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Miracle Dance Princess  作者: ロマンス王子
第三章 最終決戦編
33/33

最終話 依乃里と真理紗

 何処にでもいるはずの女性、桜間(さくらま)依乃里(いのり)はひょんなことから戦士となった。アメジストの戦士黒崎(くろさき)真理紗(まりさ)は依乃里と無事に依乃里と和解する。そしてダークサイレンスのトップ、ノイジアスがかつての幹部であるブラクスを狙って直接人間界に侵攻することを知る。皆は大切な人との再会など思い思いの前夜を過ごし、決戦に備える。そして皆は自分達をミラクルダンスプリンセスと名乗り、ノイジアスとの決戦に挑むのだった。

「「「「「「「はぁぁ!」」」」」」」


 ローズレーザー、ベリースパークラー、チェリーエッジ、レッドライテスト、ブラックチャーム、グレイスロード、フェスティブレイドの七人とパッショネイトレオン、ジェントルピューマ、エレガントイーグル、チアフルゴリラの四人の獣人はノイジアスに向かって勢いよく走り出す。


「ふん、たったこれだけの人数でこのノイジアスに挑もうなどなめられたものだな。」


 ノイジアスは十一人が向かって来ても依然として余裕気な態度を崩さなかった。


「エクスプロシオン・デ・フローレス!」

「ダンサ・デ・エクスプロシオン!」


 ローズレーザーとブラックチャームはそれぞれパートナーのパッショネイトレオン、ジェントルピューマと社交ダンスを踊り、ノイジアスに爆発を起こす。しかしノイジアスは微動だにしない。


鋭刃(えいじん)の舞!」

「ダンス・ド・セレナーデ!」


 続いてチェリーエッジとグレイスロードとそのパートナーのエレガントイーグルがそれぞれダンスを踊り刃と氷の槍を浴びせる。


「効かぬわ!」


 しかしまたしてもノイジアスは全ての攻撃を振り払ってしまう。


「ベリースラッシャー!」

「スラッシュ・デ・カーニバル!」


 続いてベリースパークラーとフェスティブレイドとそのパートナーのチアフルゴリラが踊りながら華麗な剣技を見せる。


「ふん!」

「嘘⁉」

「そんな……。」


 しかしノイジアスは簡単に剣を受け止め、薙ぎ払ってしまう。


「今度は私の番です!」


 レッドライテストはそう言って単身ノイジアスに飛び掛かる。


「ワイルドステップ!」


 レッドライテストはそう言って軽快なチャールストンのステップをノイジアスに喰らわせる。しかしノイジアスはそれでも微動だにしなかった。


「ぬるい攻撃ばかりだな。これでも喰らえ!」

「「「「「「「うわぁぁぁぁぁ!」」」」」」」


 ノイジアスは呆れるようにそう言うと巨大な突風を起こし、戦士達を吹き飛ばすのだった。



「みんな、しっかりするんだ。」


 一方その頃、ダークサイレンスの元幹部であるブラクスは騒音に苦しむ四年前のルビーの戦士の桃井(ももい)剣二(けんじ)達を横たわらせていた。


「ノイジアス様との最終決戦中か。」


 ブラクスはオフィスの窓からノイジアスと戦う戦士達を見守っていた。


「ブラクス、もう少しで消えちゃうね。」

「あ?……ああ、そうだな。」


 ブラクスの隣に四年前のオパールの戦士である双見(ふたみ)アラモードがパフェを食べながら並び立つ。アラモードは再びオパールの戦士の資格を手にしていたため、騒音が効かなかった。


