決意新たに
俺は今、猛烈な勢いで灰になっていた。
それもこれもあの言葉が原因。
「だって女の子同士だもん」
その言葉を聞いた俺の脳は瞬間的にフリーズし、凍結処置を施す。その後感覚が戻ってきた。
感覚が戻り事態を把握し始めた俺の脳は、身体から熱を奪っていくかのように、冷水を浴びた感覚。
やっと自分が立たされていた境遇を思い出したわけだ。
すっかり忘れていたよ・・・・・・気持ちだけだけど。
あまりの衝撃にあかねの存在をすっかり見えなくなっていた俺は、目の前でだいじょうぶ? と手を振っているあかねに対し、
「だ、だじじょぶ」
ろれつのまわっていない返事をすることしかできず、逆に不安がらせる結果となった。
とりあえず衝撃は大きかったけれど、今はポジティブに考えることにして事態をやり過ごすことにした。
そう、決断することになるとは数十分前の俺は思いもしていなかっただろうに・・・・・・
数十分前。
鳥居に差し掛かった俺は、案外すんなりあかねを見つけることに成功していた。
あかねは巫女服を身に纏い、箒で庭掃除。
俺はあかねに駆け寄っていき、
「あかね、ちょっと」
そこで一度咳払い。
「えっと。話いいかな?」
「えっ、瑞樹ちゃん? うん。大丈夫だけど、どうしたの?」
ちょっと驚いた様子であかねは俺のことをみている。
それもそのはず。
あかねと会うときは事前に連絡をしているのが当たり前だった。それが今日は突然だったのだから。
あかねはスマホを確認しているが、
「メールも着信もないみたいだけど」
出してないのだから当たり前だ。
俺はその旨を伝えた。
「いきなりだったからびっくりしたよ~・・・・・・なんだか、この格好久しぶりでちょっと恥ずかしいな」
「似合ってると思うけど」
もう一度姿を確認してから、思った通りの感想を述べるとあかねは頬を紅くして
「もう・・・・・・」
いつもより照れた様子が可愛く見えた。
これが色眼鏡というやつか・・・・・・
「それで今日はどうしたの?」
「ああ、うん、昨日のことで」
「??」
「あの~・・・すきって言われたから・・・・・・ちゃんと返さなきゃって」
流れで来てしまったが実はまだ覚悟を決め切れていない。
でも覚悟って先に決められること少ない気も・・・・・・意気地なしってどやされそうだ。
「で、その・・・・・・」
あかねは静かに待ってくれている。
しっかり俺のことを視て・・・・・・
プレッシャーを感じるが俺もあかねのことをちゃんと見ないと。
言葉で伝えられない部分もあるだろう。そういうのはきっと気持ちで伝われば、そう願いも込めてあかねの瞳を見る。
「わ、私もあかねのこと・・・すき、だから!!」
・・・・・・言ってしまった。
「ほ、ほんと?」
「もちろん・・・」
「・・・うれしい」
あかねはちょっとうるんでいる。
「あの時はなんか勢いで言わせた感あったし、断られるんじゃないかと思っていたから」
「えっと・・・・・・なんで?」
「だって女の子同士だもん」
「・・・・・・・」
ピキっ・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
俺の空気が凍り付いたことにあかねは気が付かない。
「いろいろ難しいと思うのが普通でしょ?」
「・・・・・・・・」
「あ、あれ??」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「だ、だいじょうぶ???」
「だ、だじじょぶ」
そして場面はもどってくる。
ポジティブに受け止めると決めたはいいものの、この感情が嘘であるわけでもない。
それは自分だけじゃない。
あかねもそうなはずだ。
そこが困難を極めていた。
果たして今後、俺は流されず、決意新たに初心を忘れずにいられるだろうか。
一度忘れていたわけだしとても心配だ。
「ね、ねぇ」
「どうかした?」
あかねが俯いている。
この反応は・・・・・・記憶にある気がする。
「初キスしよっ?」
「う、うぐ・・・」
なんて可愛い表情なんだ・・・・・・・
こんなの。こんなの断われるわけないだろっ・・・・・・・
「うん」
キス。
静かに生暖かい風が吹く中、誰にも見られず、世界に二人しかいないのではないかと思うくらいの静寂の中、静かに唇を重ね合わす。
・・・・・・これは流されたわけじゃないぞ。
「えっっっっと。きょ、今日はここまで・・・ね」
「うん」
あかねはちょっと寂しそうにうなずいた。
それを見て悪いことしたかなという思いを抱いたが、そこはぐっとこらえて我慢。
俺は絶対もとに戻ってみせるからな!!
俺は決意を心の中で表明した。
物語後半戦突入といったところ・・・だと思います(*'ω'*)




