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ハチオウジギア  作者: ティーマン
シーズン1 Part1
29/29

29 コールマン・ズ・グロウス②

コールマンの過去。28~31まで続きます。





 夕方になり二人と別れたコールマンは家路へと急いでいた。家から近い林から声が聞こえた。気になり、林の中に静かに入っていく。


「うぐ・・・・・・がぁぁぁぁぁぁ」


 木に手をついて志摩洲が頭を押さえていた。


「志摩洲さん?」


「うるせぇ!! なんだてめぇ!」


 志摩洲が振り返り怒鳴った。コールマンは怯えるように後退りをした。


「ど・・・・・・うしちゃったの?」


 志摩洲の目が血走り、口から泡を吹きながら叫んだ。


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 コールマンは恐怖で駆け足で林を抜け、道に出た。


「キャァァァァァァァァァァァァ」


 志摩洲の異変に恐怖を感じ叫びながら、走っていると散歩中のシズと行き合った。


「どうしたんだい?」


「し・・・・・・志摩洲さんが・・・・・・」


「志摩洲さんがどうしたって」


 その時、背後の林から志摩洲が飛び出して道に着地した。


「志摩洲さん」


 シズが声をかけると志摩洲が振り向いた。志摩洲は右手の親指と人指し指を立て銃の形を作る。シズに指を向けた。


「エアーガァーーン!!」


 叫ぶや銃口を模した人指し指から丸い光弾が発射された。


「え」


 ドォン、シズの額を丸い光弾が貫いた。額に丸い穴が空き、後頭部から血が噴射し、シズは仰向けに地面に倒れた。


「キャァァァァァァァァァァァァ」


 コールマンが地面に膝を着いた。志摩洲がそれを見て笑った。


「エアーガン! エアーガン! あははははははっは!」


 哄笑が響き渡る。周囲の家からも人々が顔を出す。志摩洲は左手でも銃を作る。


「どうした」


「志摩洲さんかい?」


「尾羽さんが倒れてる」


「ジェシーちゃん」


 膝を着くコールマン、倒れて動かないシズ、哄笑する志摩洲の周りに五人、六人と住人が集まってきた。その中にはハルコもいて驚いた表情をしていた。


 志摩洲がそれを見渡し、涎を滴しながら笑うと銃を模した両手を周囲の住人に向けた。


「宇宙人的な視点で人間を見るとお前らはゴミだぁぁぁぁぁ」


 ドドドドドドドド、銃声を響かせながら両手の指から光弾が次々と発射された。


「ギャァァァァァァァァァァァァァ」


 近所の主婦、個目田こめだマメヨの腹と胸を光弾が貫く。


「あばぁ」


 一人暮らしの老女、山川メメは顔面の左側が吹き飛ばされた。


「ギャァァァァァァァァァァァァァ」


「志摩洲さん、あん・・・・・・ぎょえ!?」


 何かを言おうとしたハルコの顎から上が吹き飛んだ。


「うえっ」


「ぎゃっ」


 周囲の住人の身体に次々と光弾が撃ち込まれていく。住人達は血を振り撒きながら吹き飛ばされ生垣やブロック塀にぶつかり、地面に倒れていく。


「い・・・・・・ひぃ」


 雑貨屋の酒井ミカオが倒れて痙攣している。志摩洲が笑みを浮かべて酒井に近づき、見下ろした。頭に指を向ける。


「あひひひひひ」


 銃撃音と共に酒井の頭が砕け散った。


 コールマンは膝を着きながらなす術もなく呆然としていた。


「ジェシー!」


 騒動を知ったのか診療所からジャックとロリーが駆けつけてきた。我に返ると両親に向かって叫んだ。


「パパ! ママ! 来ちゃダメ!」


 酒井を見つめていた志摩洲がジャックとロリーの方へ顔を向ける。


「志摩洲さん!?」


 ジャックとロリーがコールマンの横まで来た。


「うぐ・・・・・・」


 志摩洲が片手で頭を押さえた。


「・・・・・・私は・・・・・・一体・・・・・・なんで人が死んで・・・・・・コールマン先生・・・・・・ジェシーちゃん・・・・・・」


 志摩洲が振り絞るように言うとまた苦しみだした。両手で頭を抱える。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! エアーガァァーーン!!」


 志摩洲が再び絶叫し、ジャックとロリーに銃を模した両手を向けた。


「ダメェェェェェェェェェ」


 コールマンが大声を出すと同時に志摩洲の指から光弾が次々に発射された。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「キャァァァァァァァァァァァァ」


 ドドドドドドドドドドドド、ジャックとロリーの身体を無数の光弾が貫いていく。身体が穴だらけになり、血が吹き出す。コールマンの顔に二人の血がかかる。二人は糸の切れた人形のように不自然な揺れかたをして、コールマンの目の前に倒れた。


「パパ!? ママ!? あ・・・・・・あ・・・・・・」


 震えながら血を流し、動かなくなった両親を見つめた。ジャックの胸に刺していたボールペンが血溜まりに落ち、足下に転がってきた。コールマンは無意識に血塗れのボールペンを握りしめた。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 コールマンの絶叫が谺した。その時、内部から熱いものが込み上げてきた。ドクン、内部から音がする。身体を光が覆った。


 コールマンは衝動的にボールペンを握りながら立ち上がり、志摩洲に向かって駆けていった。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 コールマンの握るボールペンにも光が移る。そして、ボールペンの先から光が伸びて刀身を形作った。コールマンは光るペンを両手で構え、志摩洲に向けて突進した。