「あいつらが勝てばノイジアス様が消え、俺も消える。あいつらが負ければノイジアス様はこの世界を侵攻するために俺を取り込む。どっちにしろ俺の命はあと僅かだ。」

「……そう。」


 ブラクスはこの最終決戦でどちらが勝っても自身が消えることを察していた。アラモードは特に表情を変えることなく相槌を打つ。


「ブラクス、あんたはどっちに勝ってほしいと思ってるの?」


 アラモードはふとブラクスに尋ねる。


「別にどっちでも良いよ。俺はただ、死ぬまで生きるだけだ。」

「そう、私の一番好きな答えだね。」


 アラモードはブラクスの答えに微笑む。ブラクスは自身が消えた後の命運を特に考えていなかった。アラモードはその綺麗事で並べない回答を気に入っていた。


「よし、ちょっと待ってて。」

「おい、どこ行くんだよ。」


 アラモードは何か思いついたようにその場を離れる。ブラクスはアラモードの行動に少し戸惑うが、アラモードはオフィスの冷蔵庫を開いてパフェを取り出していた。


「はい、パフェ。」

「これ、お前の食べる奴だろ。良いのか?」


 アラモードはブラクスにパフェを渡す。しかしブラクスはアラモードが自身の大事なパフェを渡してきたことに驚いていた。


「最後の晩餐は、パフェに限るよ。死ぬまで生きるって言ったのはあんたじゃん。」

「……そうか、ありがとうよ。」


 ブラクスはアラモードの気持ちを嬉しく感じ、パフェを食べるのだった。



 一方その頃、戦士達はノイジアスに吹き飛ばされ地面に這いつくばっていた。


「諦めろ。この俺を倒すことなどできない。お前達の負けだ。」


 戦士達を見下ろしながらノイジアスは煽る。


「くっっ……。」


 ローズレーザーは悔しさを噛み締めるように地面の砂を握り締める。他の皆も動けずにいる中、ブラックチャームが立ち上がる。


「何を言っているのかしら?誰があなたに勝てないって?」

「真理紗?」


 ブラックチャームはノイジアスを煽り返すように言う。ローズレーザーはブラックチャームの突然の言葉に少し戸惑う。


「一度や二度の攻撃が通じないだけで私達が諦める訳ないじゃない。」

「ふん、まだそんな強がりを言えるのか。」


 ブラックチャームの言葉にノイジアスは苛立つ。


「ダークサイレンスは人間の悪意から生まれたのだろう。お前達人間の悪意が俺をここまで強くした。所詮人間は悪意に勝てない。」

「わかっていないわね。人間には悪意だけじゃないのよ。」


 ノイジアスは人間が悪意に勝てないと罵るが、ブラックチャームは人間が悪意だけを持っていないと返す。それは以前までのブラックチャームでは決して言うことのない言葉だった。


「人間には善意や悪意とは違う優しさや純粋な心を持っている。人間の感情は善意や悪意なんて言葉で片付けられるものじゃないのよ。」

「真理紗……。」

「……って、ここにいるローズレーザーが言っていたわ。」

「え?」


 ブラックチャームはノイジアスに人間の感情について説く。それはローズレーザーがブラックチャームに話したことそのものだった。感動するローズレーザーだったが、ブラックチャームは本当にローズレーザーが言っていたと話す。


「悪意だなんて人間のほんの一面しか見ないあなたに、私達が負けるわけないってことよ。」


 そしてブラックチャームが啖呵を切り、他の戦士達も次々に立ち上がる。


「そうだね真理紗、ここで倒れこむわけには行かないね。」

「私達はノイジアスを倒すために一つになったんです。」

「ここまで散々ぶつかってきてね。」

「はい、振り回されたりもしました。」

「このままわかり合えないかと思いましたわ。」

「本当、どうなるかと思ったよ。」


 皆もそれぞれの思いを語り、並んでノイジアスの前に立つ。


「私達はそれぞれの思いをぶつけ合った、そして今並んで立っている。そんな私達に圧倒した気でいるなら侮り過ぎじゃないかしら?」

「ふん、口ならどうとでも言えるわ!まだ自分達の愚かさに気づかぬようなら今ここで絶望の淵に叩き込んでくれる!」


 そしてブラックチャームが最後にノイジアスを煽る。ノイアジスもその態度に怒りを覚えたのか、強い口調で煽り返すのだった。



 一方、二人で仲良くパフェを食べていたアラモードとブラクス。


「ねえブラクス。」

「何だ?」


 ふとアラモードはブラクスに尋ねる。


「どっちが勝っても良いならさ、私は勝って欲しい方を応援していい?」

「別に構わねぇよ。」


 アラモードはブラクスに勝って欲しい方に手を貸していいか尋ねる。ブラクスにとってはわざわざ確認するようなことではなかったが、取り敢えず承諾する。


「よし、じゃあやるね。」


 アラモードはそう言うとオフィスの窓を思い切り開ける。


「おい、何する気だよ?」

「最後の最後に、私も役に立たなくちゃね。」


 アラモードの突然の行動に驚くブラクスだったが、アラモードは何やら戦いの手助けをするように言い自身の嵌めていたオパールの指輪を外す。


「せーのっ!」


 そしてアラモードはオパールの指輪を勢いよく投げる。


「お前、指輪を外したら騒音が響くぞ!」

「わかってるよ。でももうちょっとで決着がつきそうな気がするし、ちょっとだけ辛抱しないと。」


 アラモードは最後に自身の指輪を戦士達に渡すことで全ての指輪の力を結集させようとしていた。そしてアラモードは騒音が響いたようで、耳を塞ぎながら倒れこむ。


「お前、大丈夫か⁉」


 ブラクスは慌てて窓を閉め、アラモーを介抱する。


「へーきへーき、大丈夫だから。」


 アラモードは強がりを言いながら、必死に騒音に耐えるのだった。



「さあみんな、反撃開始だよ!」


 ローズレーザーが皆にそう言い、全員がノイジアスに立ち向かう態勢を整えていた時、ローズレーザーの手元のオパールの指輪が降りてくる。


「え、オパールの指輪?」

「もしかして、アラモードさんが?」


 ローズレーザーは突然のオパールの指輪に驚くが、レッドライテストはアラモードが授けたと察する。更にオパールの指輪はローズレーザーに呼応するように光り輝く。


「あれ、これって……。」

「どうやらあなたはオパールの指輪の資格も得たようね。」

「嘘⁉」

「依乃里さんが?」


 ブラックチャームはローズレーザーがオパールの指輪の資格も得たと察する。それにはチェリーエッジとベリースパークラーも驚いてしまう。しかしそんな驚きも束の間、今度は一輪のマリーゴールドの花がローズレーザーの前に現れる。


