1-1 マンホール
叫べ!!フーデリオン!!
38歳のおっさんフードデリバリー配達員が、配達で培った知識と未知数の鎧を纏い、未来からの襲撃者と戦う、音楽連動型の特撮風SF小説です
【読者の皆様へ:2作連動の仕掛け】本作の主人公「宇場一雄」は、別作品『運命の人〜ストーリー〜』の主人公と同一人物です。
劇中に登場する、怪しげなバイク屋のオヤッサン。油まみれの店内に不釣り合いに飾られた「一輪の赤い薔薇」……。
彼が「昔、好きな人に渡しそびれた」と語るあの薔薇の本当の意味は、もう一つの世界線を読んだ時にすべてが繋がります。
2つの物語が交錯する時空を超えた伏線回収を、ぜひお楽しみください。
本作のために作者が作詞し、AI(Suno)と共に制作したオリジナルのオープニング主題歌『紡ぐ意思〜フーデリオン〜』をYouTube・noteにて公開しております!
ぜひ、熱いロックをバックに聴きながらお楽しみください!(※楽曲へのリンクはページ下部にあります!!)
それでは、第1話「1-1 マンホール」をお届けします。
雨の日の配達は、金になる。
雨が降れば注文は増え、稼働する配達員は減る。需要と供給が単純に傾く。だからブーストがかかる。一雄がその日も走っていたのは、単純にそういう理由だった。
四月の雨は冷たい。レインウェアの袖口から水が入り、手首を伝って肘の内側にたまっていく。スイカ柄のヘルメットはシールドの内側が曇り、拭っても五秒で白く戻った。
交差点を左折する。いつも通る道だ。いつも通る道のいつもの角。減速も充分だった。バンクも浅かった。
それでもリアタイヤは滑った。
雨に濡れた鉄のマンホール。路面と同じ色をした、路面ではないもの。後輪がふっと軽くなった感触があって、次の瞬間には世界が斜めになっていた。ああ、と一雄は思った。声に出す時間はなかった。
倒れた。滑った。止まった。
三秒ほど、一雄はアスファルトに寝たまま空を見ていた。灰色だった。雨粒が顔に落ちてくる。左手首が、遅れてじんわり熱くなってきた。
「……いってぇ」
起き上がる。膝が震えている。まず確認したのは自分の身体ではなく、周囲だった。人を巻き込んでいないか。車は。自転車は。誰もいない。歩道に立っていた老婆が「大丈夫かい」と声をかけてくれた。大丈夫です、と頭を下げる。
次にバイク。ブレーキレバーが内側に曲がり、右のサイドミラーが首から折れて垂れている。カウルに擦り傷。それだけだ。エンジンはかかった。
最後にバッグを開けた。ハンバーガーのセットが、箱の中でずれている。ポテトが一本、緩衝材の隙間に落ちていた。
一雄はそのポテトをつまみ上げ、しばらく見つめた。
アプリで配達キャンセルの申請をする。理由の選択肢に「事故」があるのが、いつも少し嫌だった。選択肢にあるということは、珍しくないということだ。
今日はもう終わりだ。一雄は曲がったレバーを騙し騙し握って、自宅近くのバイク屋へ向かった。
第1話をお読みいただきありがとうございました!
明日の同じ時間に、第2話「1-2 オヤッサン」を投稿予定です。お楽しみに!
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【主題歌のお知らせ!!】
作者が作詞しAI(Suno)と制作した主題歌
『紡ぐ意思〜フーデリオン〜』YouTube・noteで公開中!
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