しょうがないなあ~」


 アディが笛を手に取った。思いっきりそれを吹く。ピロピロピィ~っとダンジョンに鳴り響く笛。アディの影からにゅうっと現れた人物。


「チビの母ちゃんでゲロ」


金髪美人が召喚された。

金髪美人は微笑んだ。

金髪美人はドラゴンに変身した。

口を開けてドラゴンブレス。

ローパーは全滅した。


「ママ」

「アディ、早く帰ってらっしゃいね」


 ニコニコしてまた、アディの影に消えていく母親。この間、わずか10秒。笛はいつでも母親が召喚できる魔法具だったみたいだ。



「おいおい。こんな展開、都合良すぎやしないか?」


「ピンチと思わせて一瞬で勝負が決まるのは、爽快でゲロ。それにこれ以上、ビッチ女戦士と清純ぶってるビッチ女神官が触手攻めされるのは、ゲロ子が許さないでゲロ」


「じゃあ、お前だったらいいのかよ」

「主様。ゲロ子のエロピンチ、期待しているでゲロか?」


「誰もしてねえよ! 期待する人間もいないぞ」


(ちなみにアディラードにそんな期待をする輩がいたら警察に通報しますです。はい)


 アディの母親が一撃でローパーを葬ったので、エリアは静かになった。その中で一本。2m程の毒針が地面に突き刺さっているのを発見した。あの巨大ローパーが放ったものだ。右京はそれを手にする。


「うむ。強度、重さ、理想的だ」

「やったでゲロな。これでクエスト完了でゲロ」


「ああ。早く帰ってカイルに加工してもらおう」



ゲロ子の触手攻め……誰も期待せずですか?

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