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2-1話 愛憎を抱えたお客様〜こちら「特製クリスマスディナー」です




(神様なんてクソ喰らえだ!!!)



バイト先の雑居ビルの店長室の前で愛莉は動こうにも動けずにいた。



中には人が入っている。



まさに今、ド修羅場である!







「いってらっしゃいませ、ご主人様!また来てくださいにゃ〜ん♡」



ご主人(お客様)達に愛莉はお辞儀と猫のジェスチャーでお見送りする。



「あいりい、またね〜!」

「ゆいピも〜!」またね〜と「ご主人様」が声を掛けると

「いってらっしゃいませ〜!」とゆいピがお辞儀の後に手を振る。



都内の雑居ビルに一角を構えるアニマルメイドカフェ「あに♡ラブ」は今日も最後のお客様を送り出した。



今日はクリスマスイブ。



いつもの倍以上にお客様は多く、メイドは昼から夜までフル稼働だ。



「お疲れ様です。あいりいさん今日は忙しかったですねぇ」

とゆいピが声をかけてくる。



彼女は数ヶ月前に入った新人だから今日みたいなイベントには慣れていない。



愛莉もメイドの誕生日会でイベント慣れしてるつもりだったが舐めていた。



「ゆいピもお疲れ様〜。次忙しいのはバレンタインかな。あ、ふゆゆのイベントが先か!」とメイド仲間の誕生日イベント二月頭にある事を思い出す。


「わあ〜、じゃあ私頑張って早くあいりいさんみたいになれるように頑張ります!」とゆいピがガッツポーズを作り宣言する。



「いや、ゆいピはもう頑張ってるじゃん。チェキだって今日すごかったじゃん」



今日はクリスマスイベントで通常の業務とは別にいつもよりも多めのステージをこなした。



ステージはクリスマスイブでお客様にも大好評でそれが終わるとチェキの撮影会がある。



一番長い列が自分の前にできあがる。それを店長が司会で仕切って次へと列を回す。



ゆいピは入って数ヶ月。



控えめだが黒髪のロングヘアが可愛いメイドで数こそ少ないが固定のお客様に根強い支持を受けている。このままいけば、ふゆゆと肩を並ばせるくらい人気が出るんじゃないかというとても頼もしい子だ。



彼女はそうですかね?と首を傾げていたが。



店内には他のメイドが清掃で残ってる。



「じゃ、私看板直してくる」

とゆいピに鍵を貰いに手を出すが「だめですよ!

私が行きます。鍵ありますし、すぐですから」先に上がる準備して下さいと気を遣われる。



「ごめん、ゆいピありがと」と引き下がり、清掃に戻ろうとすると「あ、もうすぐ終わるよ」とふゆゆが戻った自分に声をかける。



助かるけどそうなると本当に仕事がなくなる。



「ごめん、みんなありがとう」とお礼を言うとせめてクリスマスだから何か小さなサプライズをしたくなり差し入れに下の自販機で何か買ってきたくなった。



「じゃあ、私お花を摘みに行ってきます」と言うと

「はいは〜い」とクスクス笑いが起きる。



メイド界のバイト隠語「トイレに行ってきます」という名目で断るとビル勝手口の自販機でみんなの飲み物を買う。



「ふゆゆにはレモンティー、ゆいピはココアでグミはお茶。ここねとあーくんはコーヒー、ゆいピもココアでいいかな」



あーくんは店長で彼氏だ。



もちろん誰にも、メイドのみんなにも言っていないけど同棲もしている。



今日はイヴだ。



帰って二人で祝うつもりでいるから待ちきれない。 



だが仕事上付き合ってる事が周りにバレない様お互い帰る時間をずらしたり少し先に自分が帰って、後からあーくんに帰ってきてもらうと二人で住む時から決めていて今日もそのつもりだ。



お店に戻るとみんなに飲み物を渡す。



「あいりいサンタでーす!」とドリンクを渡すとお、サンキュー!と皆が受け取る。



「ゆいピはー?」と彼女が見渡らないので聞くが「トイレじゃない?ってか会わなかったの?」とふゆゆ。



「だってこれ買ってたんだもん」と返すと、そだった。


ごめんと謝られておいー!っとけらけら笑って返す。



ドリンクが冷めちゃいけない。



あと、あーくんにも渡したい。


「ちょっとゆいピに渡してくる」

そう断り、スタッフ用のトイレや更衣室、トイレがあるバックヤードに繋がるドアに入る。



ついでにあーくんに渡して来よ。とゆいピを探す事にする。



しかし一歩入ったところで違和感に気づく。



手前の店長室だ。



ここではあーくんが今頃レジ締めを業務をした後の売り上げの報告をPCでしているはずだ。



しかしそこから女性の、ゆいピの声が聞こえる。



なにか嫌な予感がする。



シフトの相談?スタッフ面談?



(いや、そんなんじゃない)



息を殺したまま、数パーセントの疑惑を消したい気持ちで店長室の窓を外から見ると二人の影は抱き合って重なったように見えた。



立ってられない。




逃げるように自分は勝手口から飛び出した。



持っていたペットボトルを思いっきり放り出し投げ捨てる。



身体中が熱を持って、でもコート来てない長袖メイド服だから寒い。堪らなく気持ち悪く息が出来なくてどうしようもない。



「 ・・・ っふ、っヒク」目からボロボロ涙を流して歩いてるからかたまにすれ違う人に奇妙な目で見られる。



そうだ。今日はイヴだ。どうしてこうなったんだろ。



どこかコンビニとかトイレに入って泣きたい。



スマホをポケットに入れといてよかった。

電子で買い物はできる。



バッグやカードが入った財布や服は更衣室に置いてきてしまったが暫くやりすごせそうだ。



とりあえず、コンビニに入る。



店内はクリスマスの装飾がされていて惨めな気持ちを余計に追い打ちをかける。



定員に怪訝そうな顔をされたが、シート式のメイク落としを購入しコンビニのトイレを借りて化粧を落とす。



洗面台にはアイメイクが剥がれて酷い顔になった自分がいる。



「ひど」素直な感想だ。



メイクでは一応ポイントは盛るが元の顔立ちが派手だが顔の赤みが引かない。



トイレでボロボロ泣く。

どれくらいいただろう。



ドアをノックされ解錠する。

すると女性客から驚かれる。しょうがない。



(トイレ開けたらノーメイクのインナーピンク髪メイドなんてイタイって思うよな)




長居はできない。私はお詫びにドリンクを買うとコンビニの外に出た、が後悔する。



(寒!!)



おちおち冷静に今後どうするかも考えさせてくれなければ感傷にも浸らせてくれない。


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