↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この状況って、萌? それとも百合ですか?  作者: ほのぼの日記
瑞樹ちゃんの答え 決戦編
132/133

楓2

 楓を助けるのは思いのほか簡単だ。

 今、彼女を支えているのは暴食の魔導書が喰らった魔力そのもの。

 楓が言うには、未来に聖杯を使い過去へと戻った。その時聖杯の在り処を知ることのできた楓は過去へ戻り自分の手元へと聖杯が来る工作をしたらしい。工作とは言ってもそれほど大そうな物でもなく、作り手の魔力が揃った時、作り手に戻ってくるよう魔術を仕掛けた、ただそれだけ。

 その話を聞いた時、未来に行ったことが過去に反映されることへの理解が追い付かなかった私だけれど、マイナス領域とはそれすなわち時間的概念のない世界。もし時間を当てはめるのならば現在しか存在しなく、そちらの存在が行ったことはあらゆる面で現在に反映されるという。だからこそ、神樹は過去に起こったことも未来に起こることも全て知っている、時間的側面で語ればそういうことらしい。

「それで楓、魔導書は楓を主だと認めているのか?」

「一応そういう契約にはなっていると思う」

 聖杯の残りの魔力を使って存命している楓はとても不安定だ。楓を精神的に支えているものがあるとすればそれは私だろう。

 ただ、私が魔神にまでなった今、その支えも危うい。

 なぜなら、私は人間の命を失おうとも神として生きながらえることができるから。それが魔女として、英知のその先にたどり着いた者たちの成れの果てだからだ。

「マスター、暴食とも契約を?」

「ダメかな?」

「そんなことは。元は我ら一つの実。ただ、それでも楓さんを助けるのは難しいかと・・・・・・」

「錬金術だけだと厳しいよね。だからこそ、暴食がマイナスでも楓を支えていることに目を向けるべき。その力は必ずいる」

「して、色欲よ。我を欲する者よ。お前は私に何を求め、何を差し出す」

 突如、暴食が語り掛けてくる。前にもこんなことあった気がすると既視感を覚えている暇などない。

「楓を、お前の主を私に。私は暴食に魔力を与えよう」

「いいだろう。お前の魔力は強大。それを喰えば世界すら手に入るかもしれないな」

「そのような駆け引きは不要だ。お前を楓を守るために魔力を使っていた。主がいなくとも魔導書自体がなくなるわけではないことはもう知っている。そんなお前が楓が困ることなどしないだろ」

「どうだろうな。ただ、楓よりもいい素体なのは違いない。その契約に乗ろう。我が魔導書に血を」

「わかった」

 私は暴食の魔導書に血を垂らした。

 これで契約は成立だ。





 楓を救うのは簡単だ。

 楓は今例えるなら、半人半神のような状態。その不安定さを安定させてやればいいだけ。ただ条件が少し複雑だった。

 楓に起こることは過去現在未来に反映されてしまう。だから、魔力を奪うことはできない。またマイナスからすくい上げることも。

 これは、パラドックスの問題。過去を変えるために未来で魔力を手に入れた楓から魔力を奪えば過去で魔術を使えず、私は助からない。ならこの状況もない。また、マイナスからすくい上げることは、それすなわち過去に飛べないことになる。楓がマイナスに落ちたのは過去に飛んだことが原因だからだ。

 楓がしたことをなかったことにしてはいけない。それは私が死ぬ未来からの回帰を妨げてしまう。

 だからまず、暴食の魔導書の力で楓を喰らう。私はできたてほやほやでも神は神。眷属くらい作っても問題はない。これで楓を支える魔力面は問題ない。

 次に、その魔力だ。私は神樹の魔力を持っている。これで楓に流れる魔力を再構築させる。これならばマイナスに居ても大丈夫だろう。

 最後に、2つの魔導書を使って聖杯を作る。それを楓に持たせることで、私からの万が一魔力供給が途絶えても自分で身を守れるようにする。

 これで完了だ。

「終わったよ、楓身体に違和感はない?」

「少し重い感じがする」

「馴染むまではしょうがないだろう。我が見ている、安心しろ」

「うん」

「私もいるから大丈夫」

「ありがとう、お姉ちゃん」




 そうそう、今回の後日談。

 桜田が私がもとに戻れるかもしれないと言ったのは、暴食の力でだった。

 確かに桜田は自分が治すわけではないだろうと言っていたけれど、まさか自分で直せるようになるなんて思いもしていなかった。

 当の私も元には戻っていない。戻ろうと思えばいつでも、ではあるけれど、男として生きた十数年より女になってからの一年の方が激動で色濃くて今ではなんだかこちらの方がしっくり来てしまっていたからだ。

 ただ、時折恋しくなることはあるが・・・・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。