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隊長さんと小さな迷い人  作者: らさ
第4章
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小話「叔父様なんて大嫌い」

 私はリリカ・エイル。

 お家は王都のはずれにあるけど、お父様が商談で地方を回っているし、まだ弟が小さいからお母様と一緒におじいさまのお家にいる。


 おじい様は、この国の宰相をしている。

 国王が代わったから、とても忙しいってお帰りが毎日遅いの。

 お身体が心配だわ。おばあ様も心配している。

 でも、お二人には、ううん、トラウト家には最近とってもいいことがあったの。


 長く長く独身だった叔父様が婚約したの。

 お相手は救国の迷い人って呼ばれてるミオリ。


 ミオリは叔父様が辺境の村で保護したって話。

 よく「一目で恋に落ちた」って話しているけど、わからないでもないわ。

 私から見てもすごく可愛い人なの。

 白っぽい象牙色の肌につやつやした黒髪、そしてクリクリと動く可愛らしい瞳にピンク色の唇と頬。

 こんな子に見つめられたらやばいわよ。


 ミオリはこの国に来て2年くらい。話すのには困らないけど、読み書きが不得手だって聞いた。

 これは、後の宰相夫人としては致命的だわ。

 私はトラウト家にいる間の使命として、ミオリにラインドア国語を教えると決めたの。

 そのことをママに話したら苦笑いしていたけど、ミオリはとても喜んでくれたの。


 でも、でもね。

 勉強をいつも邪魔する人がいるの。それが、叔父様なのよ。

 いつも、いつも私たちが勉強を始めた頃に帰ってきて、私の授業を熱心に聞いているミオリを連れて行ってしまうの。


 改革から2年経ったけど、国はまだ少し落ち着いていないしバタバタしているんだから、きちんと働けって言うのに。

「やることはきちんと終えてきている」って澄ました顔でいうのよ。

 叔父様が帰って来る頃には、皆んな食事を終えているから一人で召し上がるのが寂しいのよね。

 ミオリとお話して、お茶を淹れてもらって喜んでる。子どもかっていうのよ。


「束縛する男は嫌われるわよ」って言ったら、「ミオリはそんなことない」って返すの。

 く・や・し・い!




 今日は叔父様が3日ぶりに帰ってくる日。国王について地方の視察に行ってたのよね。

 暖炉の傍でちょっと難しい本を読んでいるんだけど、叔父様が予定の時間を過ぎてもまだ帰ってこないから、ミオリが少しだけそわそわしている。


 そんな時、

「ミオリ。ただいま」叔父様が帰って来た。

 叔父様は速足でミオリに近づくと、あっという間に抱き上げてキスしている。

「キールさん、お帰りなさい」ってミオリも嬉しそう。


 叔父様がいるとき、ミオリは自分の足で歩いたことがないんじゃないかってくらい抱き上げられている。

「目線を同じにしたい」とか言ってるけど、ミオリに触れていたいのよね。絶対!

 くーっ、束縛しすぎだわ!

 ママに言っても「いいんじゃない。ミオリが嫌がってるわけじゃないし。しょうがないのよ。大好きで仕方ないんだから」って取り合ってくれない。


 私は1人でも戦うわよ。

 ミオリは叔父様だけが独り占めしていいわけないんだから。

 私だってミオリが大好きなんだから!


 息まく私の傍でママが溜め息をついた。







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