第12話 反撃の刃
…痛い。吐きそう。
「…おえ…ッ…」
來瑠「ちょっ?!…ほんとに大丈夫!?無理しなくていいんだってば!」
「大丈夫に…決まってんだろ…」
來瑠「えっ…?」
…これは訓練だ。こんなんでへばっちゃってたら情け無い…。
「…これ、訓練、だろ…?しかも一撃しか、食らってないのに…もうギブとか…男として、終わってる気がするんだよ…!」
人間の体って…強いんだなぁ。
木剣で思いっきりお腹殴られても、少し気持ち悪くなる程度で済んだし…。
ハンス「…ケンヤ。回復薬、使うか?」
もったいない。
頭に浮かんだのはそんな言葉。
「…大丈夫、です…もったいない」
ハンス「お、おう…そうか…」
木剣で思いっきり殴られた時、ちょっと鈍い音がしたが…たぶん大丈夫…だろう…!
「…來瑠、続けてくれ。俺はまだ、立てるぞ…?」
來瑠「…うん。わかった。続けるよ。無理しないでね」
再び構える。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
來瑠「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
バコォッ…!!!!
「…グフッ…!!」
また、腹に木剣がめり込んだ。
…受けれない。
來瑠の動きが、速すぎる…。
「ぐ…まだまだ!………行ける!」
─三度目の正直。
「うぉぉぉぉぉ!!!」
來瑠「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
(考えてみれば、能力マシマシ、魔力・火力ともに抜群の異世界人に、そう安易とたかだか日本人…それも俺みたいなやつが勝てるわけが…ないんだ)
「…グフッ…!!」
─四度目。
「グフッ……!!ゲホァッ……!?ァ…」
來瑠「ケンヤ!!!」
(……俺はつくづく、負けず嫌いなんだろうなぁ)
來瑠「……ねぇ!!ほんとに、大丈夫!?私、見てて辛いんだけど!!きついなら、言いなよ!!」
(って…ん?待て、俺はクルに勝つために…この模擬訓練を受けたのか?)
「…大丈夫だ…!!まだ、行ける…!」
(…違う。俺は…能力を手に入れるために、今こうやって…動いてる!勝とうだなんて…思っちゃいけない…!ただ、能力のことだけを…考えろ!…考えろ…!)
─五度目。
「ぐはァッ…!?!?」
体が、宙を、舞った。痛い。自分でもわかった。
(…何か見落としてるはず……やるべきことを……!)
─六度目。
來瑠「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
(…ハッ!?そうか!能力!!『観察』!!魔力で…クルの動きを…!!あれを…つかっt…)
「グボァッ……!!」
遅かった。
再び、殴打。
血…を思いっきり吐いた。
ポタ…。ポタ…。
タージモ「…ケンヤ!!回復薬を、使え!!さもないと、能力を手に入れる前に死んでしまうぞ!!!」
來瑠「…そうだよ…!ケンヤ!!もう、満身創痍だってば…!!」
いや…誰がそうしたと、思ってますか…?
それに…。
「…ダメなんです!!少しでも休んだら…せっかく掴んだ感覚が…わからなくなる!!…やっと、近い感覚が…!!」
來瑠&タージモさん「「でも(だが)……!」」
ハンス「…やらせてやれ。2人とも。心配する気持ちはわかるが…」
ハンス「ケンヤは自分で、コツに近いものを掴んだ。そう言っている。今まで剣も握ったことのないような男が、満身創痍になりながらも…必死にそれを、見出そうとしてるんだ。本人の気持ち、汲んでやらないとここは…失礼じゃないか?」
(:ケンヤのやつ…ヒョロっちいと思ってたが…割と芯のある男じゃないか…)
來瑠&タージモさん「「ぐっ…」」
「…頼む、もう少しなんだ…!俺はまだ…立てる!!」
タージモ「…あの子はどうして、あんなに元気なんだ?」
ハンス「さぁ?アドレナリンのせいじゃないか?」
來瑠「はぁ…」
來瑠のため息。
來瑠「…わかったよ。ケンヤ。でもね…私はケンヤに死んでほしくないの。ごめんね」
來瑠「だから…ちょっとだけ、私も…加減しないからね」
來瑠「ここで、絶対…休ませてあげる」
來瑠「能力─ 『居合』」
ドゥッ…!!
能力を使わなくてもわかる。
そのくらいの魔力。來瑠のものだ。
(だが…さらに…魔力が見やすくなった…!『観察』で…動きが、掴みやすい!!!)
─これで七度目だ。
「行くぞ…!!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
(『観察』を使って…!!來瑠より先に、動く!!)
目を張る。
魔力の流れがはっきりと、わかる…!!
來瑠「…はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ジグザグに蛇行し、飛び込んできたクル!!!
だが…!
(視界が…ゆっくりに…!!??これが……)
(─ 『受領』!!)
魔力、そしてクルの動き。
(……見える!!そこだッ……!!)
魔力が込められた木剣…その魔力を…
……吸い取る!!!!!
……そして…解放ッ!!!!
(はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!)
キィィィィン!!!!
得物同士のぶつかり合う音。
土煙。
タージモ&ハンス「……発動…した!?」
俺&來瑠「ケホッ、ケホッ……!!!」
「……食らって…ない!!」
どうやら、俺は…成功した、らしい。
─『受領』…そして反撃に!
來瑠「…すごいね。ケンヤ。まさか、受け止めて…避けるなんて…
……でも、まだ私には届いてないよ。ふふん」
クルが木剣を持ち上げた。
─その瞬間。
バキッ…!!!
來瑠「え」
「え」
なんと、クルの木剣が、根元から真っ二つに折れた。
タージモ「なんだと…!!まさか…ケンヤの木剣が、クルの木剣を叩き折った…!?」
ハンス「確かにそうなんだが…。俺の目には、一瞬だけ木剣が紫色に輝いて…いや、紫色の剣のようなものが発生して、クルの体を木剣ごと横なぎに払ってたように見えたぞ」
來瑠「うーん…そういえばなんか、脇腹のあたりがめちゃくちゃ痛いね。もしかして私、斬られちゃったの?」
目を丸くしているクル。
ハンス「…たぶんな。もしこれが真剣だったら…」
タージモ「即死、だな」
「…今の…なんなんですか?」
早く…知りたい。
タージモ「…ああ、今のはな……」
グラ…
視界が、揺れた。
ガクッ…!!
あ…意識が……持てない。
そっか…俺、満身創痍だったっけ…?
來瑠「ちょっとケンヤ!?ちょっ…!しっかりして!?ケンヤ!…ケンヤ!!」
気絶、する前に…せめて…この技を…名付け…させて…!
「あの技は…『反撃魔刃』…。そう呼ぶことに…する…」
タージモ「…ハンス!!回復薬を…!!」
ハンス「わかっ…」
ブツッ!!
そして俺の意識は、真っ暗闇に…落ちた。
お楽しみに!
(作者のメッセージ)
読者の皆様、ご愛読ありがとうございます!
ここで、第1章は終了です。
主人公が自分の能力に目覚め、それらをどう生かすか。
第2章から、本格的な半・異世界LIFEが始まります。
魔族や貴族たちの争いに巻き込まれていく主人公。
チートなようでチートじゃない。そんな力を使い、來瑠や街の仲間たちと協力していく、そんな章です。日本でも2人の関係は進展するかも…!?
第2章『半・異世界LIFEは依頼ありき』は近日公開予定!




