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山姥(やまんば)  作者: 野松 彦秋
第3章 相談と対策、そして宿泊研修
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7.出発

お弁当タイムが終わる頃、いずみが3人のテーブルにやって来て、4人は約束通り一緒に先生達が食事をするテーブルに向かった。


4人が行くと、4クラスの担任の先生と学年主任の山岡先生が、一緒のテーブルでお茶を飲んでいた。


テーブルに行くと、学年主任の山岡先生が4人に声をかけた。


『君たちか?、加賀谷先生のクラスの子達って』


『君は野田君だね、お祖父さんの件、立派な方だったのに、事件に巻き込まれて、大変お気の毒に・・・』


『お祖父さんの件、とても悲しんでると思うが、これからもお祖父さんの分まで頑張ってな』


山岡先生は、先ずはカッチに励ましの言葉をかけた後、先生を代表して用件を語り始めた。


『君たちも、知っていると思うが、つい先日、私達の小学校の卒業生、君たちの先輩である佐々木一馬さんが不幸にもお亡くなりになった』


『朝、出発式で少し話をしたが、10年前2人の子が行方不明者が出た事件、佐々木さんも含めて、その3人にね』


『学校の代表として、花を捧げてきて欲しいと思っているんだよ』


『献花する場所は、10年前、佐々木さんが発見された場所に』


『生徒の代表は、君たち4人、先生達の代表として、加賀谷先生と福岡先生にお願いしたんだけど』


『もし君たちが良ければ、受けてくれるかね』


山岡先生は、お願いする様に4人の顔を見つめた。


哲也は、少し困った顔で担任の加賀谷先生を見た。


『オレと、福岡先生は謹んでお受けしたぞ!』


加賀谷先生は、4人の顔を見ながら真面目な顔でそう言った。


『先生達が行くなら、私達も行きます!』


4人の行動を決めたのは、いずみの声だった。


いずみがそう言った後、哲也、ナオケンとカッチも『行きます!』と、続いたのである。


『そうか、それではすまないが、宜しく頼みます』


山岡先生は、まるで大人に対してお礼を言う様に4人に頭を下げたのであった。


『それでは、加賀谷先生と福岡先生、午後から4人を連れて山頂に向かって下さい』


『他の先生達は、大変だと思いますが、午後から夕食まで1組と3組の子達の監督も宜しくお願い致しますね』


山岡先生は、そう言うと両手をあわせて一回鳴らすと、先生達は一斉にテーブルを立ち持ち場へ向かった。


『それじゃ、お前たち、準備が出来たら、バスを止めた駐車場まで来てくれ』


『福岡先生も宜しくお願いします、献花する花は福岡先生が持ってるんですよね?』


福岡先生は、ユックリと頷き、自分の部屋に荷物を取りに行った様だった。


『オシ、俺たちも急ごうぜ!』


ナオケンがそう言うので、哲也、カッチといずみも急いで部屋に荷物を取りに行った。


10分後、哲也達が駐車場へ行くと、見た事のある車が止まっていた。


『この車って、まさかカガヤンの?』


カッチがそう言った時、車の助手席のガラスが音を立てて開いた。


『オウ、お前ら、後ろ、後ろに乗ってくれ!』


『エッ、加賀谷先生、この車どうして此処に有るの?』


哲也が驚きを隠せず、加賀谷先生に質問をした。


『・・・さあ、どうしてでしょ?まあ、いい、後で説明するよ。福岡先生が来る前に、先ずはお前ら乗ってくれ!』


3人が車の後部座席に座ると、玄関の方からいずみと福岡先生が荷物と花を持ってやってきた。


『・・あれ、私が助手席で良いんですか?、スイマセン』と言いながら、福岡先生が座り、いずみが3人と同じく後部座席に座る。


福岡先生は、シートベルトを締める前に、思い出したかのように香水を取り出し、それを一人づつ皆にかけた。


『こんなの気休めかもしれないけど、相手が貴方たちの匂いを知っているなら、アナタたちが来たっていうのが気づくのを遅らせる事ぐらいは出来ると思うの・・』


先生の顔と声は真剣で、それは哲也達の気持ちを引き締めるのに十分だった。


『待ってください、オレも』


そう言ったカッチが、リュックから魔除けの札を取り出し、車の前と後ろにセロハンテープで貼り始めた。


『後で、取るのが大変だよ~』


『イデッ、痛い痛い、スミマセン』


加賀谷先生がボヤいたのを見て、福岡先生が加賀谷先生をツネッたのだった。


御札を貼った、子供たち4人が再び後部座席にのると、加賀谷先生が声を皆にかける。


『準備は良いか?それじゃ行くぞ!』


『は~い』


『先生、この車、山道大丈夫?』


『犬崎、日本車の4駆(く)を舐めちゃこまる。オレがどうして昨日一日かけて、此処迄愛車を持って来ていたかを分からせてやる!』


こうして、6人は山姥が待つであろう、祠の近くに出発したのである。

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