「マリーゴールド……?」


 ローズレーザーが恐る恐るマリーゴールドの花を手に取ると、マリーゴールドの花は黄金に輝くフラヴァイスへと姿を変える。


「あら、新しいフラヴァイスですわ。」

「正に最終決戦って感じだね。」

「さあ桜間依乃里、このフラヴァイスに全ての力を込めなさい。」

「うん、わかった。」


 グレイスロードとフェスティブレイドはそのフラヴァイスに希望を見出していた。そしてブラックチャームはローズレーザーにフラヴァイスを手に取るよう言う。ローズレーザーはオパールの指輪を右手の中指に嵌め、フラヴァイスを手に取り開く。


「マリーゴールド!オパール!フラメンコ!」


 ローズレーザーはフラヴァイスに勢いよく叫び、そしてフラヴァイスから音声が流れる。


「Let's Dance!」

「踊るよ!」


 ローズレーザーはフラヴァイスから流れる音楽に乗せてフラメンコを踊る。ローズレーザーのドレスは黄金に輝き、煌びやかな姿に変わる。


「ローズレーザー・ゴールデンダンサー!」


 黄金に輝くローズレーザーはゴールデンダンサーと名乗る。


「みんな、全ての指輪を掲げなさい。」


 ブラックチャームの言葉で、七人の戦士と四人の獣人は指輪を嵌めた手を挙げる。すると光のラインが広がり、ノイジアスを取り囲む。


「はぁぁ!」


 七人の戦士と四人の獣人はノイジアスを取り囲むように光のラインの上に立つ。


「ふん、今度は何をする気だ?」

「見てわからないかしら?私達は戦士でもありダンサーでもある。ならやることは一つよね?」

「情熱的に!」

「妖艶に!」

「美麗で!」

「軽快な!」

「魅惑の!」

「優雅で!」

「陽気な!」

「「「「「「「ダンスをお見舞いしてやる!」」」」」」」


 皆はノイジアスに力強く言葉を放ち、それぞれのダンスを踊る。


「「「「「「「ダンサブル・レゾネーション!」」」」」」」


 皆がその必殺技の名を叫ぶと、皆の踊る音楽が共鳴し、ノイジアスに響き渡る。


「な、何だこれは……!俺は、音楽が一番嫌いなんだよ!」

「だからこのメロディーを響かせてあげてるじゃん。」

「その音楽を嫌う意思も人間の悪意によって作られたもの、所詮あなたは人間の純粋な思いに朽ち果てる運命なのよ。」


 ノイジアスは遂に戦士達の攻撃に苦しむ。そしてノイジアスの体からは光の粒子が漏れ出していた。


「これは……、俺の体が消えていく……!」


 ノイジアスは自身の体が消えゆく光景に、初めて絶望を覚えていた。



 ブラクスは、ノイジアスが消えていく様を遠くから眺めていた。


「ノイジアス様、あなたは自分だけが幸せになることだけを考えていた。そんなあなたには誰もついて行きません。でも、それもまた人間の悪意による産物なのですね……。」


 ブラクスはノイジアスへの哀れみを含んだ呟きをしていた。そしてノイジアスの体は完全に光となって消えてしまう。


「ノイジアスが、消えた……。」

「全てが、終わったのね……。」


 皆はノイジアスが消えたことを確認すると元の姿に戻り、力が抜けたように地上に落ちる。そしてノイジアスによって黒く染まっていた空は明るさを取り戻し、青空へと変わっていくのだった。



「ノイジアス様が消えたか……。」


 一方、ブラクスはずっとノイジアスが消えていくのを見守っていた。騒音が消え、ブラクスを今まで匿っていた四年前のルビーの戦士桃井(ももい)剣二(けんじ)、サファイアの戦士浦賀(うらが)輝弓(きゆみ)、シトリンの戦士金山(かなやま)依斧(いおの)、そして双見アラモードがブラクスに歩み寄る。


