【獣の力学】
【獣の力学】
ある時、賢い学者は気が付いた。
知性とは、力である。
つまり、力とは知性である。
そして、力があるものは構造を変えることができる。
これはつまり……知性があるものは、構造を変えることができる。
そう言えるのではないか?
そして学者は、気付いてしまえば試したくなる性質があった。
学者は、学会に足を踏み入れた。
そして、こう言った。
――力の構造を思いついた。私より賢いと思ったら、そいつを倒す。
学者は、宣言通りにそうした。
別に、学者は迷惑をかけた訳ではない。
賢さを証明するために、力で捻じ伏せただけだ。
そして、厄介なことに学者は腕っぷしも強かった。
やがて、学者は学会で「最も賢い」と言われるようになっていた。
やはりこうなるのか、と学者は満足していた。
この法則は、何にでも適用できる。
そうして学者は、研究結果を発表した。
学者は、死ぬまで最も賢い学者であった。
しかし同時に、最も品がないとも言われた。
知性と力は、言葉で示すことができる。
そして品性は、行動で示すことしかできない。
今のところ、品性と知性を結びつけられる論文は出てきておらず。
しかし知性は品性を伴うもの、という認識は生まれていた。
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かつて、とある学者が用いたとされる魔剣。
賢く、力強くなれるだけの魔剣。
しかしこの魔剣を持つと、人は何故か獣のようになってしまうそうだ。
獣とは、しばしば知性がないことの隠語として使われる。
そして品性を求めるものほど、この魔剣には触らない。
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