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ネオの異常

システムに関しては知識のない素人ですので、ご了承ください。

 転移した先、俺は直ぐに[世界眼]でその場所全体を確認して、ここが(ドラーク)大陸だと分かって落ち着いた。


 俺は[叡智]をフル活用しながら全ての思考を情報の渦に沈めていく。


 もう既に俺の脳内は数字の羅列で埋め尽くされている。


 最初は三十六進数が表示され、徐々に減っていき今では二進数が表示されている。


 思考が安定し、[超思考加速]を全開にしても情報に飲まれないようになった。


 そこまで来て、[世界眼]を使い『トイフェル』視た。


 その瞬間、俺の脳、と言うより思考が熱暴走(オーバーヒート)しかけた。


 そのせいで一瞬しか視る事が出来なかったが、分かった事はあった。


 『トイフェル』が黒く染まっていた。空も地も建物も全部が黒。


 そして『トイフェル』の上空には恐らく、邪龍が集ってる。


 知恵が無ければ理性も無い。唯破壊と厄災を運ぶ龍の汚点にして恥。


 それが争いもせず一か所に集まって、しかもあの行動は確実に誰かの命令に従っていた。


 加えて俺の力を弾いたそれ。


 たった数日で何があった? 俺の、神王の力を弾き防ぐ程の力をたった数日で付けられるはずが――


「貴様等! 何者だ!」


 俺の目の前から、男の声が聞こえた。


 青の髪に同じ青の眼。


 背中には青の龍翼と青の龍尾が生えていた。


 気付けば、上空には[龍化]若しくは[竜化]した者達が居て、地上には俺達を取り囲むようにして竜人族(ドラゴニュート)龍人族(ドラゴノイド)が武器を向けて居た。


 俺が......気付かなかった? 何故?


 ――――ッ


 俺の思考にノイズが走った。


 俺の後ろで皆が何かを叫んでいる。聴き取れない。


 周りの竜、龍がざわついている。


 霞む視界で、全員の視線の先を視る。


 そこには全長八メートル程の金と黒の龍と、その二体に挟まれる様に全長十五メートル程の銀の龍が居た。


 こっちに向かって飛んできている。


 ――――ッ


 また、ノイズが走った。今度は、視界にも、ノイズが現れた。


 思考が壊れ始める。


 数字の羅列が消える。


 眼が視えなくなっていく。音が聴こえなくなってくる。体が動かなくなってくる。


 三体の龍が光に包まれ、人の形になった。


 二人が俺に駆け寄って来る。


 一人が周りを叱責している。


 ――――ッ


 ノイズが走る。


 光が消える。


 音が消える。


 感覚が消える。


 ――――ッ


 また、ノイズが走る。


 思考が消え始める。


機構(システム)不具合(エラー)が発生。不具合(エラー)の原因を探します。》


 何か、聞こえる。


不具合(エラー)報告。存在構成(プログラム)不具合(エラー)。ッ!! 機構(システム)全不具合(オールエラー)!!》


 コエ? こえ? 声?


《警告!! 制御機構の損壊を確認!! 修復を開始します!!》


 え、らー? エラー。error!!


《防衛機構の自動作動を確認。全機構(オールシステム)の緊急停止!!》


 error! error!


存在構成(プログラム)を停止。意識の遮断。全機構(システム)の回復、修復、及び再構成を開始。終了予測時間......演算不可能。不明。意識の覚醒まで......不明》




―――――――――




 ネオの中で[叡智]による報告が続いている中、皆が混乱していた。


「双方、武器を引け! もしここで争おうと言うならば、我が相手をしてやる!」


 銀髪碧眼の二十代程に見える男がそう言った。


 覇気と威厳を纏ったその声を聞き、その場に居た者達は全員武器を降ろした。


「お兄様!」

にい!」


 金髪金眼と黒髪黒目の少女が棒立ちしたまま反応の無いネオに駆け寄る。


 突然の行動と感じ取れる力の大きさに二人を止める事が出来ない皆。


「お兄様!」

にい!」


 二人はネオに抱き着くが、反応が無く、訝しみながらネオの顔を覗き込もうとした瞬間、ネオの体にノイズが走った。


 咄嗟にネオから飛びのいてしまう二人と、その事に警戒する周り。


 その時、ネオの口が微かに動き、言葉を紡いだ。


 ――error!


 機械的なその声は、小さかったにも拘らずその場に居た全員の鼓膜を震わせた。


 そして、ネオが自身に掛けていた認識阻害などの能力が全て解かれる。


 あまりの美しさに、二人の少女を除いて全員が見惚れた。文字通り、呼吸を忘れる程に。


 目を閉じたネオはそのまま前のめりに倒れそうになる。


 咄嗟に二人の少女が支えるが、意識が無い。


「お兄様! 大丈夫ですか? 返事をして下さい!」

にい! 返事して!」


 慌てた様な口調でネオに呼びかける二人。その顔は困惑に染まっている。


 その二人の声を聞いて我に戻った皆は、二人と同じように困惑に顔を歪める。


「シルニア。セラ。ネオ様は我の屋敷に寝かせておこう」


 金髪金眼の少女をシルニアと呼び、黒髪黒目の少女をセラと呼んだ銀髪の男は二人の肩に手を置き、目尻に涙を溜める二人に目を合わせ、頷く。


 その後、振り返った銀髪の男は龍達に言った。


「この者達を我の屋敷に案内しろ! 安心しろ。この者達に害はない! もしもの際は我が責任を持つ!」


 銀髪の男は相当信頼されているのだろう。龍達は疑う事なく命令に黙って従った。


 ネオが連れてきた者達は状況について行けず、唯々黙って従った。


 【賢者】【聖女】【守護者ガーディアン】、【騎士団長】【近衛騎士団長】に関しては警戒度を引き上げ、【紅焔鬼(グルモニオ)】は龍達と仲良くしていたが。



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