「お別れだな、お前ら。」

「本当に消えるのか、ブラクス。」

「寂しくなるな。」

「お前と会えたことを忘れない。」

「最後にパフェを食べられて良かったね。」


 皆は互いに思い思いの言葉を述べる。


「ああ。人間の未来に、また俺達みたいのが現れないことを祈るぜ。」


 ブラクスは最後にそう言い残し、光となって消える。ブラクスが消えていくのを静かに見守る。


「でもまあ、これでまた世界は平和になったんだろ?剣二。」

「ああ、しかしまた新たな悪の組織がいつ現れるかわからない。」

「そしてその度に、悪の組織としての運命に苦しむ幹部も出てくるのか。」

「その時はやりたいようにやらせておけばいいじゃん。どうせ悪い奴なら倒すだけなんだしさ。」


 ブラクスを見送った四人は、世界が平和になったという安堵とまた新たな脅威への警戒を覚えていた。しかしアラモードだけは相変わらずの勧善懲悪の考えだった。


「そうだな。ところでアラモード。」

「はい?」


 剣二もアラモードの考えに賛同する。そして剣二はふとアラモードに話しかける。


「次に指輪に選ばれた時は戦えよ。」

「えぇ~、めんどくさいです~。」

「やれよ、今回どれだけ迷惑掛けたと思っているんだ。」


 剣二は今回の戦いでアラモードが再びオパールの戦士の資格を得ながらも全く戦わなかったことを咎めていた。しかしアラモードは戦いを面倒に感じるのだった。



 一方、平和になった青空の下で桜間(さくらま)依乃里(いのり)蓮葉(はすば)雨幸(あまゆき)新原(しんばら)桐菜(きりな)赤園(あかぞの)風布花(ふうか)黒崎(くろさき)真理紗(まりさ)上部(うわべ)芽里音(めりね)祭田(さいだ)美李宇(みりう)の七人は佇んでいた。


「みんな、ご苦労だったわね。」


 真理紗は戦いを終えた皆を労う。そして十二個の指輪は光の粒子となって空に昇る。


「あれ、指輪が……?」

「四年前と同じです。四年前もこうして指輪が消滅したんです。」

「どうやら、再び指輪が役目を終えたようね。世界が平和になった証拠よ。」


 依乃里は指輪が消えることに戸惑うが、風布花は四年前にも同じ光景を見ていた。そして真理紗はまた世界が守られ、指輪の宝石が役目を終えたことを明かす。


「そっか。本当に私達、世界を守ったんだね。」


 依乃里は自分達の手で世界を守ったという感銘に浸っていた。しかし依乃里は、ふととある事実に気がつく。


「あれ、そういえばレオン達って指輪と一緒に消えるんじゃないの⁉」

「そうでした!レオン達は指輪から生まれたモンスターでした!」

「そうだよ、ヤバいじゃん!」


 依乃里、そして雨幸と桐菜も慌てたのは指輪から生まれたモンスターであるパッショネイトレオンらが指輪と共に消滅するのではないかということであった。しかし天から四つの光が降り注ぎ、それぞれパッショネイトレオン、ジェントルピューマ、エレガントイーグル、チアフルゴリラを包む。


「何?何が起きたの?」


 戸惑う依乃里だったが、光に包まれたジェントルピューマ、エレガントイーグル、チアフルゴリラの三体は完全なる人間の姿になる。


「人間の姿になった!」

「戦う時の獣人の姿ではありません!」

「なるほど、これが戦士へのご褒美というわけね。」


 依乃里と風布花はモンスターが人間の姿になったことに酷く驚いてしまうが、真理紗は状況を理解してしまう。どうやら役目を終えたモンスターは人間として生きることができるようだ。


「真理紗、これからは人間としてダンスを踊ることができるな。」

「ピューマ、期待しているわ。」


 真理紗のパートナー、ジェントルピューマは燕尾服を着た背の高い男性になっていた。ジェントルピューマは人間として真理紗と社交ダンスを踊ることを嬉しく感じ、真理紗もまた喜びを感じていた。

「芽里音お嬢様、これからは人間としてお嬢様をエスコート致します。」

「イーグル、これからはパートナー兼執事ですわね。」


 芽里音のパートナー、エレガントイーグルは白髪の爽やかな男性の姿になっていた。芽里音はエレガントイーグルを執事として共にいられることを嬉しく感じる。


「美李宇!これからは人間として一緒にパーティー出来るな!」

「ゴリちゃん!私好みのマッチョじゃん!」


 美李宇のパートナー、チアフルゴリラは屈強な男性の姿になっていた。二人は陽気に意気投合して共に社交ダンスを踊ることを嬉しく感じる。


「真理紗。」

「ピューマ。」

「芽里音お嬢様。」

「イーグル。」

「美李宇!」

「ゴリちゃん!」


 三組はそれぞれ熱いキスを交わす。


「うわぁ……!」

「皆さ~ん、街中ですよ~。」


 雨幸は目を丸くしながら思わず風布花の目を塞ぎ、桐菜は優しく指摘する。


「ということは、レオンも⁉」


 依乃里は三体のモンスターが人間になったのを見て自身のパートナーであるパッショネイトレオンも人間になったと期待に胸を膨らませる。しかし周りを見渡してみてもそれらしい姿は見当たらなかった。


「あれ?レオ~ン!」

「ここだよ、依乃里!」

「ん?」


 依乃里がパッショネイトレオンを呼びかけると、依乃里を呼ぶ少年の声が聞こえる。依乃里が疑問に思いながらその声がする方を見下ろすと、そこには燕尾服を着た十歳程の少年の姿があった。


