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『諸葛孔明』
「三国時代、蜀の軍師であり、優秀な政治家でもあった諸葛孔明をご存知でしょうか。
彼はこう言っています。
『才に傲りてもって人に驕らず、寵をもって威を作さず』
自分の能力や、偉い人の後ろ盾を誇って、他人を見下してはいけないという意味です。
何故、あれ程の才能を持っていた孔明がそう言ったのか分かりますか?」
「人を見下せば無闇に敵を作ってしまうからではないでしょうか?」
男子学生、磯城遼一が答える。
「半分は正解です。
もう半分は、やはり”傲り”というキーワードですね。
”傲り”は優秀な人物を鈍らにします。
優秀な人間が集中力を注ぎ、全身全霊を込めて事を為して、初めて良い結果が出るというのに、”傲り”のために凡庸な結果を出し、平凡な人の後塵を拝してしまうということも良くあることです。
優秀な人でもそうであるのに、もし凡人がそうなってしまった場合、実に悲惨なことになります。
たまたま出来のよかった論文の結果を誇り、教授に目を掛けられたからと言って、こっちを馬鹿にするように冷笑したり、あまつさえボーナスを自慢することなど、傲り以外の何者でもありません。
そこは同僚として寿司でもご馳走してくれるところでしょうが」
「先生。奢りの話に変わっています」




