短い一日
次の日。
楓と盆踊りに行った次の朝。
いつも通りに目覚ましの鳴る音で目を覚ました。
ベッドから起き上がり、立ち上がろうと足を下ろす。
寝間着から制服に着替えるため壁にかかっているところまで行こうとした。
「ぎゃふ・・・」
ベッドから立ち上がり身体を前に動かして制服のところまで行こうとしたのだが足が動いていなかった。
俺はそのまま顔から倒れるようにお尻を突き上げるような体勢でくず折れた。
そして重力に負けるように床につっふした。
数十分後。
俺が降りてこないので、ということでいつものように楓が俺の部屋に入ってきた。
そして、
「ぎゃ~~~」
床に倒れこんでいる俺を発見し、発狂。
その発狂を聞きつけた母さんが何事かということで様子を見に来た。
そして倒れこんでいる俺を発見。
「う~~ん・・・熱があるね」
母さんは俺の容態を確かめるようにおでこに手のひらを当てる。
「取り合えずベッドに戻りなさい」
「・・・うん」
俺の意識は何分どうということもない。
これはいわゆる、半端な熱より高熱になった方が楽というやつだろうか。
とはいえ、どうしていきなり熱なんて・・・・・・
確かに最近いろいろあって疲れが蓄積していたのかもしれないけれど。
「まずは熱測ってみて」
そう言って母さんは体温計を渡してくる。
「お兄ちゃん、だいっじょうぶ?」
うるんだ瞳で見てくる楓にカラ元気で大丈夫と返す。
身体は何ともないのに、うまく動かない。
なんだか変な感じだ。
少したって体温計がピ~と音を発した。
俺は脇から体温計を取り出し熱を確認。
「38.7℃・・・」
「結構高いね。少し落ち着いてから病院行きましょうか」
「うん・・・」
「お兄ちゃん。私何か食べ物とお薬持ってくるね」
「ありがとう」
そう言って楓は部屋を出て行った。
「学校には私から連絡入れておくから心配しないで。今日はゆっくり休みなさい」
「・・・はい」
俺はここ最近のことを思い出していた。
いろいろあった。
リリスとの戦闘もそうだけど。
学校のテスト。
あかねとの約束。その前はちょっとした問題。
なんというか、いろいろなイベントが一気に押し寄せてきた感じ。
病は気から、なんていうけれど、気が抜けたのかもしれない。
「お兄ちゃん」
楓がお盆を持って部屋に入ってくる。
「サンドイッチと水とお薬。作りやすいし、栄養価の高い卵サンドにしてみたよ」
「ありがとう。いただくよ」
なかなか腕を上げたようだ。おいしい・・・・・・
その感想をそのまま楓に伝えた。
「えへへ、頑張ったんだ~」
満足そうに笑みを浮かべた。
それからちょっとで食べ終わって薬も飲んで横になる。
楓はお盆をもって部屋から出て行った。
そしてまた眠った。
昼になって、起こされる。
母さんがおかゆを作ってくれていた。
そのおかゆを食べ終えて、体温計で再度測ったら、
「37,6℃」
「少し落ち着いたわね。病院行く?」
「そうする」
ということで、病院に行った。
夏だということもあって、あまり混んでいなかった。
俺の順番はすぐに回ってきて、お医者様に見てもらった結果、ただの疲れだろうということだった。
咳も鼻水も、喉の腫れもないから風邪じゃないということみたい。
取り合えず、解熱剤を処方してもらった。
俺は家に帰ってきて、処方してもらった薬を飲んで再度眠りに就いた。
夜。
薬を飲んで一日寝ていたこともあって熱はほとんど下がっていた。
ご飯はまだ消化にいいものだったけれど、夜もしっかり寝れば明日には治っていることだろう、と思う。
「もう大丈夫そうね」
「うん」
「朝倒れている時は心配したんだよ」
「いや・・・ごめん」
「何ともなくてよかったけど」
「うん」
俺はご飯を食べ終え、一応お風呂にざっと入って、少しばかり起きていたけれど、やがて寝てしまった。
今日はすごく短い一日。
だけどなんだか足りない一日。
明日には何かが変わっているのだろうか・・・・・・
いやきっと何かなんてないのだろうと俺は思う。