「あはははははははは」


 志摩洲が涎を滴しながら笑みを作り、銃を模した指をこちらに向けた。


「エアーガン! うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 そう叫ぶなり志摩洲が次々と光弾を連射した。


「キャァァァァァァァァァァァァ」


 コールマンに次々と光弾が当たる。光により守られていたので身体が貫かれることはなかった。だが、衝撃によって小さな身体は後方に吹き飛ばされる。


 ドチャッ! という音とともにコールマンはジャックとロリーの亡骸の間に倒れ伏せた。血で身体が真っ赤に染まる。何とか頭を起こすと笑みを浮かべた志摩洲が近づいて来るのが見えた。


 志摩洲が後、数歩の距離に近づいてきた。見下ろしながら銃を模した手で頭に狙いをつける。コールマンは幼心に「死」が迫っていることを悟り、震えが止まらなかった。


「あははははははは」


 志摩洲の笑い声が谺し、指が光る。


 ドォン! 音が響く。


 突如、コールマンと志摩洲の間にソフト帽とトレンチコートを着た男が割って入ってきた。


「遅かったか・・・・・・」


 男は志摩洲の光弾を腕でガードして、コールマンをチラリと見ながら言った。横顔から黒縁眼鏡をかけた中年の男だとわかる。


 コールマンは起き上がって二人の姿を呆然と見つめた。


「志摩洲、お前をこのまま野放しにはできない。死んでもらう」


「!?」


 男の素早い蹴りが志摩洲のこめかみを直撃。横に蹴り飛ばした。


 志摩洲が倒れそうになるのを踏み留まる。銃を模した両手を男に向け、光弾を連射した。


「エアーガンガンガンガン!」


「スローーブ!!」


 同時に男が右手を突き出した。振動で光弾が分散した。


「うひぁ」


 さらに男は左手を突き出す。


「コウアギュラ!!」


 分散した光弾が男の左手に集まり、光の塊が形成された。男はそれを志摩洲に向けて放つ。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 志摩洲に光が直撃し吹き飛ばされ、地面に打ち付けられる。


 男はその場から跳躍。倒れた志摩洲の頭を目掛けて足を振り下ろした。志摩洲がとっさに避けると男の足がコンクリートの地面を砕いた。


「うらぁぁ」


 倒れた状態から志摩洲が腰を浮かすと素早い蹴りを男の背に放つ。


「ぐっ」


 男は素早く向き直り左腕でガード。その隙に志摩洲が蹴りの反動で起き上がる。銃を模した手で男の頭に照準をつけようとした。


 男は瞬時に振り向き、両手首をつけた状態で掌底のように志摩洲の腹に近づけた。


「エアーガ・・・・・・」


「エイゴォォーー!!」


 男が叫ぶ。ゴォォォォォォ、掌底から音を響かせ振動波が発生、志摩洲の腹を直撃した。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 振動波が志摩洲の腹を突き破る。血を吹き出しながら志摩洲が後方に吹き飛ばされ、地面に落ちた。志摩洲は地面に倒れたまま、ピクリとも動かない。男がゆっくりと志摩洲に近づく。


「お前は誰だ・・・・・・わ・・・・・・私は」


「教えてやる。お前はライフウェーブの実験から逃げ出して、この町にやってきた」


「じ・・・・・・実験?・・・・・・」


「超人を薬物で意のままに操る実験だ。成功はしなかったが薬物によって、狂暴性が発現したようだな。私は依頼を受けてお前を殺しにきた」


「そ・・・・・・そうか、だ・・・・・・から私が皆を殺した・・・・・・」


「そうだ」


 男が右拳を握った。すると拳の周辺が陽炎のように揺らぐ。


「スローブ!」


 男は志摩洲の頭をめがけて拳を振り下ろした。拳を受けた頭が血や骨、脳漿を撒き散らして砕け散った。


 男が後ろに振り向く。コールマンは為すすべもなく見つ続けるしかなかった。


「超人に覚醒したのか・・・・・・」


 男が言った。その声で我に返ると周りを見渡した。目の前に血塗れの両親が目に入る。さらに周囲には血を流して倒れたままの近所の住人たちが見えた。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 コールマンの意識が途切れた。





 目を醒ますと知らない天井が見えた。ベッドに寝ているようだ。


「ここは・・・・・・」


「起きたか」


 コールマンはベッドから起き上がり周囲を見渡す。どうやらホテルの一室のようだ。窓際のサイドテーブルの前に先ほどの男が座っている。白髪混じりの髪を真ん中で分け、黒縁眼鏡をかけた男が無表情でこちらを見ていた。


「パパとママは?」


「死んだ」


 コールマンの頭に両親の死の光景が蘇った。その瞬間、目から涙が溢れだす。大声で泣いた。


 自分が志摩洲を助けた為に両親が殺された、取り返しのつかないことをしたことで頭の中がぐしゃぐしゃになった。


 長い時間大声で泣き続けた。その間、男はじっと黙っていたがついに口を開いた。


「泣いても何にもならない。奴はある実験の影響で狂って住人を殺した。だが、もういない」


「・・・・・・」


「娘、お前も私やあの志摩洲と同じように超人に覚醒した」


「超人?」


「そうだ。大きな力を持つ存在になった」


「どうすれば良いの? 私も志摩洲さんみたいになるの? パパとママもいないのに・・・・・・どうしたら・・・・・・」


 男はじっと考えている。ふと黒縁眼鏡の縁を手で動かす。


「身寄りがないのか・・・・・・私と共に来るか?」


「・・・・・・あなたは誰なの?」


「後藤エイショウ、政府の犬だ」



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