怒涛の展開
手抜きって素晴らしいですね。
あ、待って下さい。冗談ですから見捨てないで下さい。お願いします。
「精霊神様。この方は、一体何者なのですか?」
『悪魔神様。この方は、一体何者なのですか?』
[並列存在]で繋がってる俺の思考回路に、二つの情景が重なって展開される。
状況で言えば霊界、魔界共に悪神を終わらせた後だね。
なんでこう、タイミングが重なってるんだろ。
いや、態とだけどさ。
計算と言うか、演算処理の下誘導してみたけどさ、凄い奇妙な感覚だ。
「王よ。この方は――」
『王よ。この方は――』
『「ちょっと待って。今、移動するから」』
二箇所で始まりそうになった説明を遮って、王と王級、帝級、神と一緒に[瞬間移動]する。
あ、ちゃんと全員連れてるからね? うん。
移動した先はあの鍾乳洞。
祭壇と魔方陣のある場所ね。
それぞれの祭壇の上に、悪魔側と精霊側で分かれて出現する。
「「少しここで待っててね。やることがあるから」」
二人? で口を揃えて告げ、もう一度[瞬間移動]する。
次に来たのはあの神殿みたいな場所。
[並列存在]を消しながら、ほぼ全てのスキルを使って『結界』を張る。
俺の張る結界は既に結界じゃないんだけど。
どう言う事かって言うと、あれだね。
別の世界が目に見える形でその場所に存在している。みたいな?
あれだよ。テレビみたいに、見えるけど違うみたいな。そんな感覚。
だけど当然、俺が張る結界がその程度な訳ない。
この場所は世界から断切され、独立し、隠蔽された新たな世界となる。
当然、これは俺が、いや、他の何者にも暴く事は不可能。
完全隠蔽された新たな世界の『創始』に等しい。
これは『終焉』を迎えるか、『破滅』するか、若しくは確立した世界として創誕する以前に『再生』するか、その何れかでなければ壊れない。
そして暴くことも出来ない。
更に言えば、そう簡単に壊せる物でも無いけどね。
うん。ここはこれでいいかな。
[瞬間移動]を発動させて、祭壇を降りた悪魔神と精霊神の前に移動する。
何か疑問でもあげようとした悪魔神達と精霊神達に先手を打つ様に言う。
「疑問質問詰問その他諸々は後でね。先ずはここから出るか......」
ちょっとだけ強制的に問いを発せ無い様にしてから、最厄乃怪龍を視た。
起こしたら面倒だからなぁ。
[全支配]はバレるし、だからといって無理矢理時空間に穴を開ける訳にも行かないからね。
う~ん。俺一人ならまだしも、この人数だからなぁ。
[世界秘宝庫]の中身は論外だし、[構想具現]は俺専用だし......うん。どれもこれもアウトだね。
あ、因みに、あの時の砂浜には全員集合させてあるよ。
よし。結論は出た。
という訳で一気に行こうか。
「さて、じゃあ、行こうか」
振り返って満面の笑みを作って見せるけど、返事は無い。
というか、返事は出来ないんだけど。
えっと、声は出なくて体は動く。みたいな?
まあいいや。
ヴァイス、アニマ、ウル、フラマに結界を張らせ、そこに居た奴等を閉じ込めてもらう。
で、[全支配]で悪魔達と精霊達をその結界の中に転移させ、俺自身は[瞬間移動]で結界の外に移動する。
「お前達は、悪魔神と精霊神か!」
「貴方は、確か龍神の......」
「どうやらネオ様に転移させられたようですね」
結界の中が騒がしいけど、丸ッと無視。
俺と[並列存在]合わせて五人で結界の正面、波打ち際に並んで立つ。
「やっぱり気付くよね」
「当然だな」
「全部凍らせちゃえばいいじゃん」
「フンッ。それならば妾が全て燃やし尽くしてくれるのじゃ」
「やめなさい。二人共。ネオとヴァイスもこの二人を止めて下さい」
気の抜ける会話の先、遥か先で、巨大な渦潮が発生した。
俺達は各人各様の表情でその渦を視る。
と言っても、これ全部俺の演技、と言うか擬似存在機構だけどさ。
まあいいや。
俺達のそれぞれの視線の先で、渦潮の中心から、蛇の様な長い体が飛び出した。
宙で塒を巻くように動き、躍り出る。
言っちゃえば東洋龍だね。
巨大な龍が環境を変えながら宙で踊り、俺達へと眼を向ける。
血みたいな真っ赤な眼が俺達を見据え、此方に向かって顔を近づける。
うん。大きいね。
顔の縦の大きさだけで俺の身長と同じ大きさだよ。
そんな大きな龍が、環境を嵐の海の様に変えて、その声を空間に直接響かせながら告げた。
『ワタシの眠りを妨げるのは、キサマ等だな。矮小なるニンゲン共』
威圧たっぷりの声には敵意が滲んでいた。
うん。面倒くさいね。
まあ、やるだけやろうか。結果は視えてるけど。