「「「「……あれ?」」」」


 依乃里、雨幸、桐菜、風布花の四人はその少年の姿に困惑する。


「……もしかして、レオン?」

「そうだよ依乃里!これからは人間として……。」

「いや、まだその段階じゃない。」


 その少年こそパッショネイトレオンが人間になった姿だった。パッショネイトレオンも他のモンスター達と同じように人間になったことを喜ぶが、依乃里は未だ受け入れられずにいた。


「まさかレオンがこんなに幼かったなんて……。」

「私より幼いですね……。」

「レオンが豊満な胸好きだったことも意味合い変わってくるよこれ。」


 雨幸、風布花、桐菜もパッショネイトレオンが少年であることに唖然とすると同時に、今までのパッショネイトレオンの行動にも合点がいっていた。


「依乃里さん、どうするんですか?」

「そうだよいのりっち、こんな小さい子と二人暮らし?」

「そうだよね、どうしよう……?」


 雨幸と桐菜は依乃里にパッショネイトレオンとどうするのか尋ねる。いきなり二人で暮らすには関係性を説明できないような年齢差があった。しかし人間の少年となったパッショネイトレオンを一人で生活させる訳にも行かなかった。


「しょうがないわね。ここは芽里音の家で預かってもらいましょう。」

「承知致しましたわ、真理紗。」


 真理紗は芽里音の家でパッショネイトレオンを預かることを提案する。芽里音もパッショネイトレオンを預かることを承諾する。


「レオン、心苦しいけど前みたいに一緒に住むことはできないの。だから芽里音のところにお世話になって。」

「そんな、依乃里……。」


 依乃里はパッショネイトレオンに優しく言い聞かせる。しかしパッショネイトレオンは寂しそうな目を浮かべていた。


「依乃里は僕のこと、嫌いになったの?」

「レオン……。」


 依乃里は寂し気なレオンをたまらない程に愛おしく感じていた。


「そんなことないよレオン!愛してる!」


 依乃里は思わずパッショネイトレオンを抱きしめる。


「本当?依乃里。」


 パッショネイトレオンは依乃里の熱い抱擁が嬉しかった。


「僕も大好き♡」


 パッショネイトレオンは依乃里にキスをする。突然のキスに依乃里は困惑し、それを見ていた他の皆も赤面してしまう。


「依乃里さん、こんな小さい子と……。」

「一線越えちゃったね、いのりっち……。」


 雨幸と桐菜の冷ややかな声に依乃里は慌ててしまう。


「違うって!レオンとはちゃんと段階を踏むから!」


 依乃里は必死に弁解するが、パッショネイトレオンは気分が高揚していた。


「ま、これもまた戦士の使命を終えた新たな人生ね。」


 真理紗は総括したように呟くと皆に背を向ける。


「真理紗、どこに行くの?」

「帰るわ、自分の居場所にね。」


 真理紗は帰ると言う。その真理紗の言葉に依乃里は戦いが終わった実感を覚えていた。そして真理紗は振り向き、依乃里らの名前を呼ぶ。


「依乃里。」

「わ、初めて下の名前だけ。」

「雨幸。」

「あ、はい。」

「桐菜。」

「私も?」

「風布花。」

「はい……。」


 依乃里ら四人は突然名前を、しかも下の名前だけを呼び捨てされたことに困惑する。しかし真理紗は改まった様子で微笑みを浮かべる。


「色々あったけど、一緒に戦ってくれてありがとうね。」

「真理紗……。」


 真理紗は最後に依乃里ら四人に感謝を述べる。依乃里らはその姿に感銘を受け、解散するのだった。



 それからのこと。真理紗、芽里音、美李宇の三人はそれぞれ自分の居場所へと戻っていった。


「た、ただいま~……。」


 祭田美李宇は二年間連絡を入れなかった両親の元に戻る。すると美李宇の両親が目を丸くして見ていた。


「……美李宇?」

「本当に美李宇なのか?」

「あ、うん。」


 美李宇の両親は酷く驚くあまり本当に美李宇なのか確認してしまう。


「もう!今までずっと心配掛けて!」

「二年間もどこに行っていたんだ!」


 美李宇は両親から酷く叱られてしまう。


「ごめん、今まで心配掛けて。でも、これからまた真剣に社交ダンスをしようと思うんだ。今度はちゃんと大会を見据えて。いいでしょ?」

「ええ……。」


 美李宇は謝りつつ、また社交ダンスをする意志を伝える。美李宇の母親は今までにない娘の真剣な態度に驚く。


「美李宇、本当にお前がまた社交ダンスをやりたいというのなら好きなだけやりなさい。お前は実力者なんだ、今度は世界も狙えるさ。」


 一方で美李宇の父親は社交ダンスを再び始めることに肯定的だった。


「ありがとうパパ、頑張るよ。」


 美李宇は父親に感謝し、社交ダンスをする意志を固める。


「ということで、私の新しいパートナー兼彼氏を紹介しまーす!」

「俺が美李宇の新しいパートナー兼彼氏の猿山だ!気軽にゴリラとでもゴリちゃんとでも呼んでくれ!」

「「……は?」」


