第10話 僕の娘(2)
しかしエリエのやつ……。
いくら浮気者のぼくが憎くて仕方ないからといって、娘の目の前で正させ、反省を促しながら後頭部を踏み踏みして見せしめのように叱るとは……。
エリエもぼくの妃なのだから、日本人の妻らしく夫を立てる振る舞いをしないのはどうなのだろ? と。
ぼくは浮気をした張本人のくせに生意気なことを考えてしまう。
「──母上さま、あの他種族の男性が本当にわらわのお父さまなのですか?」
ぼくとアイカの間に生れ、すでに5歳まで育ったらしい麗美が、相変わらずぼくを怖がりながらアイカの背から尋ねる。
「ああ、そうだ……。今エリエに叱られているのが美麗と真矢と美鈴の親だ……。だから母は暴漢に遭っていたわけではなく、陛下と愛し合い、その後疲れたから仲良く一緒に寝ていただけなのだ。全部美麗の誤解だから、後で怖がらずにちゃんと父親ある陛下に挨拶するんだ、いいな、美麗?」
アイカは叱られているぼくと、父親を恐れる娘を見てクスクス笑いながらも、ぼくが確かに美麗の父親であると母親らしく説明してくれた。
「はい! 母上! わかりました!」
美麗は悪役令嬢でもツンデレでもなく、ぼくによく似た素直な姫なのだろう。アイカの言葉を素直に受け入れてくれた。
(お願い)
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