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第19話 僕は王様だけれど畑仕事をすることもある (4)

《ジロリ!》


 僕は猪の化け物を相手にするのは確かに怖いけれど。ここで逃げれば僕のほのぼの異世界ファンタジーライフ……。


 それも亜人族の容姿端麗なお妃さま付属、セットのハーレム王さまライフがここで終焉してしまうから。


 僕は自分自身へと。


(逃げたらだめだ)、(逃げたらだめだ)、(本当に逃げたらだめだからね~)


 と言い聞かせながら。


 先ほどまで畑の土を耕していた鍬を武器に、如何にも異世界スローライフの主人公さま(ヒーローさま)らしく、自分の両手でギュ! と握り絞めながら、猪の悪者……。モンスター相手に身構えると。


《ギラリ! ギラリ!》


「ブヒブヒ!」


 奴も僕の畑に植えられているジャパニーズ仕様のジャガイモ、サツマイモの種芋を自分の今日の食料と決めたらしいから引く気はないみたいで。僕のことを恐ろしい形相で睨みつつ鼻息荒く──。自分の後ろ脚で地面まで蹴り──!


 奴は猪突猛進の準備に入るから。


「こい! 猪野郎! 僕が相手だ! 今日こそは僕の手で、お前を仲間達同様、この集落のみんなの糧にしてやるからな~! 覚悟しろよ! 猪野郎!」


 僕も奴の眼光を弾き返すほど睨み返しながら悪態をつけば。


「ブヒ~~~!」


 猪野郎は気が短いためか? 


 それとも僕のことが怖くなり、ジィー! とすることに耐え切れなくなったのか? 


「ブヒブヒ!」、「ブッ、ヒヒヒ!」、「ブホォ~~~!」


 と奴は僕へと吠え、猪突猛進を決行してきたから。


 僕は悪者猪をギロリ! と睨めば!


「やぁああああああっ!」


 と吠え──!


 僕は踵を返して、


「誰かぁああああああっ! 助けてぇええええええっ! 助けてぇええええええっ!」、「このままだと僕は猪に今度こそ食われてしまうよ~~~!」、「だからぁあああっ! 助けてぇえええっ! 助けてぇえええっ! お願いだよ~~~!」


 と僕はカッコ悪く、涙を流しつつ絶叫をあげ──! 集落内へと逃げ込む!


 だから僕は今日も異世界スローライフの定番である畑仕事……。野良作業ができずに。


「くそ~! 僕が、異世界スローライフが楽しめないのは……。シルフィーの阿保が僕にアニメやマンガ、ライトノベルの主人公達みたいなチート能力やチート武器を用意してくれなかったせいだ~~~!」


 僕はいつも野獣に追われる度に、自分をこの世界へと導いた阿保な家の奥さまのことを恨みつつ集落内を逃げ回る。


 そして逃げ回っていると。





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