 美李宇は意気揚々とチアフルゴリラを両親に紹介する。チアフルゴリラが名乗った猿山という名前は美李宇が考えたものだった。しかし美李宇の両親は唖然としてしまう。


「それじゃあゴリちゃんも厄介になるから宜しくね。」

「え、住むの?」

「はい、お世話になるぜ!」

「「ははははは……。」」


 そしてチアフルゴリラも共に住むことを知り、美李宇の両親は苦笑してしまうのだった。



 時を同じくして、上部芽里音も自身の住んでいた豪邸に帰っていた。


「ただいまですわ、じいや。」

「その声は、芽里音お嬢様⁉」


 芽里音に仕えていた執事の男性は久しぶりに見る芽里音の姿に驚き涙を浮かべる。


「お嬢様、よくご無事で。」

「今まで心配をおかけしましたわ、お父様にもお母様にも。」

「はい、旦那様も奥様もお嬢様を思わなかった日など一度もございませんでした。お二方ともさぞお喜びになられることでしょう。」


 芽里音は執事に今まで心配させたことを謝る。今まで芽里音の両親も酷く心配していたようだ。


「じいや、これから私はまた競技ダンスの大会を目指しますわ。」

「ええ、お嬢様ならまた輝かしい功績を残されるでしょう。」


 そして芽里音は美李宇と同じくまた競技ダンスをする旨を伝え、執事もまた喜ぶ。


「それでは新しいダンスのパートナーをご紹介致しますわ。」


 芽里音がそう言うと人間の姿になったエレガントイーグルを呼ぶ。


「これから芽里音お嬢様に新しく仕えます執事兼パートナーの鷲尾と申します。」

「そうですか。頼りにしています。」


 エレガントイーグルは芽里音が考えた名前である鷲尾を名乗り、執事兼ダンスのパートナーとして働くと言う。執事の男性もエレガントイーグルに頼もしさを感じるが、一つ気になることがあった。


「ところでお嬢様、そちらの少年は?」

「レオンです!これからシツジミナライっていうのでお世話になります!」


 執事が気になったのは少年の姿になったパッショネイトレオンだった。依乃里と住むことができなくなったパッショネイトレオンは芽里音の家で執事見習いという形でお世話になることとなったのだ。


「これからはこの少年もここに住みますわ。」

「この子は私が躾けますのでご安心下さい。」

「ははは、屋敷が賑やかになりそうですね……。」


 改めて芽里音はパッショネイトレオンも住むことを明かす。エレガントイーグルがパッショネイトレオンを躾けると言うが、執事の男性は苦笑いしてしまうのだった。

 こうして美李宇、芽里音、真理紗の三人は長きに渡る失踪を終え、元の生活に戻るのだった。



 それから数ヶ月後、赤園風布花は四年前のダイヤモンドの戦士である桜名(さくらな)美姫(みき)に呼ばれ、嘗ての基地であった洋館を訪れていた。


「美姫さん?」


 風布花が静かな雰囲気に戸惑いながらドアを開くと、四年前に共に戦った仲間達が並び一斉にクラッカーを引く。


「風布花ちゃん!」

「「「「「「お疲れ様〜!」」」」」」

「わっ、皆さん?」


 風布花は突然のクラッカーに驚いてしまう。


「ごめんね風布花ちゃん、戦いが終わったらみんなで風布花ちゃんのお疲れ様会をやろうって言ってたんだけど中々予定が合わなくて間が空いちゃったんだ。」

「そんな、わざわざ開催してくれるだけでも嬉しいのに。」


 美姫は以前から風布花が戦いを終えた時にパーティを開催しようと考えていたが、皆の予定が合わず数ヶ月も先延ばしになっていたようだ。しかし風布花にとっては皆が自身のためにパーティを催してくれることが嬉しかった。


「風布花ちゃんは私達の中で唯一、新しい力で戦ってくれたのです。その功績はこうして讃えなくてはなりません。」

「竹月さん……。」


 四年前のガーネットの戦士三浦(みうら)竹月(たかつき)は風布花の戦いを讃えて然るべきと言う。その言葉に風布花は感動する。


「そうそう、せっかく新しい力に選ばれたのに戦士にならなかった奴もいるんだから。」

「林檎さん……。」


 四年前のアメジストの戦士鈴木(すずき)林檎(りんご)は遠回しにアラモードを(けな)しながら風布花を褒める。


「そんな林檎、照れるよ〜。」

「褒めてないから!」


 アラモードは褒め言葉と受け取ったようで、林檎は褒めてないと強く言う。


「でも、最後にオパールの指輪をくれたのはアラモードさんですよね?助かりました。」

「あ、そう?それなら良かったよ。」


 しかし、風布花はアラモードが最後の戦いでオパールの指輪を託したことを知っていた。


「全く、今まで戦わなかったと思ったら最後に指輪を託すなどあなたもやってくれますね。」

「本当、カッコつけちゃってさ。」


 四年前のペリドットの戦士リーナ・ジーニアスとラピスラズリの戦士(みのり)・ファンタジアはアラモ-ドに皮肉を言う。それには少し自身が戦えなかった悔しさもあるようだった。


