武闘大会本選
作者「感想、評価、ブクマ登録、してくれてもいいんですよ?」
ネオ「あざとい」
作者「知ってる」
ネオ「......その魂まで凍れ」
作者「え? ちょ、待って!!」
ズドオオオォォォオオォオン!!
ネオ「まあ、今後とも宜しくお願いします」ペコリ
『それでは、これより大会本選の組み合わせを発表する!! 第一試合、ウィンプ選手対インパァ選手!! 第二試合、カイト選手対ネオ選手!! 第三試合、アムル選手対ミラル選手!!』
何て言うか、その組み合わせ誰が決めたんだよ。
絶対観客を楽しませる為じゃなくて、そいつが楽しむ為に組まれてるだろ。
まあいいけど。俺には関係ないしね。それに、カイトと闘えるなら早い方が良いし。
それにしても、選手控室が個室になったのは嬉しいんだけど、これ、幾らしたんだよ。
いやさ、今日は《剣聖》が来てるから見栄を張りたいのは分かるんだけど、これはないかなぁ。
いやだってそうだろ? 間取りで言ったら八畳程、床全体には黄色い絨毯が敷かれてる他に、ベッドが一つとアームソファみたいなやつと小さめのテーブルが一つ。
もうこれ普通に暮らせるんですけど? まあ、詰め込み過ぎて俺からすると狭く感じるけど。あ、俺からすると、だからね?
そう言えばさ、俺、まともな家で暮らしたことなくね? 最後に暮らしたのはあの城にあった無駄に小綺麗な小屋だけじゃね?
うん。考えるのやめよう。それが良いね。うん。
『試合予定時間三十分を過ぎたため、両者失格になります!!』
あ。え? ソーナーノカー。
ま、まさか三十分もくだらない事考えていたなんて。
――コンコンコンコン
「ネオ様。もうすぐ試合が始まりますので、準備して下さい」
準備って言っても準備することないよ? うん。
という事で、俺は寝っ転がっていたベッドから起きて部屋を出る。
と、目の前に男の人が。って、この人俺を呼びに来てくれた人なんだけどさ。
なんで固まってるの? って、あ......
まあいいや。
俺は男の人を置いて廊下を歩いて行く。そして曲がり角を曲がり、俺の姿が確認できなくなってから認識阻害を発動する。
そして外、もとい舞台へと出る。その瞬間、大量の歓声に出迎えられた。
そして俺の正面の位置からカイトが出てきた。
軽鎧を身に着け、背中に幅広で肉厚な大剣を背負っている。
対する俺は黒コートにブーツ、腰に二本の刀という、人によっては舐め腐っていると言われそうな装備。
何この差。しかも俺の身長は百六十センチ程で、あっちの身長は百七十五センチ程。
傍から見たらどっちが勝つかなんて明白。しかもあいつ、魔法陣隠し持ってるし。
大方、ルイさんに認めてもらう為に使い始めたんだろうけど。
『両者、舞台へ上がって下さい』
俺とカイト、同時に舞台へと上がる。
『それではこれより、大会本選、第二試合を開始します。両者準備は宜しいですか?』
この実況者、本当に昨日と同じ人? 別人な気がする。
『試合!! 開始!!』
あ、同じ人だ。
「悪いけど、子供だからって手加減はしねえ。全力でやらせてもらうからな!」
へー? んじゃ、親友として胸を貸してあげるとしましょうか。
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言ったのはいいんだが、す、隙がねえ。
背中から『狼魁』を抜いて構える。
この『狼魁』は俺が初めて倒したAランクの魔物、ドゥムルプスっていう狼からドロップした大剣。
Aランクの魔物からドロップしただけあって、かなりの性能なんだが......
あの子供、ネオには勝てる気がしない。
クッソ! 迷ってても仕方ねえ!
俺はネオに向かって駆けだす。あっちはただ立ってるだけ。
「ハァア!」
目の前まで来たところで大上段から大剣を振り下ろす。
ってヤバい! ネオって十三の子供ってっ
「戦闘中。相手の心配はしない」
鈴の音の様な、だけど無機質な声が聞こえ、気が付いたら俺の体は吹っ飛ばされていた。
いや、何をされたか分かってる。
俺の剣がネオの体に触れそうになった瞬間に半身になって剣を躱した。そしてそのまま俺の手首と肘を掴んで投げ飛ばした。
疾い。俺でもあの速度で動くのは無理だ。
それに、ルイさんにも言われる事をたった十三歳の子に言われるとは思わなかった。
本気でやらなきゃ、勝てそうにねえな。
空中で体勢を整え、しっかりと着地する。そして、再び大剣を構える。
「本気で行くぞ!」
ネオにそう言って、俺は[魔纏]を発動する。すると、剣から灼熱の炎が噴き出した。
このままだと魔力の無駄になるから、内側に魔力を押し込むイメージで発動する。
すると、俺の剣が赤黒く染まった。
そして、俺はもう一度ネオに向かって駆けだす。
そして俺の間合いに入った時に、剣を横薙ぎに振るう。
炎によって剣の軌跡が描かれるが、ネオはバックステップで剣を躱していた。
「大地よ 『大地の拘束』!」
詠唱短縮で土魔法初級を発動させる。
すると、地面から離れたネオの足元から岩でできた鎖が飛び出した。
ネオは無理やり空中で体を捻って鎖を躱した。
「ここだ!」
俺は服の下に隠した魔法陣に魔力を流し込む。
発動した魔法は二つ。火魔法中級の『爆発』と土魔法中級の『岩蛇』。
ネオの背中で爆発が起こり、同時に地面から岩でできた蛇が出てきて、その身を捻りながら体をネオに叩きつけた。
様に見えた。
爆炎の中から高速で出てきたネオはそのまま俺の懐に潜り込むと、そのまま拳を握りしめた。
その時、全部の景色が遅く動いて見えるのに、ネオだけは普通に動いてるように見えた。
そして、俺の腹にその拳を突き立てた。
「ガハッ!」
衝撃が全身に奔り、肺の空気が強制的にすべて吐き出される。
身体に力が入らなくなって、崩れ落ちる。
ゆっくりと、地面が近づいてくる。
にしても、まさか、刀さえ抜かせることが出来ないなんて、思わねえじゃねえか。魔法も使わせることできなかったしよお。
ちくしょお。
「......?」
近付いていた地面が止まった。
違う支えられたんだと分かった時には既に、俺の意識はもう薄くなっていた。
だけど、何とか首を動かして横を見ると、ネオが支えてくれていた。
「よく頑張ったな。カイト」
意識を失う寸前に聞こえた声が、ネオの顔が、凰の声に、顔に視えたのは、気のせいだよな。




