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山姥(やまんば)  作者: 野松 彦秋
第3章 相談と対策、そして宿泊研修
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6.気まずい3人

出発式では、最初に安全第一という内容で、10年前の行方不明事件についても少し触れられた。


『二度と同じような事がおこらないように、勝手な行動はせず、何かあったら直ぐに先生達に知らせるように!』


学年主任の山岡先生は、そう言って話を終わらせる。


最後に、哲也達の同級生、松野という男の子が代表して、見学していた保護者達に向けて挨拶をした。


『それでは、見送りに来たお父さん、お母さん達、ご家族の方達、行ってきます!』


短いたったその一言であるが、代表の子は人前で話した経験が少ないせいかとても緊張し、声は大きいが少し裏返っていた。


そしてクラスごとに別れた列は、それぞれ自分のクラスの番号が書いてあるバスに乗り込んだのである。


学校から出発したバスは、4時間かけて風越鬼山(ふうえつきさん)へ向かう。


哲也たちが乗ったバスには、若いバスガイドさんが一人乗っており、目的地である風越鬼山が3枚のおふだの昔話が生まれた場所であるとか、クマが出るかもしれないなど、そんな話を面白、可笑しく紹介してくれた。


パワーを感じるバスガイドさんとは逆で、引率する担任の加賀谷先生は時々あくびをしていて、哲也には少し元気が無いように見えた。


バスガイドさんの明るさのお蔭で、生徒たちはバスに乗ってる間、退屈を感じず、気がつけば風越鬼山に着いていた、哲也にとってみればそんな感覚であった。


バスが、風越鬼山の宿泊施設に着いたのはちょうどお昼であった。


生徒たちは、先ずは割り振られた自分の寝る部屋に荷物を置き、その後各自用意したお弁当を持って宿泊施設の食堂へ向かうように指示された。


部屋は、3人で一人部屋であった。


部屋の中は、二つの2段ベットが左右にあり、二つのベッドの間の奥に、窓があるだけであった。


哲也のルームメートは、ナオケンとカッチである。


『一応、この窓にも、魔除けの御札貼っとくか?』とナオケンが言う。


『バカ、一応じゃねえ、絶対だよ』


カッチはそう言うと、自分のリュックから持って来たおふだの中から、一枚出し窓へ貼った。


『後で、委員長にも渡してあげないとな・・』


哲也がそういうと、カッチはリュックの中から20枚ぐらい御札を出し、準備万端だよという表情をした。


『委員長、女の班だから、なかなか会う機会がなあ・・』


『委員長が男だったら、楽なんだけど・・』とナオケンが言う。


『いや、それは嫌だろ!!』


思わず、哲也とカッチのツッコミの声が一緒になった。


『嫌ってなんだよ。もしかして、お前らも委員長の事、好きなのかよ?』


『ちげぇよ。男だったら気持ちわるいだろ』


カッチが慌てて否定する。哲也は、動揺してカッチに先に言い訳されてしまい、否定するタイミングを失った。


その恥ずかしさから、哲也は誤魔化すようにナオケンに矛先を向けた。


『ナオケン、お前らも(・)って事は、ナオケンは委員長を好きなのか?』


『バカ、テッカ、オレは別に、好きじゃねえよ、友達としてだよ・・・ムカつくな、もう止め、この話』


『そ、そうだな・・・』


『早く飯食べに、食堂行こうぜ』


気まずい雰囲気を変えようと、カッチは二人に助け船を出す様に言った。


3人は、それから自分達の寝るベットを決め、空いた一つのベットに荷物を置き、弁当を持って食堂に行ったのである。


お弁当タイムの開始の号令があり、3人が食事をしていると、いずみが3人のテーブルにやって来た。


『テッカ君、ナオケン君、カッチ君、お弁当の時間が終わったら、先生達のテーブルに来るようにって』


『加賀谷先生から言われてるの、だから、お弁当食べても部屋には帰らないでね、私もお弁当食べたら、みんなのテーブルに来るから、待ってて、4人で一緒に行きましょう!』


いずみは、そう言って手を振り、自分の班のテーブルに戻って行った。


『話って、何だろ、あの件かなぁ・・』


『それ以外ないだろ・・』


『100%』


3人は、そう言いながら自分達のお弁当を開けたのである。


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