「まあ、細かいことはどうでもいいじゃん。結果として世界は守られたんだからさ。とにかく今日は風布花ちゃんを祝って乾杯しようよ。」


 そんな二人に後ろから肩に手を掛け、四年前のアクアマリンの戦士水原(みずはら)夜衣魚(よしみ)が語りかける。


「そうだね、そろそろ乾杯しようか。」


 美姫もそれに同意し、グラスにジュースを注いで風布花に渡す。


「それでは、風布花ちゃんが戦いを終えたことを祝して!」

「「「「「「「「「「「かんぱ~い!」」」」」」」」」」」


 そして美姫は乾杯の音頭を取り、皆でパーティを始めるのだった。



 一方その頃、雨幸と桐菜は二人で桐菜の家にて日本舞踊の稽古をしていた。


「雨幸さん、また足元がふらついていますよ。」

「は、はい!先生!」


 雨幸は桐菜の母親から熱心な指導を受けていた。しかし疲れてしまい膝をついてしまう。


「雨幸さん、この程度で音を上げるようではいけませんよ。」


 桐菜の母親は雨幸に厳しくあたる。


「ちょっとママ、いくら何でもゆっきーに厳しくない?ゆっきーは私と違って小さい頃からやっていたわけじゃないんだから。」

「いいえ、雨幸さんは桐菜さんとお付き合いされているのですからこの程度はこなしてくれないと困ります。それに雨幸さんはベリーダンスをやっておられるとのこと、舞踊の才能は少なからずあるはずです。」


 桐菜の母親は雨幸が桐菜と付き合っているということから雨幸にも日本舞踊を身に着けてもらおうとしていた。桐菜はあまり雨幸に無理をさせたくなかったが、母親は雨幸がベリーダンスをやっていることから稽古について来られると考えていた。


「大丈夫です桐菜ちゃん、これも桐菜ちゃんのためですから。」

「ゆっきー……。」


 雨幸は桐菜のために稽古に前向きになっていた。その姿勢に桐菜は胸打たれる。


「ゆっきー……♡」

「桐菜ちゃん……♡」


 そして二人は唇を近づけあう。


「オホン!お二方とも、今は稽古中ですよ。」

「す、すみません先生!」

「ごめんママ。」


 しかし二人がキスをしようとした瞬間、桐菜の母親が咳払いをして我に返させる。


「それじゃゆっきー、もうちょっと頑張ろうか。」

「はい、桐菜ちゃん。」


 そして二人は手を取り合い、また稽古に励むのだった。



 それからまた数日が経ち、依乃里はパッショネイトレオンと共に社交ダンス教室にて社交ダンスの練習に励んでいた。今は真理紗も教室に戻り、皆で賑やかに社交ダンスを楽しんでいたはずだったが……。


「もうギブゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


 依乃里はそう叫びながら膝をついてしまう。


「全く、情けないわよ依乃里。」

「だって真理紗の指導がスパルタ過ぎるんだもん。」


 真理紗は元々依乃里を指導していた講師よりも厳しく、依乃里にとってはかなりの苦行だった。


「でも、桜間さんもいい筋していますよ。真理紗の指導にここまでついて来られているんですから。」

「ありがとうございます、先生……。」


 社交ダンス教室の講師は真理紗の指導について来られている依乃里を褒める。真理紗は失踪する前、かなりのスパルタ講師として有名だったようだ。


「いいえ、この程度では満足しないわ。これでは全国大会など夢のまた夢よ。」

「全国大会⁉」


 依乃里は真理紗の言った全国大会という言葉に驚愕してしまう。


「あら、私とダンスで繋がりたいと言ったのはあなたよ。そのくらいは目指してもらわないと困るわ。」

「えぇ~~~!」


 しかし真理紗は依乃里が真理紗と戦いを終えてからもダンスで繋がるという言葉を受け取った結果、依乃里を自身と同じくらいのダンサーになってほしいと考えていたようだった。


「それにしても……。」


 ふと社交ダンス教室の講師は依乃里とずっとダンスの練習をしていたパッショネイトレオンに目を配る。


「桜間さんのパートナーがまさかこんな小さい子だったなんて驚きですよ。」

「あ……、ははは……。」


 講師の女性は依乃里がずっと隠していたパートナーが少年だったと思い驚いていた。少年の姿となったパッショネイトレオンだったが、パートナーのモンスターだった頃からのダンスの腕前は衰えておらず依乃里をしっかりリードしていた。


「それにこんな小さいのにダンスもしっかりしていて凄いですね。」

「当然よ。レオンは既に世界レベルの腕前を持っているわ。あとは依乃里がついて来られるようになれば大会も夢ではないわね。」


 真理紗はパッショネイトレオンが世界も目指せる程の腕前を持っていると明かしていた。それにはパッショネイトレオンも鼻高々にする。


「僕が依乃里と一緒に社交ダンスで天下を取るよ。なんてったって僕は依乃里の恋b……。」

「わー!わー!」


 パッショネイトレオンは社交ダンスの意気込みを話す。しかし自身が依乃里の恋人だと明かそうとしたところで依乃里が慌てて口を塞ぐ。


「桜間さん、今その子何て言ったんですか?確かコイ何とかって……。」

「何も言ってません!」


 講師の女性はパッショネイトレオンが言った言葉を気に掛けるが、依乃里は頑としてはぐらかす。


「全く、三十路も近いっていうのに落着きがないわよ依乃里。」

「しょうがないじゃん!」

 真理紗は慌てふためく依乃里に呆れる。慌てふためく依乃里とは対照的に、真理紗は見事な社交ダンスをジェントルピューマと踊っていた。


「そういえば真理紗の新しいパートナーも凄いよね。」

「ええそうね。ピューマ……、もとい猫峰(ねこみね)は私のダンスの魅力を最大限まで引き出してくれる最高のパートナー兼恋人よ。」

「俺と真理紗なら世界も目指せる、そういうことだ。」


 講師の女性はジェントルピューマのダンスの腕前も高く評価する。そして真理紗もジェントルピューマを最高のパートナー兼恋人と評価する。


「桜間さんも真理紗も、良いパートナーに巡り会えたってことね。」

「ま、そういうことよ。」

「はは、お陰様で……。」


 講師の女性は依乃里も真理紗も良いパートナーに会えたとどこか嬉しい様子を見せる。真理紗は凛とした表情で答えるが、依乃里は苦笑いしながら答えていた。


「いのりっち、頑張ってる?」

「差し入れを持って来ました。」


 そして社交ダンス教室に雨幸、桐菜、風布花、芽里音、美李宇、エレガントイーグル、チアフルゴリラの七人が訪れる。皆は依乃里の様子を見に来たようだ。


「どうですか依乃里さん、真理紗さんのスパルタ指導は。」

「聞いてよ風布花ちゃん、真理紗ったらずっと厳しいんだよ~!」


 風布花は依乃里に真理紗の指導の具合を聞くが、依乃里は真理紗の厳しさに対して愚痴をこぼす。


「あら、真理紗のストイックさを考えたらこれくらい普通ですわよ。」

「まだまだ優しい方だよ~。」


 しかし芽里音と美李宇は真理紗のスパルタ指導がまだ優しい方だと諭す。


「レオンもダンスの腕前だけは評価に値しますね。」

「ゲッ……!」

「ん、どういうことだよイーグル?」


 エレガントイーグルはパッショネイトレオンのダンスの腕を褒めるが、どこか皮肉を言っているようだった。パッショネイトレオンは顔が引き攣り、チアフルゴリラは状況を飲み込めず尋ねる。


「レオンに執事見習いとしての指導を行っていますが、中々苦戦しているようで。」

「だってイーグル、厳しいんだもん。」

「ほぉ~。」


 パッショネイトレオンも依乃里と同様、エレガントイーグルによる厳しい指導を受けて参っていたようだった。ジェントルピューマは納得した様子でパッショネイトレオンを見る。


「全く、これでは依乃里を上手くリードできないんじゃないか?」

「うるさいよピューマ、ダンスだけは上手くできるんだし。」


 ジェントルピューマはパッショネイトレオンに皮肉を言い、パッショネイトレオンは不貞腐れるように答える。


「ペットは飼い主に似るとはよく言ったものね。」

「ペットじゃないもん!僕は依乃里の恋b……。」

「わー!わー!」


 真理紗がパッショネイトレオンが依乃里に似ていることを揶揄し、パッショネイトレオンは反発するようにまた恋人だと言おうとするが依乃里がまた慌ててパッショネイトレオンの口を塞ぐ。


「ていうか真理紗、私とレオンは伸びしろがあるってことなんだから。」

「そう、だったらさっさと立ち上がりなさい。」


 依乃里は真理紗に、伸びしろがあると言い訳をする。それを聞いた真理紗は冷たい口調で答えるが依乃里に手を差し出す。依乃里は漸く立ち上がり、再び社交ダンスの練習を始める。


「さあ、休憩が長かった罰よ。更に厳しいレッスンをしてあげるわ。」

「うわー……。」


 真理紗は依乃里に、更に厳しい練習を課そうとする。思わず顔が引き攣ってしまう依乃里だったが、どこか楽しそうな二人は笑みをこぼしながら社交ダンスを楽しむのだった。


 めでたしめでたし。

 最後までこの作品をお読みいただきありがとうございました。作者のロマンス王子です。何かと忙しい日が続き、完結までにかなりの時間をかけてしまい誠に申し訳ございませんでした。

 また続編を書こうと思っていますが、公開できるのは一年か二年ほど後になる見込みです。それでもまた作品が公開された時は、またお読みいただければ幸いです。

 それでは皆様、よいお年を。

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